2025 年 25 巻 7 号 p. 285-289
界面活性剤はソフトマターの一種として,分子設計の自由度が高く,自己集合構造や物性に多様性を示す。しかし,それゆえ材料内部の挙動は複雑であり,その潜在能力を十分に引き出すのは容易ではない。本研究では,界面活性剤水溶液の構造と機能を予測するために,分子シミュレーションと機械学習を活用した研究例を紹介する。まず,散逸粒子動力学法を用いて200種以上のクレンジング剤処方に対する自己集合構造を再現・解析した。次に,分子記述子を特徴量とした機械学習モデルを構築し,高精度な洗浄性能予測を実現した。さらに,分子の化学構造から自己集合構造を予測する深層学習モデルを構築し,機能性界面活性剤の効率的な設計手法としての有効性を示した。