日本食品科学工学会誌
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貯蔵ホウレンソウのアスコルビン酸関連酵素活性
水上 裕造齋藤 高弘志賀 徹
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2003 年 50 巻 1 号 p. 1-6

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抄録
AsAは別名ビタミンCとして知られ,収穫後の品質の指標として用いられている.本研究では収穫後の鮮度低下が著しく,MA包装に適用する可能性があるホウレンソウを材料として取り上げ,大気条件下ならびにガス制御下におけるAsA含量及びその関連酵素活性の変動を明らかにした.
(1) 2°Cの低温貯蔵によりAsA及びその酸化酵素であるAPXの活性は維持されたが,黄化が認められた25°Cでは急減した.二酸化炭素3%及び10%で酸素2%のガス制御貯蔵により,常温の10°CにおいてもAsA,APXは良好に保持され,CA効果が認められた.
(2) 黄化が認められた25°CでMDR活性は低下したが,他の貯蔵環境において活性の変化は認められなかった.DHRは低温貯蔵により活性は維持されるが,二酸化炭素濃度及び酸素濃度はDHR活性に影響を及ぼさないことが明らかであった.
(3) AsA含量とAPX活性は正の相関が得られ,貯蔵ホウレンソウのAsA含量はその還元酵素には無関係で,APX活性に影響された.
(4) APX活性は活性酸素の消去に作用していること,またAsAを電子供与体として酸化することから,両者の存在は品質保持に不可欠である.ガス条件が酵素活性を制御しAsA含量の保持に寄与することは同様な他の葉菜類にも適用が可能であろう.
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© 社団法人 日本食品科学工学会

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