半経験的分子軌道法を用いて、ベンゼン2量体およびベンゼン(PhH)—モノ置換ベンゼン(PhX)対の生成熱を計算することにより、ベンゼン—モノ置換ベンゼン間相互作用のエンタルピーを求めた。ベンゼン2量体の場合について、計算法、初期の分子間距離(r
I)などを検討した。PM3法で求めた相互作用エンタルピーと最適化後の配置は、これまでの実験値および計算値と矛盾しない。PhH—PhX系の初期配置としては、1ケの平行(P)と4ケの垂直配置(V
r 、V
p 、V
mおよびV
b)(図1)を選んだ。V
pあるいはV
m配置の場合には(この配置では、PhXの置換基Xに対してパラあるいはメタ位にあるH原子がPhH分子の重心の真上に存在する)、計算から求めたPhH—PhX間相互作用エンタルピー(ΔΔH
f)は、GLPCから求めた実験値(ΔΔH
t)と良い相関関係を示し(図5)、相関係数(ρ)は0.94(r
I = 2.75 Å)になった。この相関式から求めたΔΔH
tと実験値ΔΔH
tとの差は、約0.1 kcal mol
-1以下であった。他の配置の場合には(V
p配置を除くと)、ΔΔH
fとΔΔH
tとの間に相関関係は認められなかった。
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