突然の呼吸困難で発症し, 人工呼吸管理中たびたび起こる換気不全により発見された血管輪 (Stewart分類III A1b) の1例を経験した。症例は心室中隔欠損症を持つ6ヶ月男児。生後2ヶ月頃から常に喘鳴を認め, 近医で気管支喘息と診断されていた。咳き込みに伴う急激な呼吸困難のため受診し, チアノーゼ・SpO
2低下を認め, 緊急に人工呼吸器管理を開始した。挿管チューブ位置により喘鳴増強・換気不良を認め, X線上気管透瞭像が左方偏位し, 気管分岐部が不明瞭であることから, 大血管の解剖学的異常に伴う気管狭窄を疑った。造影CT検査を行ったところ, 右下行大動脈内側に小憩室を認め, この部位につながる左動脈管索による血管輪と診断した。動脈管索の切離により気管狭窄は軽快した。本症例のような血管輪はCT上, 動脈管索の造影所見に乏しく, 大動脈の小憩室に注意して読影することが診断に重要であった。
抄録全体を表示