2022 年 22 巻 9 号 p. 459-464
皮脂中の脂質過酸化やそれに続く角層タンパク質のカルボニル化といった皮膚表面での酸化ストレスは,皮膚の性状や外観に影響を及ぼすため,化粧品科学の分野において,長年,重要な課題とされてきた。皮脂は毛穴を通って角層表面に広がっていくため,皮脂中の脂質過酸化状態を考えるにあたって,毛穴の中の酸化反応を無視することはできない。そこで,皮膚表面での酸化ストレスを制御するためには,皮脂,角層,毛穴および毛穴に詰まっている角栓を合わせて,一連の酸化ストレスの対象物として理解する必要がある。本稿では,角栓が酸化ストレスへ与える影響,および角栓洗浄による酸化ストレス低減を介した皮膚外観への効果について紹介する。