抄録
環境中の細菌の多くは何かものに付着して棲息している。これら細菌の付着に細胞表面の特性が強く関与している。細菌細胞の表面は通常マイナスに荷電しているが, 増殖速度が小さい菌株ほど負荷電が小さく, かつ疎水的な傾向がある。細菌の細胞表面には種々のポリマー層があり, そのため細菌は柔らかいコロイド粒子としての特徴を有する。ポリマー層の存在を考慮すると, 従来考えられてきた細胞一付着基質問のエネルギー障壁が高イオン強度条件下で熱運動エネルギーレベルに低下する場合があることが明らかになってきた。付着メカニズムの解明には, 付着力の測定も必要であり, 幾つかの実測例を示した。また, 界面を微生物の棲息場所と捉え, 微生物の生存様式 (バイオフィルム), 微生物活性に及ぼす界面の影響を紹介した。