オレオサイエンス
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11 巻, 6 号
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特集総説論文
  • -表面振動分光法による生体界面の構造・機能評価-
    野口 秀典, 魚崎 浩平
    2011 年 11 巻 6 号 p. 197-203
    発行日: 2011/06/01
    公開日: 2013/07/18
    ジャーナル フリー
    近年, 種々の表面計測法を生体分子の構造・機能計測に適用した研究が最近いくつか報告されてきた。なかでも, 古くから分子構造の解析の手段として重要な役割を果たしている振動分光法は, 生体分子の構造変化と機能発現の関係を分子レベルで明らかにすることが可能な有効的な計測手法となる。ここでは, 和周波発生 (Sum Frequency Generation : SFG) 分光法, 表面増強赤外吸収分光法 (Surface Enhanced Infrared Absorption Spectroscopy : SEIRAS) といった表面振動分光法の原理, およびこれらの手法を生体関連単分子膜へ適用し, その構造・機能を生体分子がその活性を発揮することができる水溶液中で計測, 議論した研究例を紹介する。
  • 山田 悟史, 菱田 真史
    2011 年 11 巻 6 号 p. 205-211
    発行日: 2011/06/01
    公開日: 2013/07/18
    ジャーナル フリー
    リン脂質は生体膜の主要な構成成分の1つで, リン脂質水溶液中で形成される1-10μm程度の直径を有する単層膜ベシクル (giant unilamellar vesicle; GUV) は実際の生体膜のモデル系として精力的に研究されている。ただし, 通常リン脂質は生体膜のモデル系としてあまり適当ではない多層膜のべシクルを形成することが多い。最近の研究で, あらかじめ糖や塩を添加しておいたリン脂質乾燥薄膜を水和することにより, GUVが劇的に効率よく形成されることが明らかになった。これは容易に生体膜のモデル系を構築できる画期的な方法だが, その形成メカニズムは明らかになっていない。本研究では, 中性子反射率, X線小角散乱, そして位相差顕微鏡を組み合わせた実験を行い, ベシクル形成時における添加剤による強い浸透圧が薄膜内部における脂質二重膜の積層周期の発散を引き起こすことによってGUVの形成が促進されることを明らかにした
  • 吉井 範行, 岡村 恵美子
    2011 年 11 巻 6 号 p. 213-220
    発行日: 2011/06/01
    公開日: 2013/07/18
    ジャーナル フリー
    生体膜を構成する分子や膜のなかの薬物の「運動性」は, 薬物の膜輸送機構を明らかにするための重要な知見となる。膜は生理的条件下で常に揺らいでおり, 膜のなかの薬物の運動を多かれ少なかれ支配している。筆者らは, 高分解能溶液NMRとパルス磁場勾配 (PFG) 法を組み合わせて, 膜中の薬物や脂質分子の運動を沈in situ吻で観測し, 定量化する方法を独自に開発した。生体膜モデルとして卵黄レシチンの一枚膜ベシクル (large unilamellar vesicle, LUV;直径100nm) を用いて, 膜のなかの薬物の拡散運動や膜への結合と解離のキネティクス, 膜への結合量を明らかにした。また, 通常の一次元NMR測定とPFGNMR測定を使い分けることにより, さまざまな速さの結合・解離運動の測定が可能となることを見出した。なお, ここではモデル薬物として5-フルオロウラシルとフッ素化ビスフェノールAを用いた。
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