キャリア・カウンセリング研究
Online ISSN : 2436-4088
最新号
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資料
  • 塩川  太嘉朗, 保田  江美, 中原  淳
    2024 年 26 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2024/09/30
    公開日: 2024/10/02
    ジャーナル フリー
    本研究では,Savickas & Porfeli(2012)を基に,原著者の許諾を得た上で日本語版キャリア・アダプタビ リティ尺度(CAAS-J)を作成し,若年労働者を対象とした調査によって尺度の信頼性と妥当性を検証した。 2023 年2 月に20 歳代社員1,034 名に対してインターネット調査を行い,回答内容を分析した。因子分析の結 果,Savickas & Porfeli(2012)と同様,キャリア・アダプタビリティを高次因子とした4 因子24 項目のモデル が高い適合度を示した。クロンバックのα係数は.97であり,内的整合性があることが認められた。基準関 連妥当性の検証のために自尊感情および自己効力感との相関分析を行い,収束的妥当性の検証のためにプ ロティアン・キャリアおよびバウンダリーレス・キャリアとの相関分析を行い,いずれの結果からも妥当性 を有することが示された。以上の結果から,CAAS-Jは十分な信頼性と妥当性を有する尺度であると考えら れる。
事例研究
  • ―静座瞑想での試み―
    前野 良和
    2024 年 26 巻 1 号 p. 13-21
    発行日: 2024/09/30
    公開日: 2024/10/02
    ジャーナル フリー
    これまでのマインドフルネス瞑想を用いてレジリエンスを向上させるトレーニングでは,心理教育といくつかのマインドフルネス瞑想を組み合わせたトレーニングが主に使用されており,どの要因によってレジリエンスが向上したのか明らかになっていなかった。そのため,本研究では,マインドフルネス瞑想の中でも静座瞑想のみを使用してレジリエンスが向上するのかを検討した。マインドフルネス瞑想が未経験の海上自衛隊員21 名に対し,静座瞑想を8 週間行い,マインドフルネス,レジリエンス,抑うつの各尺度を用いて検証した。その結果,マインドフルネス,レジリエンス,レジリエンスの下位因子である新奇性追求,感情調整,肯定的な未来志向,および抑うつ得点が有意に変化した。さらに変化量の相関を分析したところ,マインドフルネスと,レジリエンス,新奇性追求,感情調整,抑うつが関連していた。本研究の特徴として,静座瞑想のみでもレジリエンスが向上する可能性と,新奇性追求とマインドフルネスに関連があることが示された。
ケース報告
  • ―大学での取り組みに基づくケース報告―
    原 恵子, 磯貝 和子, 岡田 昌毅
    2024 年 26 巻 1 号 p. 22-30
    発行日: 2024/09/30
    公開日: 2024/10/02
    ジャーナル フリー
    キャリア支援者が自身や専門性をふりかえり,自身のキャリア形成に関する意識や行動を深めること,ひ いては支援者自身の職業的発達を促すことをねらいとした。そのための教育プログラムを構成し,受講を通 した受講生の意識面や行動面の変化を検討することを目的とした。A大学において,集合形式での講義5 回 と個別面談3回を組み合わせたプログラム(計8 回,34.5時間)が検討され,2022 年1月から3月にリアルタ イムオンライン形式で試行実施された。機縁法により集められた受講協力者は15 名であった(女性12 名・男 性3 名,全員キャリアコンサルタント国家資格者)。プログラム全体を通した理解度は平均4.6(SD:.17),有 意義度は平均4.8(SD:.14),満足度は平均4.9(SD:.3)であった。終了時の感想に関する自由回答は,KJ法の 援用で分析され7小分類・2中分類として整理され,「多様な領域への理解の深まり」「キャリア支援に関す る視野の拡大」「ビジョンや今後の行動がより明確に」等が抽出された。プログラム開始時・終了時,終了3 か月後の3時点で無記名式のWeb調査も実施された。全時点回答者11名の結果を用い平均値の差を検討し た結果,学習態度,支援者としての意識面・行動面,キャリアカウンセリング自己効力感の各尺度で,開始 時より終了3 か月後が有意に高い結果であった。
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