2015 年 15 巻 8 号 p. 349-354
中心性肥満により惹起されるインスリン抵抗性は,2型糖尿病やメタボリックシンドロームの病態生理として重要である。その一方で,近年の研究により,肥満とは独立して骨格筋,肝臓における異所性脂肪蓄積がそれぞれの臓器のインスリン抵抗性を惹起することが示唆されている。例えば,代謝疾患の患者における短期間の食事療法は,肝内脂質を著明に減少し肝糖代謝を改善した。また,短期間の有酸素運動は骨格筋細胞内脂質を減少し,骨格筋におけるインスリン抵抗性を改善した。その一方で,骨格筋細胞内脂質は長距離ランナーでも認められるが,彼らのインスリン感受性は全く正常である。この現象はアスリートパラドックスと言われ,我々はこの現象に骨格筋における脂肪酸輸送担体が関連していることを見出した。 また,3日間の高脂肪食を食べた時に,普段の活動量が低い人程,骨格筋細胞内脂質が蓄積した。これらの結果は骨格筋細胞内脂質とインスリン抵抗性は中心性肥満と同様に代謝疾患の重要な治療標的であることを示唆し,有酸素運動は重要な治療法である。最後に,有酸素運動の方法について言及した。