オレオサイエンス
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特集総説論文
かご型シルセスキオキサンをコアとする有機無機ハイブリッドデンドリマーの合成と固体機能材料への利用
中 建介
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2017 年 17 巻 5 号 p. 203-210

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抄録

オクタキス(ジメチルシロキシ)オクタシルセスキオキサンとアリルコハク酸無水物とのヒドロシリル化により得られるオクタキス(プロペニルジメチルシロキシ無水コハク酸)オクタシルセスキオキサン(OS-SA)は,開環および縮合反応を行うことで簡便に16末端のかご型オクタシリケート(OS)をコアとする有機無機ハイブリッドデンドリマーを合成することができる前駆体として有用である。OSコアデンドリマーは分子レベルで剛直なOS骨格によって誘起される特徴的な構造のため周囲の有機分岐鎖は適度な運動性を有するものの, 末端基間の距離は保っているという特異な分子形態を有している。本稿では,OSをコアとする種々の機能性末端基を有する有機無機ハイブリッドデンドリマーについて,主として固体機能材料としての特徴について述べる。π共役ユニットとしてビフェニル基およびカルバゾール基を末端に有するOSコアデンドリマーの合成を行ったところ,ガラス転移温度が室温付近以上のアモルファス性透明自立膜が得られることがわかった。また,OS-SAの開環および縮合反応に異なる基質を用いることで,電子供与性のカルバゾール基と電子受容性のナフタルイミド基や互いに相溶化しないパーフルオロカーボンとハイドロカーボンなど2種類の機能性官能基を末端部位に交互に導入した有機無機ハイブリッドデンドリマーを合成することができ,これらは単一分子としての性質のみならず,両者の相互作用による新たな機能を発現した。

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© 2017 公益社団法人 日本油化学会
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