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─2nd lookまで行った6例について─
河野 紘之, 若生 政憲, 髙山 義裕, 波呂 浩孝
2020 年 32 巻 4 号 p.
526-529
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/25
ジャーナル
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大腿骨頭すべり症(slipped capital femoral epiphysis: SCFE)によるfemoro-acetabular impingement(FAI)に対し,pinning時とscrew抜釘時に2回の股関節鏡下併用手術を行った6例6股について検討した.初回pinningの時点ですべての症例ですでに股関節唇は損傷していた.また,鏡視下にosteochondroplastyを追加して股関節内旋可動域が改善したとしても,その後多くの症例で股関節唇や臼蓋軟骨の損傷は進行しており,患者に症状がなくても慎重な経過観察が必要であると考えられた.
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伊藤 弘樹, 三浦 紘世, 久保田 茂希, 清水 如代, 國府田 正雄, 山崎 正志
2020 年 32 巻 4 号 p.
530-533
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/25
ジャーナル
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高度肥満患者の胸椎後縦靱帯骨化症術後に悪化した左下肢麻痺に対して単関節HALを用いたロボットリハビリテーションにより左膝関節伸展訓練を行った.有害事象なく良好な左下肢筋力の改善が得られた.肥満による両脚用HAL装着不能例に対する機能回復治療において単関節HALは有用な選択肢となりうる可能性が示された.
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小出 知輝, 國府田 正雄, 安部 哲哉, 朝田 智之, 三浦 紘世, 山崎 正志
2020 年 32 巻 4 号 p.
534-537
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/25
ジャーナル
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今回われわれは頚髄不全損傷の慢性期にHAL®治療を実施したので報告する.症例は40歳代男性で,前医で頚椎症性脊髄症に対して片開き式椎弓形成術を受けた.退院後に転倒を繰り返し,外傷性頚髄不全損傷による四肢不全麻痺を呈した.術後1年で当院に転院し,吊り下げ型歩行器を併用して両脚HAL®を用いた歩行訓練を実施した.歩行速度,歩幅,歩行率,ASIA下肢運動スコアは改善し,頚髄不全損傷の慢性期におけるHAL®の有用性が示唆された.
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今尾 貫太, 三輪 仁
2020 年 32 巻 4 号 p.
538-541
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/25
ジャーナル
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観血的整復を要した母指MP関節掌側脱臼の1例を経験したので報告する.症例は87歳女性.歩行中前方へ転倒し,右母指を屈曲強制され受傷した.徒手整復不能であったため,伝達麻酔下に背側進入による観血的整復術を行った.術後3週間固定後リハビリを開始し,最終診察時,日常生活に支障はない.母指MP関節の安定性を獲得することがADLの改善に必要と考えられる.
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小西 真紅子, 岩倉 菜穂子, 高築 義仁, 岡崎 賢
2020 年 32 巻 4 号 p.
542-545
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/25
ジャーナル
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症例は54歳女性.主訴は右手関節痛と母指MP関節伸展障害であり,短母指伸筋腱(以下,EPB)断裂を疑った.しかし超音波検査で腱の連続性は保たれており,局所麻酔薬を第1コンパートメント腱鞘内に注射したところ,ばね現象を伴うMP関節の自動伸展運動が可能となった.以上よりロッキングを伴うde Quervain病と診断し手術を行った.本症例は理学所見上,腱断裂との区別が難しく,超音波検査と局所麻酔薬の注射が診断に有用であった.
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佐々 航, 三又 義訓, 多田 広志, 土井田 稔
2020 年 32 巻 4 号 p.
546-549
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/25
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腱滑膜巨細胞腫(tenosynovial giant cell tumor:TSGCT)は,関節滑膜,滑液包または腱鞘から発生する線維組織球性腫瘍である.われわれは殿部に発生したびまん型TSGCTの1例に対して外科的治療を施行した.筋肉内に発生したTSGCTは報告が少なく,まれな病態と考えられた.関節外に限局していた病変で境界明瞭であったため,摘出は比較的に容易であった.しかし,びまん型TSGCTは局所再発率が高いため,今後も十分な経過観察が必要である.
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田中 真弘, 山本 至宏, 檜山 明彦, 酒井 大輔, 加藤 裕幸, 佐藤 正人, 渡辺 雅彦
2020 年 32 巻 4 号 p.
