原発性甲状腺機能低下症症例(以下甲低と略す)に痛風および高尿酸血症の合併することが知られている. しかし, 高尿酸血症の発生機序について,不明な点が多い.そこで,今回,著者らは甲低(n=28)の高尿酸血症の機序を解明する目的で,SUA,CUA,Ccrなどを健常人(n=28)と比較し,さらに血中T3,T4,TSH,CPKとの関連について検討した.その結果,(1) 甲低のSUAは健常人のそれと比べて有意に(p<0.01)高く,Ccr,CUAおよびUuAは有意に(p<0.05)低かった.(2)甲低におけるSUA とCUA およびCUA/Ccr 比との間には,負の相関の傾向がみられた.(3)SuAならびにCuAと血中T3,T4,TSH,CPKとの間にはいずれも一定の相関関係は認められなかった.(4) 甲状腺ホルモンの補充療法前後のSUA, Crはともに有意に(p<0.05) 低下した. また, Ccr,CUAも有意に増加した.以下の成績により, 甲低における腎糸球体濾過能の低下により尿酸排泄が障害される結果, 高尿酸血症が惹起される可能性が示唆された.
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