オレオサイエンス
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特集総説論文
フラーレンナノアーキテクトニクス:ゼロ次元からの多彩な自己組織化構造
有賀 克彦Lok Kumar SHRESTHA
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2021 年 21 巻 6 号 p. 221-225

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抄録

ナノテクノロジーの次に何が来るのが「ナノアーキテクトニクス(ナノからの建築学)」である。 本稿では,ナノアーキテクトニクスの可能性の高さを示すため,単一元素(炭素)からなるゼロ次元分子であるフラーレン分子(C60,C70など)から,いかに多様な構造体が形作られるかを,最近の研究例をもとに 例示する。この目的通り,液-液界面析出法(LLIP)のようなサンプル瓶とピペットで行えるような手法で, 一次元,二次元,三次元,あるいはそれらが組み合わさったような階層構造がゼロ次元分子から生み出されることが分かった。場合によっては,その集合過程は時間や刺激によって制御されうり,細胞や生物個体に見られるような分化や変態という生物ならではの過程を,炭素物質で模倣できることをも示した。また,逆に,フラーレン集合体を用いての生物の制御も可能で,幹細胞の増殖・分化制御をフラーレン集合構造を担持した表面で行うことも可能であった。

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© 2021 公益社団法人 日本油化学会
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