550-556
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/25
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〈症例1〉82歳女性,以前より腰背部痛があり胸椎椎体癒合不全(Th12)の診断でBKPを行うも前方への脱転が見られ再手術を行い症状改善した.〈症例2〉77歳女性,半年前より腰背部痛があり腰椎椎体癒合不全(L1)と診断でBKPを行うも下方への脱転が見られ再手術を行い症状改善した.低侵襲手術であるBKPは高齢者の手術治療選択として有用であるが,終板欠損などの術前画像評価に留意し,術中の不十分なセメント充填はセメント脱転を引き起こす可能性があることを十分考慮すべきである.
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脇 智彦, 加藤 剛, 石井 宣一, 本橋 正隆, 渡邊 伶奈, 渕岡 佑亮
2020 年 32 巻 4 号 p.
557-560
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/25
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多発性骨髄腫(multiple myeloma: MM)は整形外科で初療する例もある血液内科疾患だが,当院で2016年4月から3年間でMMと診断された77例のうち,当科が関与したのは13例だった.ADL障害を呈す病的椎体骨折を発症した4例にballoon kyphoplasty(BKP)を施行した.MM治療の早期から,病的骨折診断など整形外科と血液内科との密な連携が重要である.
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伊佐治 雅, 須佐 美知郎, 山田 真央, 堀内 圭輔, 尼子 雅敏, 千葉 一裕
2020 年 32 巻 4 号 p.
561-565
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/25
ジャーナル
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脂肪腫は最も頻度の高い良性軟部腫瘍であるが,手部での発生はまれである.われわれは直径5 cmを超える巨大脂肪腫の症例を7例経験し,全例に外科的治療を行い,一塊として切除しえた.2例に医原性の神経損傷を予防するために手根管開放を併用した.術後,合併症は認めず,最終観察時に局所再発を認めた症例はなかった.手根管近傍まで腫瘍が伸展している際は,神経損傷を予防するために手根管開放の併用は有用と考えた.
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若林 俊輝, 金治 有彦, 大矢 昭仁, 梅津 太郎, 中村 雅也, 松本 守雄
2020 年 32 巻 4 号 p.
566-569
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/25
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大腿骨外反骨切り術後の変形性股関節症に対して人工股関節全置換術(THA)を行う場合には,ステムの易挿入性を考慮して変形した大腿骨の矯正骨切り術が行われることが多く,大腿骨矯正骨切り非併用THAの報告は少ない.今回われわれは大腿骨外反骨切り術後の末期変形性股関節症に対して3次元術前シミュレーションに基づいて矯正骨切りを行わずにTHAを行い良好な成績を得た.
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湯浅 悠介, 千馬 誠悦, 成田 裕一郎, 伊藤 博紀, 宮腰 尚久, 島田 洋一
2020 年 32 巻 4 号 p.
570-573
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/25
ジャーナル
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後期高齢者橈骨遠位端骨折に対するStellar 2 plate®の治療成績を検討した.全症例における各X線パラメーターの推移は,ulnar varianceで有意に矯正損失が生じていたが,臨床成績は良好で合併症は認めなかった.骨折型別ではtype Aに比べtype Cで有意にulnar varianceの矯正損失が生じていたが,臨床成績は骨折型による差を認めず,おおむね良好であった.
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小西 一斉, 佐野 秀仁, 長谷川 雅一, 高橋 雅人, 市村 正一
2020 年 32 巻 4 号 p.
574-578
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/25
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経皮的椎弓根スクリュー(PPS)を用いた胸腰椎骨折の治療を報告する.対象は下肢症状のない18例である.術後VAS・椎体楔状率・局所後弯角は有意に改善を認めたが術前椎体楔状率の小さな症例ほど,術後矯正損失を生じやすかった.術前局所後弯角と術後矯正損失の間に相関はなかった.PPSを用いた手術は早期除痛・離床に有用だが,椎体楔状率の小さな症例は前方支柱再建も含めた治療の検討が必要と考えられた.
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小形 拓也, 佐々木 幹, 高窪 祐弥, 伊藤 重治, 大木 弘治, 高木 理彰
2020 年 32 巻 4 号 p.
