症例は10歳女児。2歳時に気管支喘息の診断を受け, 以後デキサメタゾン含有吸入剤 (ストメリンD
®) をほぼ毎日使用していた。7歳時より著明な体重増加, 9歳時より身長の伸び率低下を認め, 肥満の加療目的にて当科に紹介入院となった。肥満度47%と中等肥満を認めたが, 満月様顔貌, 中心性肥満, 多毛などクッシング症候群の理学所見を認めたため, 副腎機能検査を施行したところ中枢性の副腎不全の所見を得た。吸入剤以外にステロイド薬を使用しておらず, デキサメタゾン含有吸入剤の過量投与による医原性クッシング症候群および慢性副腎不全と診断し, 現在ステロイド補充療法を行っている。小児気管支喘息においてもステロイド吸入剤は広く使用されるようになっているが, その副作用出現については細心の注意を払うべきであり, デキサメタゾンは定期吸入に用いるべきではないと考えられた。
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