集団力学
Online ISSN : 2187-2872
ISSN-L : 2187-2872
33 巻
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編集委員・編集方針
日本語論文(英語抄録付)
  • 東村 知子, 樂木 章子, 八ッ塚 一郎
    2016 年 33 巻 p. 3-23
    発行日: 2016/12/28
    公開日: 2016/10/01
    ジャーナル フリー

    養親子家庭に対して大学生が有するイメージに焦点をあて,当事者による授業を通してそのイメージがどのように変化したか,あるいは変化しなかったかを,事前アンケートと事後レポートの分析を通して明らかにした。分析の結果,学生たちが事前に有していた「無責任」な産みの親,「かわいそう」な子ども,「優しく愛情深い」育ての親というステレオタイプ的なイメージが,彼(女)らもまた「ふつうの親,ふつうの子ども,ふつうの人間」なのだという理解に変化するという,典型的なパターンが見出された。事後レポートを詳細に検討したところ,このような典型的な変化が必ずしも本質的な学びにつながっていないことが明らかになる一方,これまで気づかずにとらわれていた自らの思い込みを自覚し乗り越えることができたと思われる記述もごく一部の学生にではあるが見られた。多くの学生のイメージが根本的に変化しなかった背景には,結婚・妊娠・子育てを一体のものとする規範と,主体的な選択と責任を押し付ける規範の二つがあることを指摘し,それらを踏まえた今後の啓発活動のあり方を考察した。

  • 河合 直樹, 永田 素彦
    2016 年 33 巻 p. 25-48
    発行日: 2016/12/28
    公開日: 2016/10/01
    ジャーナル フリー

     本研究は,東日本大震災(2011 年)の被災地で開催している「書道教室」が,被災住民の内発的復興を促す可能性を,アクションリサーチを通じて検討したものである。書道教室は、被災地の一つである岩手県野田村において,2012 10 月からほぼ毎月開催してきた。この実践の大きな特徴は,活動のなかで「復興」という目的を明示しないという点にある。第一著者は,講師役としてこの書道教室を主宰し,参加者および関係者の言動を参与観察した。
     書道教室は,これまで交流のなかった多様な住民が集う新たな共同体となった。すなわち,参加者は,主体的に書道を楽しむだけでなく,それをとおして新たな人間関係を構築した。このことは,書道教室が,生活の立て直しに追われるばかりだった住民にとっての貴重な機会となったことを示唆している。

     そのうえで,正統的周辺参加論(レイヴ&ウェンガー
    , 1993/1991)の観点から,書道教室が「復興といわない復興支援」として被災地の内発的復興を促す可能性を論じた。具体的には,次の3 点を考察した。(1)既存の復興支援活動は,復興を強調することによって「受援者」という受動的な役割を被災者に獲得させてしまう傾向があった;(2)それに対して書道教室は,被災者が主体性を取り戻すための新たな共同体として機能した;(3)その共同体では,「復興」や「受援者」を強調する支配的な言説に対して,住民が主体的に物事に取り組む姿勢を喚起する新たな言説が創出された。

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