日本フットケア・足病医学会誌
Online ISSN : 2435-4783
Print ISSN : 2435-4775
1 巻, 3 号
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特集:保険適用となった圧迫療法 日本静脈学会弾性ストッキング・圧迫療法コンダクター養成委員会報告:
  • 孟 真
    2020 年 1 巻 3 号 p. 109-
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    ジャーナル フリー
  • 佐久田 斉, 松原 忍, 孟 真
    2020 年 1 巻 3 号 p. 110-117
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    ジャーナル フリー
     圧迫療法は弾性ストッキングなどの弾性着衣や弾性包帯の装着, 空気圧式マッサージ器により身体に圧迫圧をかける治療法であり, 静脈性潰瘍の治癒促進および再発減少, 深部静脈血栓症 (DVT) 発症のリスク軽減, DVTなどによるうっ血症状の緩和に有効である. 圧迫療法が有効に働く機序として静脈還流の改善および増強, 浮腫や微小循環の改善, 炎症性サイトカインの減少などがある. それゆえ圧迫療法を理解するには, 静脈還流の機序と影響する因子, 浮腫が発生する機序と原因など, 生理学的な基礎知識が重要である. また, 圧迫療法は生体に圧をかけることにより治療効果を発揮するため, 圧迫装具の物理学的特性を理解することが必要である. 後者は圧迫圧を安静時と運動時に区別したうえで, 圧迫療法を規定する安静時圧迫圧, 層の数, 構成要素, 伸縮性・伸び硬度の因子別に分けて考えると理解しやすい. 圧迫療法に関する力学法則としてはLaplaceの法則が重要である. 本稿では, おもに静脈疾患に対する圧迫療法の生理学的基礎知識とその理論を解説する.
  • 佐久田 斉, 孟 真, 八杉 巧, 杉山 悟, 岩田 博英, 松原 忍, 今井 崇裕
    2020 年 1 巻 3 号 p. 118-124
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    ジャーナル フリー
     医療器機である弾性ストッキングなどの弾性着衣や弾性包帯は, 下肢静脈瘤や静脈性潰瘍の治療, 深部静脈血栓症・肺血栓塞栓症の予防などに幅広く使用されている. これらの圧迫療法において, 合併症なく十分な効果を得るために, 弾性着衣・弾性包帯の正しい使用法を熟知し, 患者さんの苦情や質問に答えられる医療従事者を養成する目的で, 2002年に弾性ストッキング・コンダクター養成委員会が組織され, コンダクターの認定を開始した. 2020年4月から静脈性潰瘍に対する静脈圧迫処置が診療報酬として算定できるようになり, その施設基準として所定の講習会受講が求められている. これに対応するため, 講習会の内容を充実させ「弾性ストッキング・圧迫療法コンダクター講習会」と名称を変更し, 認定資格を「弾性ストッキング・圧迫療法コンダクター」と改称した. 本稿ではその趣旨, 認定制度, 認定教科書, あわせて本邦における圧迫療法の学問的発展に寄与することを目的に設立された「平井圧迫療法賞」を解説する.
  • 小川 佳宏
    2020 年 1 巻 3 号 p. 125-131
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    ジャーナル フリー
     リンパ浮腫の治療には, 古くから複合的理学療法と呼ばれる保存的治療が行われているが, 特に圧迫療法を欠かすことはできない. リンパ浮腫はリンパ管系に異常があり, リンパ還流障害によって運搬されるべき組織間液が増加して発症する. 組織間液は毛細血管から漏出して増加するため, 患肢を圧迫して静脈圧を下げ組織間圧を上げることにより, 組織間液は増加せずリンパ浮腫の悪化を防ぐことができる. また同時に静脈・リンパ管の機能も改善できる. ただし不適切な圧迫療法は, 着用して患肢に食い込むことで逆に症状を悪化させることがある. 上肢リンパ浮腫に使用する弾性スリーブ・グローブは, 手・肘関節や上腕中枢で食い込みやすく, 下肢リンパ浮腫に使用する弾性ストッキングは, 足・膝関節や大腿中枢で食い込みやすく注意が必要である. 患肢に食い込みにくい圧迫療法には, 患肢の状態に合った圧迫力・素材・形状などを選択できる治療経験が重要である.
  • 孟 真
    2020 年 1 巻 3 号 p. 132-140
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    ジャーナル フリー
     慢性静脈不全症による静脈性下肢潰瘍は静脈高血圧を背景として発症し, 難治で再発が多い. その基本的な治療法は弾性包帯, 弾性ストッキングによる圧迫療法で, 2020年より保険適用となった. 診断には下肢静脈超音波検査, 足関節上腕動脈血圧比などの血流検査は必須である. 治療は, 生活指導, 適切な圧迫圧をかける圧迫療法を基本とする. 圧迫療法は患者のアドヒアランスを考慮しながら, 弾性包帯, 弾性ストッキングなどを使い分けて潰瘍治療, 再発予防を行う. 圧迫療法の知識・手技を習得し, 患者に適した圧迫方法を選択することが大切である.
原著
  • 鬼塚 彩由美, 寺部 雄太
    2020 年 1 巻 3 号 p. 141-145
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    ジャーナル フリー
     V.A.C.ULTA®型陰圧維持管理装置の使用開始に伴い, 洗浄液の周期的自動注入機能付き陰圧創傷治療システム (以下NPWT i-d) が普及してきた. NPWT i-dは従来の局所陰圧閉鎖療法 (以下NPWT) と比較して, 入院期間・創治癒期間短縮の報告がある. 2017年4月から2018年6月に東京西徳洲会病院に入院した足潰瘍患者のうち, デブリードマン後にNPWTと閉創手術を施行した41例 (NPWT 30例, NPWT i-d 11例) を対象とした. 入院期間, NPWT装着期間, 最終手術までの期間, 手術回数, 創治癒率を比較した. 入院期間, NPWT装着期間, 最終手術までの期間, 手術回数に有意差はなかった. 創治癒率はNPWT i-d群のほうが良好であった. NPWT i-d群は重症例が多いにもかかわらず同等の治療結果が得られ, NPWT i-dの高い治療効果が示唆された. 今後は症例数を増やして検討する必要がある.
  • 江田 茜, 宇都宮 誠, 相沢 宏美, 深田 美香, 松井 夏子, 中村 正人
    2020 年 1 巻 3 号 p. 146-151
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    ジャーナル フリー
     重症下肢虚血症 (CLI) においては, 潰瘍治癒を得るまでに複数回の血管内治療 (EVT) を要することが多い. 患者が苦痛なく, 安全かつ円滑に治療が受けられるために, EVT中に鎮静薬を用いる機会も増えている. しかし, その有効性や安全性に関する検討はない. 今回, EVT施行中の鎮静薬使用による患者に対する負担の軽減効果と安全性について検討を行った. 対象は2019年6月から2020年1月の間にEVTを施行された連続93症例. 鎮静薬使用の有無は術者の判断によって決定され, 患者の苦痛の程度はフェイススケール (FS) を用いて評価した. デクスメデトミジン (dexmedetomidine : DEX) 使用群は78例, 非使用群は15例であり, 患者・手技背景からの有意な差は認めなかった. また多変量解析で, 年齢, 性別, 糖尿病, 腎不全, 手技時間, CLIで補正後も, 薬剤使用は疼痛軽減と有意に関連を示した. EVT施行中のDEX使用は, 治療時間を延長することなく患者の苦痛を軽減することができた. 副作用の出現は少なかったが, 対応については熟知しておく必要がある.
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