オレオサイエンス
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特集総説論文
香料に有用な高付加価値化合物の開発
渡辺 広幸
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キーワード: flavor, fragrance, aroma, bonito, yuzu
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2019 年 19 巻 8 号 p. 323-329

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抄録

かおりは数多くの香気成分から構成される。微量の使用によってでも香気全体の品質を高めることができる高い能力をもつ香料化合物が存在し,それらを活用することで優れたかおりをつくることが可能となる。

今回そのような有用物質の開発例として,直鎖不飽和アルデヒド類である(E)-6-nonenal,(E)-6-octenal,(Z)-8-pentadecenal,(4Z,7Z)-4,7-tridecadienalについてと,また和柑橘のユズから見出した新規化合物である(6Z,8E,10E)-6,8,10-undecatrien-3-oneについての研究を紹介する。(E)-6-Nonenal,(E)-6-octenal,(Z)-8-pentadecenalは脂肪感や油脂感の増強効果があり,低脂肪加工食品向けのフレーバーとして有用であった。また(4Z,7Z)-4,7-tridecadienalは鰹節の香気再現には欠かせない成分であり,酸味抑制効果も併せ持つ有用物質であった。(6Z,8E,10E)-6,8,10-Undecatrien-3-oneはユズのかおりを他の柑橘類と差別化するうえで欠かせない重要成分であった。この化合物はさらに,炭酸感を増強する効果を併せ持つ興味深い機能性物質であることが判明した。

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© 2019 公益社団法人 日本油化学会
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