Journal of Chemical Software
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6 巻, 4 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 菅田 節朗, 阿部 芳廣
    2000 年 6 巻 4 号 p. 127-136
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2001/02/28
    ジャーナル フリー
    過去に、非線形等温線の形とクロマトグラムの形との関係をよりよく理解するためのガラス容器を用いたモデルを発表した。今回は、このモデルのコンピューターシミュレーション化を行った。その際、各段の固定相と移動相の関係を実際的イメージに近づけるなど改良した。この新モデルを「二重壁容器モデル(DGVモデル)」と名づけた。 DGVモデルは、もともと液-液分配クロマトグラフィーからイメージしたが、各液相中で溶質分子のみ集めた架空の状態(以下溶質と表現し、液体とみなす)をイメージし、この溶質が内室(固定相)と外室(移動相)に分配されると考える(溶媒分子は無視する)(Figure 1)。底に近い内壁には小さな穴があいており、内室と外室の液面は同じ高さになる(平衡状態)。内外壁とも円筒形だと線形等温線を表し、内壁は円筒形だが外壁がラッパ型だとラングミュアー型の非線形等温線を表す(Figure 2)。各段の外室内溶質の一斉移動と平衡が繰り返されて、溶質が各段に分配される(Figure 3および Figure 4) 。これらの図から非線形等温線の形とクロマトグラムの形との関係が直感的に理解できる。線形では、キャパシティファクターk'が小さいほど大量の溶質が運ばれる、つまり移動速度大なので、クロマトグラムの保持時間が短くなるのが直感的に分かる(一つのバンド内では、均一速度)。また、線形を基礎に非線形を考えると、たとえば凸型だと、バンドの中央で移動速度大なので、クロマトグラムはテーリングするということが容易に理解できる。
  • 津江 広人, 津江 直子
    2000 年 6 巻 4 号 p. 137-144
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2001/02/28
    ジャーナル フリー
    有機元素分析試料に含まれる,最大三成分の残留溶媒を同時に解析することのできるプログラムを開発した。計算手順としては,まず目的化合物および残留溶媒を構成する元素の数ならびに分析結果から行列式を構築し,次いで転置行列の乗算により正規方程式へと変換し,最終的に完全ピボッティングを伴うGaussの消去法によって,その解として残留溶媒の存在比率を算出した。本プログラムを用いて,理論値と分析値が一致しない実際の測定試料を解析した結果,目的化合物が含まれているか否かを簡便かつ論理的に解析可能であることが示された。
  • 中野 英彦, 時田 澄男, 中田 吉郎, 吉村 忠与志, 吉田 弘, 伊藤 眞人, 一色 健司, 飯箸 泰宏
    2000 年 6 巻 4 号 p. 145-156
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2001/02/28
    ジャーナル フリー
    化学ソフトウェア学会の論文誌(The Journal of Chemical Software)の印刷体出版およびインターネットによるオンライン出版の処理過程を統一的に処理する電子出版システムの開発を行った。著者からフロッピーディスクまたは電子メールによって送付された電子化原稿を、SGML(Standard Generalized Markup Language)編集ソフトを用いてSGML文書とし、SGML文書からオンライン出版のためのHTML文書への変換および印刷体出版のためのLaTeXソースファイルへの変換は、プログラムを作成してほぼ自動的に変換が可能となった。このシステムにより、印刷体およびオンライン出版の工程が合理化されるとともに、印刷品質の向上が達成された。
  • 中田 吉郎, 滝沢 俊治, 上林 正己, 中野 達也
    2000 年 6 巻 4 号 p. 157-164
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2001/02/28
    ジャーナル フリー
    OpenGL をグラフィックス・インターフェースとした3次元分子表示プログラムを開発した。このプログラムは3種類の形式の分子の座標値を読み込み、Windows 上にその3次元構造をグラフィックス表示する。本プログラムはVisual C++ で開発したのでWindows 系のOS が載っているパーソナルコンピュータで利用することが可能である。
  • 佐々木 徹, 長嶋 雲兵, 塚田 捷
    2000 年 6 巻 4 号 p. 165-174
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2001/02/28
    ジャーナル フリー
    DVXα法に基づく第一原理分子軌道計算プログラムをオブジェクト指向C++言語を用いて作成した。さらに計算時間の90%以上の部分を占める行列要素算出部分を並列化し、計算速度の向上を図った。また、Sparc Station10(74MHz)をホストとしてTI320C40プロセッサ64台からなるアクセラレータを持つ専用計算機を開発した。
    Si78B6H53クラスタの計算をホストのみで実行した場合に比べ、アクセラレータを用いた並列分散処理では40倍程度の高速化が実現された。特に並列処理を行った行列要素算出部分に関しては100倍以上の性能向上となり、スーパーリニアスピードアップを観測した。
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