年齢,eGFR,骨密度の関連を調査した.年齢とeGFRは女性では相関を認め男性では相関を認めなかった.年齢と腰椎の骨密度は男性,女性とも相関を認めなかったが全大腿骨近位部および大腿骨頚部の骨密度は女性では弱い相関を認め男性では相関を認めなかった.eGFRは男性,女性ともに腰椎,全大腿骨近位部,大腿骨頚部の骨密度と相関を認めなかった.
骨粗鬆症では亜鉛値が低いことが報告され,また亜鉛欠乏が大腿骨近位部骨折の独立したリスク因子であることが報告されている.亜鉛欠乏が,骨粗鬆症ならびに骨粗鬆症性骨折の代表的な大腿骨近位部骨折と脊椎椎体骨折の潜在的リスク因子となるかを検討した.大腿骨近位部骨折と脊椎椎体骨折では亜鉛値だけでなく,年齢・CONUT・BMI・TRCP-5b・LBMD・FBMDで新規骨折のない骨粗鬆症群との間に有意差を認めた.
Medial pivot型人工膝関節置換術直後の側方弛緩性と術前・術後1年での患者立脚型評価KOOSとの関係を調べた.術直後,麻酔下ストレス撮影で外反角を2度未満,2度以上4度未満,4度以上の3群に,また内反角を4度未満,4度以上8度未満,8度以上に分けた.外反角が4度以上の群では術後1年でADL,sports/recreation,QOLが低値だった.内反角では3群間で有意差はなかった.
上腕骨近位部転移性骨腫瘍に対して人工骨頭置換術(HHR),リバース型人工肩関節置換術(RSA)を行った10症例10肢(HHR 8例,RSA 2例)の治療成績を検討した.自己満足度を除いたMSTS患肢機能評価の中央値は,HHR群で18.0点(72%),RSA群で22.0点(88.0%)だった.上腕骨近位部転移性骨腫瘍に対して,HHRとRSAの治療成績は,これまでの報告と同様で,良好だった.
クリプトコッカス症は健常者における侵襲性真菌感染症として国内で最も頻度が高く,主に肺クリプトコッカス症が多い.骨病変はまれで,今回,原発不明の骨腫瘍との鑑別を要した左尺骨骨クリプトコッカス症の1例を経験した.病巣の掻爬と抗真菌薬の投与で良好な経過を得た.骨破壊像を伴う原発不明の骨腫瘍の鑑別として骨クリプトコッカス症も検討する必要があると思われた.
われわれは垂直距骨に対してDobbs法に準じて治療を行った症例の8年の経過を検討した.初診時生後4ヵ月の男児であり,両足部の舟底足変形と,X線像で垂直距骨を認めた.Dobbs法に準じ徒手整復とギプス治療を施行した.手術は距舟関節を小切開で整復し,綱線とギプスで4週間固定した.8歳現在でX線側面距骨第一中足骨角は15/10° で再発や足部の愁訴は認めず,両足関節の可動域と臨床成績は良好であった.
線維性骨異形成症は多くの場合,掻爬・骨移植で良好な治療成績が得られるが,ときに再発を繰り返す.われわれは,右橈骨近位部に発症した線維性骨異形成症に対し病巣の掻爬後,in situでパスツール処理を施したうえで,自家腓骨移植術を実施した.術後10年において,局所再発や機能障害は認めていない.In situのパスツール処理は,線維性骨異形成症に対する有用な治療の選択肢の一つと考えられた.
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