日本食品科学工学会誌
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膜乳化法によるO/W食品エマルションの調製条件
加藤 良浅野 祐三古谷 篤冨田 守
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1995 年 42 巻 8 号 p. 548-555

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抄録
膜乳化法による食品のO/Wエマルション調製において,膜細孔径の種類,油相の種類,乳化剤の種類,濃度,連続相循環流速,乳化圧力などの乳化条件を変えてエマルションを調製し,その結果から膜細孔径と分散粒子径の関係,単分散エマルションの調製に影響を及ぼす因子などについて検討した.また乳化速度を高める方法について検討した.
(1) 油相(トウモロコシ油,ケロシン),乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル,ポリグリセリン脂肪酸エステル,ドデシル硫酸ナトリウム)の種類によらず単分散性の高いエマルションが得られ,平均分散粒子径(Dp)は膜平均細孔径(Dm)に比例し,Dp=5.0Dmの関係にあった.またトウモロコシ油,SEを使用した食品系では,ケロシン,SDSを使用した場合と比較すると単分散性がやや劣る傾向にあった.
(2) 単分散エマルションを得るには,乳化剤濃度,連続相循環流速,乳化圧力(乳化速度)が影響し,乳化剤濃度,連続相循環流速には連続相の乳化剤の種類より定まる下限値が存在し,乳化速度には上限値が存在した.
(3) 単分散エマルションが得られる範囲でのDpの大きさは,ショ糖脂肪酸エステル濃度,連続相循環流速,乳化速度に依存しなかったが,乳化剤として蛋白質のカゼインNaを使用した場合,Dpの大きさはその濃度に依存した.
(4) 乳化速度は乳化圧力の上昇にともなって増加するが,単分散エマルションを調製できる乳化速度の上限値は,水相,油相に添加する乳化剤の種類,濃度を適切に選択することによって高めることが可能であった.
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© 社団法人 日本食品科学工学会

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