2014 年 14 巻 9 号 p. 381-385
腸内細菌は消化管でビタミン,短鎖脂肪酸の生成を担うだけでなく胆汁酸の代謝変換をおこなう。腸内細菌による胆汁酸の代謝変換は消化管の胆汁酸組成変化を誘導し,核内受容体farnesoid X receptor(FXR)シグナルやタンパク分解シグナルを介して宿主の胆汁酸代謝動態の調節に関与する。また近年腸内細菌による胆汁酸代謝変換を介するシグナルが肥満の予防の標的になることが報告された。本稿では,腸内細菌依存的な胆汁酸シグナルの脂質恒常性への寄与について紹介する。