Journal of Chemical Software
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5 巻, 2 号
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  • 松本 高利, 長嶋 雲兵, 田辺 和俊, 橋本 貴美子, 曽川 和代, 白濱 晴久
    1999 年 5 巻 2 号 p. 49-54
    発行日: 1999/06/15
    公開日: 2000/03/28
    ジャーナル フリー
    ヒドロキシインドール類における重水素置換位置を簡便な計算化学的方法を用いて定性的に予測できることを報告する。その方法は、分子構造を半経験的分子軌道法で最適化し、その構造と最小基底を用いた非経験的分子軌道法を用いて、骨格原子上の電荷を計算することが基本となっている。5つのモデル分子の計算結果は、水酸基に隣接する炭素原子の電荷が大きく、実験的にはその原子に結合している水素がラベル化される傾向がある。しかし立体障害がある場合はこの限りではない。立体障害などを考慮する必要がある場合もあるが、簡便な分子軌道計算により基本骨格分子の電荷分布を予め算出することで、ヒドロキシインドール類の重水素によるラベル化位置の予測を定性的に行うことが可能である。
  • Amih SAGAN, 長嶋 雲兵, 森 義仁
    1999 年 5 巻 2 号 p. 55-64
    発行日: 1999/06/15
    公開日: 2000/03/28
    ジャーナル フリー
    開放系の自己触媒反応に現れる多根を持つ2変数の非線形方程式F(x,y)=0の簡便な数値解法を報告する。本方法は、F(x,y)=0を満足するxとyの関係が連続で単調な多価関数である場合、つまり一つのxに対していくつかのyの解があり、それらが一筆書きで連続的にたどれる場合にのみ有効である。また本方法は微分方程式の初期値問題の簡便な数値解法として知られているオイラー法における時間刻み幅調節の指針を与えることがわかった。2つの簡単な方程式と反応物の関係と光照射によって振動周期がかわる振動反応の方程式を例に取り、本方法の有効性と限界を説明した。
  • 入谷 寛
    1999 年 5 巻 2 号 p. 65-80
    発行日: 1999/06/15
    公開日: 2000/03/28
    ジャーナル フリー
    アルカン分子の中心を定義し,それに結合するアルキル基の組合せの仕方を数え上げることにより,アルカンの構造異性体数の数についての漸化式を求めた。炭素原子数が40までの結果は,グラフ理論によって得られている数値と一致することを確認した。この方法は初等的な組合せ論の積み重ねによるものなので,その演算速度はグラフ理論的方法よりは格段に遅いことがわかった。
  • 遠藤 忠, 飯田 貴広, 古谷 暢英, 山田 由美子, 伊藤 眞人
    1999 年 5 巻 2 号 p. 81-92
    発行日: 1999/06/15
    公開日: 2000/03/28
    ジャーナル フリー
    半経験的分子軌道法を用いて、ベンゼン2量体およびベンゼン(PhH)—モノ置換ベンゼン(PhX)対の生成熱を計算することにより、ベンゼン—モノ置換ベンゼン間相互作用のエンタルピーを求めた。ベンゼン2量体の場合について、計算法、初期の分子間距離(rI)などを検討した。PM3法で求めた相互作用エンタルピーと最適化後の配置は、これまでの実験値および計算値と矛盾しない。PhH—PhX系の初期配置としては、1ケの平行(P)と4ケの垂直配置(Vr 、Vp 、VmおよびVb)(図1)を選んだ。VpあるいはVm配置の場合には(この配置では、PhXの置換基Xに対してパラあるいはメタ位にあるH原子がPhH分子の重心の真上に存在する)、計算から求めたPhH—PhX間相互作用エンタルピー(ΔΔHf)は、GLPCから求めた実験値(ΔΔHt)と良い相関関係を示し(図5)、相関係数(ρ)は0.94(rI = 2.75 Å)になった。この相関式から求めたΔΔHtと実験値ΔΔHtとの差は、約0.1 kcal mol-1以下であった。他の配置の場合には(Vp配置を除くと)、ΔΔHfとΔΔHtとの間に相関関係は認められなかった。
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