日本食品科学工学会誌
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マウスにおけるメシマコブ菌糸体のコレステロール胆石形成抑制作用
渡辺 敏郎井上 美保宇野 多津子Mazumder Tapan Kumar永井 史郎辻 啓介
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2006 年 53 巻 5 号 p. 268-274

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抄録

コレステロールとコール酸を負荷した飼料にメシマコブ菌糸体あるいは子実体を混合して21日間,ICRマウスに摂取させたところ菌糸体および子実体ともに胆石の形成抑制効果を示した.胆嚢中のTC/BAも対照群に比べて菌糸体および子実体摂取群は有意に低い値を示した.飼育期間を延ばすと胆石形成抑制能は悪くなり,35日間の試験では,いずれの群も胆石形成抑制効果を示さなかった.しかし,胆嚢中のTC/BAはメシマコブ菌糸体を摂取することで低下傾向にあり,菌糸体に含まれる量が多いポリフェノールが胆石形成抑制に関する有効成分であることが示唆された.そこで,メシマコブ菌糸体を熱水抽出画分,メタノール抽出画分,残渣画分に分け,それぞれについてコレステロール胆石形成抑制効果を調べたところ熱水抽出画分に強い効果が確認された.
以上のことからメシマコブにはコレステロール胆石形成を抑制し,その有効成分は熱水抽出画分に存在することが明らかとなった.

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© 2006 日本食品科学工学会
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