オレオサイエンス
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21 巻, 6 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
特集総説論文
  • 中田 聡
    2021 年 21 巻 6 号 p. 215-220
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/02
    ジャーナル フリー

    非平衡開放系における自己組織化について,自己駆動体を用いていくつかの事例を紹介する。本論文における自己駆動体は表面張力差で駆動され,非平衡開放系において運動を持続することができる。系に非線形性を導入すると,自己駆動体の自律性を高めることができる。これにより特徴的な自己組織化を誘発することが可能になる。ここで説明する自己組織化とは,単体の自己駆動体による振動運動,複数の自己駆動体によるシンクロ運動,さらに多数の自己駆動体による集団パターン形成,及び運動様相の分岐を指す。最近の事例を用いて自己駆動体が自律的に形成する時空間パターンの仕組みについて解説する。

  • 有賀 克彦, Lok Kumar SHRESTHA
    2021 年 21 巻 6 号 p. 221-225
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/02
    ジャーナル フリー

    ナノテクノロジーの次に何が来るのが「ナノアーキテクトニクス(ナノからの建築学)」である。 本稿では,ナノアーキテクトニクスの可能性の高さを示すため,単一元素(炭素)からなるゼロ次元分子であるフラーレン分子(C60,C70など)から,いかに多様な構造体が形作られるかを,最近の研究例をもとに 例示する。この目的通り,液-液界面析出法(LLIP)のようなサンプル瓶とピペットで行えるような手法で, 一次元,二次元,三次元,あるいはそれらが組み合わさったような階層構造がゼロ次元分子から生み出されることが分かった。場合によっては,その集合過程は時間や刺激によって制御されうり,細胞や生物個体に見られるような分化や変態という生物ならではの過程を,炭素物質で模倣できることをも示した。また,逆に,フラーレン集合体を用いての生物の制御も可能で,幹細胞の増殖・分化制御をフラーレン集合構造を担持した表面で行うことも可能であった。

  • 赤松 允顕, 酒井 健一, 酒井 秀樹
    2021 年 21 巻 6 号 p. 227-234
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/02
    ジャーナル フリー

    界面活性剤が形成する分子集合体の構造を光刺激により変化させれば,内包した物質の放出制御が可能となり,薬物や有効成分の送達システムが構築できる。本総説では,これまでに筆者らが開発した光応答性界面活性剤について紹介する。アゾベンゼン修飾カチオン性界面活性剤は,紫外光および可視光照射にともなうtrans-cis異性化により臨界ミセル濃度が大きく変化した。桂皮酸修飾光分解性界面活性剤は,紫外光照射にともない界面物性が変化し,さらに紐状ミセル構造の変化に由来した水溶液粘度や微粒子分散性の光制御に成功した。オンデマンドな界面物性制御を可能にするため,光応答性界面活性剤の光応答スピードの高速化を検討した。紫外光照射にともないロフィンダイマーから生成するロフィルラジカルの再結合反応は,ミセル内部の閉鎖空間内で高速化することが分かった。両親媒性ロフィンダイマーを用いることで,その水溶液の表面張力を紫外光照射により数スケールで制御することができた。in situ小角中性子散乱 (SANS)を用いた解析の結果,両親媒性ロフィンダイマーは楕円体ミセルを形成し,紫外光照射ON-OFFにともない伸張・収縮を高速で繰り返すことが分かった。さらに,このミセル水溶液を用いることで,可溶化されたモデル薬物を光照射により高速で放出制御できた。

  • 山本 靖, 多賀 圭次郎
    2021 年 21 巻 6 号 p. 235-240
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/02
    ジャーナル フリー

    論文要旨:紐状ミセルを形成する化合物を循環水に少量添加すると,配管中の流動抵抗を低減することができ,大幅な電力削減が見込まれる。この紐状ミセル希薄水溶液は渦抑制及び跳ね戻り現象を示すので,これを新規流動抵抗低減剤のスクリーニングに利用した。また,油溶液中で逆紐状ミセルを形成するカチオン性ジェミニ型界面活性剤について検討した。逆紐状ミセルは水を少量添加することにより母体として安定化され,シクロヘキサンやヘプタンをゲル化することができた。この逆紐状ミセル油溶液は,紐状ミセル水溶液と同様に渦抑制と跳ね戻り現象を示した。

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