オレオサイエンス
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総説
NMRで見るナノ制約分子
-微小空間を舞台にした分子科学-
上田 貴洋
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2014 年 14 巻 6 号 p. 253-260

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抄録

空間的制約を受けた分子集団は,いわば「ナノ制約分子」とみなすことができる。この系は特異な凝集構造や融点シフトなどバルクとは異なる珍しい物性を発現し,物質の “サイズ効果” あるいは “閉じ込め効果” のモデルとして大変興味深い問題を提供する。本稿では,核磁気共鳴分光法(NMR)を通して見たナノ制約分子のダイナミクスとそれらが関与する相転移現象について,我々の最新の研究成果を紹介した。まず,核磁気共鳴分光法(NMR)を用いて調べることができる分子運動について俯瞰したのち,ナノ空間における吸着分子-細孔壁相互作用ポテンシャル(ナノ細孔場)の特徴を解説した。さらに,重水分子とアダマンタン分子を取り上げ,NMR で見たナノ制約環境下のダイナミクスを紹介し,ナノ細孔場が吸着分子のダイナミクスに及ぼす効果について議論した。最後に,ナノ制約分子のダイナミクスがその物性に重要な役割を果たす系として,規則性ナノ細孔における分子集団の特異な相転移現象を紹介した。

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© 2014 公益社団法人 日本油化学会
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