豆乳の呈味に及ぼす各種酵素の影響について検討するために,豆乳と豆乳を各種酵素により処理したサンプルを用いて官能評価及び呈味性に関与する大豆イソフラボン類の評価を行なった.
(1) 大豆由来のイソフラボンに対しα-アミラーゼ,プルラナーゼ,グルコアミラーゼ,インベルターゼ,β-グルクロニダーゼ,α-グルコシダーゼ,β-グルコシダーゼ,シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ(CGTase),ペクチナーゼ,ナリンギナーゼ及びヘスペリジナーゼを用いて酵素処理を行なったところ,CGTase及びプルラナーゼで処理する事でイソフラボンに糖が付加された.またβ-グルクロニダーゼ,α-グルコシダーゼ,β-グルコシダーゼ,ペクチナーゼ及びナリンギナーゼで処理する事でアグリコンと思われる新たなピークが認められた.
(2) 豆乳に対し各種酵素を用いて処理を行なったところ,CGTase及びプルラナーゼにより豆乳に含まれるイソフラボンに糖が付加される事が明らかとなった.またα-グルコシダーゼ,β-グルコシダーゼ,ペクチナーゼ,ナリンギナーゼ,ヘスペリジナーゼ及びβ-グルクロニダーゼ処理によりアグリコンが生成する事が判った.
(3) β-グルコシダーゼ,ナリンギナーゼ及びCGTaseで処理した豆乳を用いて,嗜好性の評価を行なった.その結果,CGTase処理した豆乳は豆乳に比較して高い嗜好の評価をする事が明らかとなった.
(4) 豆乳のCGTase処理における添加糖の種類と付加の関係を調べたところ,α-シクロデキストリン,β-シクロデキストリン,γ-シクロデキストリン,可溶性澱粉において大豆イソフラボンへの糖の付加が認められた.
(5) 豆乳のCGTase処理における糖濃度の関係について検討したところ,α-シクロデキストリンを12%含む反応液中でCGTase処理をする事で糖の付加効率が高まる事が判った.
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