579-583
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/25
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小児期の大腿骨骨髄炎の既往のある変形性股関節症患者に人工股関節全置換術を施行した.術前評価にて活動性のある感染は確認されなかったが,大腿骨髄腔の高度な骨硬化を伴う閉塞のため,ラスピングが難航した.ノミとリーマーで髄腔形成を行い,コニカルステムを挿入することで手術を終えたが,時間を要した.小児期の大腿骨骨髄炎の既往がある場合には髄腔の骨硬化,狭小化,閉塞に注意する必要がある.
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坂井 映太, 高田 夏彦, 大瀧 宗典, 横井 隆明, 大幸 俊三, 中西 一義
2020 年 32 巻 4 号 p.
584-589
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/25
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子宮筋腫の腹腔鏡下筋腫核出術の既往があり,妊娠とともに右腹壁に手拳大,弾性硬の腫瘤を生じた.造影MRIでは腫瘍内部に造影効果が見られ,子宮にも同様の造影される腫瘤があり,子宮筋腫の再発と考えられた.病理検査で悪性度不明な平滑筋腫瘍(STUMP)と診断し,腹腔鏡下手術後の腹壁でのimplantationと診断し,辺縁切除を行った.再発や転移に注意を要する疾患である.
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上杉 豪, 新田 智久, 波多野 泰三, 澤村 千草, 眞鍋 淳, 五木田 茶舞
2020 年 32 巻 4 号 p.
590-594
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/25
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まれな骨髄炎の起因菌として,サルモネラ菌がある.今回われわれは肩甲骨にサルモネラ骨髄炎を生じた15歳の男子の症例を経験した.病歴と画像所見からは診断が困難で,細菌培養検査でサルモネラ菌を同定し,骨髄炎の診断にいたった.抗菌薬の投与により,症状は改善した.肩甲骨のサルモネラ骨髄炎はまれな疾患で,病歴や画像所見だけでは骨腫瘍などの疾患と鑑別が困難なことがあり,その場合には生検が有用である.
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宗宮 雄己, 有薗 朋行, 守 宏介, 菅 順一郎
2020 年 32 巻 4 号 p.
595-597
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/25
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両側Madelung変形により整容面にコンプレックスをもつ45歳女性に対して,片側ずつ矯正骨切り術を施行した.3Dプリンターを用い術前計画を立て,橈骨はclosing wedge osteotomy,尺骨は短縮術を用い良好な成績を得た.
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岡本 憲人, 木戸 忠人, 奥山 幸一郎, 千葉 光穂
2020 年 32 巻 4 号 p.
598-601
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/25
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腰椎椎間板ヘルニアは日常診療で頻繁に見られる疾患だが,硬膜内に脱出したヘルニアは極めて稀である.当院では腰椎椎間板硬膜内脱出ヘルニアの2例を経験した.いずれも術前に椎間板造影を行い,診断を確定させ,手術療法を行った.硬膜内脱出ヘルニアは特異的な臨床像に乏しく,術前の確定診断が難しいとされる.硬膜内脱出ヘルニアが疑われる症例では椎間板造影を行うべきである.
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高橋 拓也, 佐々木 真一, 大川 淳
2020 年 32 巻 4 号 p.
602-605
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/25
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59歳男性,L4/5片側進入両側除圧術,ヘルニア摘出術施行後5ヵ月で下肢痛が再燃した.単純X線にてL4前方すべりの増悪,MRIにて除圧進入側のL4/5右椎間関節嚢腫によるL5神経根の圧排を認め,再手術としてXLIFを施行した.術後下肢痛は消失し,椎間関節嚢腫も消失した.腰椎後方除圧術後に生じた椎間不安定性に対し,XLIFは大変有用と思われる.
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千葉 優人, 成田 淳, 鈴木 朱美, 中島 拓, 髙木 理彰
2020 年 32 巻 4 号 p.
606-611
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/25
ジャーナル
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内側開大式高位脛骨骨切り術(OWHTO)後合併症に対し,イリザロフ創外固定(IF)を用いて治療した2例を報告する.症例1:68歳,女性.OWHTO後の抜釘時にスクリュー抜去困難があり,同部位で骨折した.髄内釘を施行されたが変形が増悪し,IFによる再手術を行った.症例2:60歳,男性.OWHTO後2週で感染し,デブリドマンを行ったが偽関節となったため,IFによる再手術を行った.2例とも骨癒合が得られ経過良好である.
