日本食品科学工学会誌
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ラット脂質代謝に及ぼす食用キノコの作用
大槻 誠梅下 和彦苔庵 泰志西井 孝文坂倉 元柳田 晃良古市 幸生
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2006 年 53 巻 12 号 p. 612-618

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抄録

本研究において,我々は,現代の日本人の摂取脂質エネルギー量増加に伴う肥満に注目し,4種の食用キノコ(シイタケ,ヒラタケ,エリンギ,ハタケシメジ)について20%ラード・1%コレステロールという高脂肪食をラットに与え,脂質代謝改善作用について検討した.
体重増加量と飼料摂取量は,対照群と比較して全ての群で有意な低値を示した.体重100g当たりの肝臓重量は,対照群と比べ,シイタケ群では差はなく,エリンギおよびハタケシメジ群で有意な低値を示し,ヒラタケ群ではさらに顕著な低値を示した.
肝臓総脂質含量は,シイタケ群以外の3群で対照群より有意な低値を示した.肝臓TGは,対照群と比べてヒラタケ,エリンギおよびハタケシメジ群で有意な低値が認められた.一方,シイタケ群では有意な上昇が見られた.肝臓TCは,対照群と比べて,ヒラタケ群で有意な低値が認められた.肝臓PLは,5群間で有意な差は認められなかった.
血清TG濃度は,5群間で有意な差は認められなかったが,血清TC濃度は,全ての群で対照群より有意な低値を示し,特に,シイタケ群の低下は顕著であった.
以上の結果より,供試した3種(ヒラタケ,エリンギ,ハタケシメジ)の食用キノコには肝臓脂質蓄積抑制作用があることが明らかにされた.併せて,4種全てが血清TC低下作用を有することも示された.

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© 2006 日本食品科学工学会
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