2017 年 17 巻 7 号 p. 305-311
国内では廃食用油を原料としてバイオディーゼル燃料(BDF)が製造され,その結果グリセリン廃液が副生する。BDFは環境に優しい燃料として普及しているが,グリセリン廃液はグリセリンの他に未反応のメタノールや廃食用油等の有機物,KOHのようなアルカリ触媒等の無機物を含んでおり,高粘性かつ強アルカリ性のため資源化が困難である。本研究では,グリセリン廃液に希釈と中和の処理を行い,上層(分離油)と下層(グリセリン水溶液)に分離した。分離油は高位発熱量が高いので燃料油として資源化し,再生重油と廃食用油から作られるバイオ再生重油の原料に用いた。一方,グリセリン水溶液は全窒素に対して有機性炭素の含有量が高いので脱窒剤として資源化し,し尿処理施設で通常使用されている50%メタノールの代替物に用いた。本処理方法により,グリセリン廃液の全量を資源化ならびに利用可能とした。