調査・研究図書館における革新-それも従来の図書館活動とは-線を画す-を米国国立医学図書館 (NLM) のMEDLARS計画と対遮させて述べている。まず, わが国の調査・研究系図書館の情報活動に対する投入費用の具体的数字を掲げて情報活動の重要性を認識させ, 独の経済学者シュンペーターの唱える経済における技術と経済関係を情報活動に投映させて把え, 「革新」の所在を探っている。次にはMEDLARSを推進した基盤を明らかにすべく, 1960年初期の米医学図書館界の状態を展望し, 医学情報の推移を通してMEDLARSに至るまでを見ている。そしてMEDLARSの変革を経済学的に「製品」, 「生産方法」「原料」「販売」, 「組織」の五つの点から眺め, これらの上に立つMEDLARSの対外的な組織に敷えんし, 分散化の意味も問うている。最後に忘れられがちな具体的費用面に触れ, MEDLARSが, 終始一貫よりよき図書館活動を絶えず目指した図書館員自身の手によって推進されたことを説き, 今後の調査・研究図書館の方向・改善策へ大きな示唆を与えるものであると結んでいる。
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