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板垣 陽介, 大幸 英至, 小島 敏雄, 高田 夏彦, 伊藤 友久, 吉田 行弘
2020 年 32 巻 4 号 p.
612-617
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/25
ジャーナル
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左腸骨翼に限局する仙腸関節浸潤を認めないEnnekin分類P1の巨大な骨巨細胞腫の1例に対し,denosumabの術前投与施行し,surgical down stagingを行った後に局所補助療法併用下腫瘍切除術および骨盤輪再建法を施行した.術後2年後の局所再発,遠隔転移は認められず,再建の術後合併症,骨盤輪破綻を認めず術後機能良好であった1例を報告する.
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吉峰 知宏, 二木 康夫, 岩間 友, 原藤 健吾, 中村 雅也, 松本 守雄
2020 年 32 巻 4 号 p.
618-622
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/25
ジャーナル
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Bellmansらは過度なスポーツ活動は,膝内反モーメントの増大により内側骨端線が早期閉鎖し,脛骨内反が起こる可能性を述べている.生理的なレベルを逸脱した脛骨内反は,将来の変形性膝関節症の発症リスクとなる.症候性ならば矯正骨切り術を行い,下肢機能軸および脛骨近位内反角を正常化すべきである.われわれは症候性脛骨内反変形に対して両側高位脛骨骨切り術を施行し,良好な結果が得られた1例を経験したので報告する.
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横田 武尊, 江尻 荘一, 安永 亨, 紺野 愼一
2020 年 32 巻 4 号 p.
623-629
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/25
ジャーナル
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高位脛骨骨切り術(以下,HTO)後に生じる感染性偽関節はまれであるが,骨欠損が大きいだけでなく再発した内反変形の再矯正が必要となるため治療は困難である.近年では,巨大骨欠損を生じる感染性偽関節に対しinduced membraneを用いた骨再建法(以下,Masquelet法)の有用性が多く報告されているが,HTO後に行った報告はない.われわれは,HTO後感染性偽関節の70歳女性に対しMasquelet法による骨再建を行った.術後3ヵ月で骨癒合が得られ,現在まで感染の再発は認められていない.HTO後感染性偽関節に対するMasquelet法は有用な治療法の一つである.
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菅 重典, 高橋 学, 山部 大輔, 遠藤 寛興, 村上 秀樹, 土井田 稔
2020 年 32 巻 4 号 p.
630-635
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/25
ジャーナル
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P. acnesは偏性嫌気性のグラム陽性桿菌で,椎体インストゥルメント感染における予後不良因子の一つとして挙げられている.抗生剤のみでの治療には限界があり外科的治療を併用することが多い.この度,椎体形成に用いた人工骨にP. acnesが感染し敗血症を呈した症例に対しメトロニダゾール点滴静注製剤が奏功した1例を経験したので報告する.
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安田 和洋, 三浦 和知, 古川 正和, 和田 簡一郎, 石橋 恭之, 津田 英一
2020 年 32 巻 4 号 p.
636-640
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/25
ジャーナル
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頚椎椎弓形成術後に両側C5麻痺を生じた65歳男性に対して,発症7日目より上肢用リハビリテーション支援ロボットDIEGO®を用いた訓練を行った.三角筋筋力のMMTは発症時右[2]/左[2]から1年後には右[5]/左[4]まで回復し,JOAスコアは術前9点から1年後15.5点まで改善した.DIEGO®による上肢挙上位で三次元方向へ上肢訓練を行うことで三角筋の回復を促進したと考えられた.
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勝又 豊啓, 志村 治彦, 二村 昭元, 富澤 將司, 藤田 浩二, 大川 淳
2020 年 32 巻 4 号 p.
641-646
発行日: 2020年
公開日: 2020/12/25
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上腕骨近位端骨折に対する髄内釘手術後に髄内釘下端でのインプラント周囲骨折を認めた2例を経験した.1例は上腕骨近位端骨折が骨癒合しておらず,髄内釘抜去後に上腕骨近位端にMIPOを行い,さらに遠位骨幹部骨折に対して前方MIPOを行った.1例は上腕骨近位端骨折治療から11年経過して髄内釘が抜去不能であり,髄内釘を留置したまま前方MIPO法でプレート固定を施行した.
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