2022 年 22 巻 3 号 p. 115-120
細胞外あるいは細胞内因子による膜の曲率誘導や伸展により,脂質二重層の脂質頭部の間隔が広げられ,膜の疎水性コア領域が膜表面により露出した状態が誘起できる。適切な両親媒性分子とこの疎水性コアとの相互作用に着目することで,ユニークな膜構造の変換とその応用が期待できるかもしれない。本稿では,当研究室で開発したオクタアルギニンとL17Eペプチドを例にとり,細胞内送達への応用という観点から,膜構造の変化に呼応するペプチドと細胞膜との相互作用様式に関して考えてみたい。