日本フットケア・足病医学会誌
Online ISSN : 2435-4783
Print ISSN : 2435-4775
5 巻, 3 号
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第5回日本フットケア・足病医学会年次学術集会のご案内
特集:膝下領域血管拡張困難症例の次の一手
  • 野村 拓生
    2024 年5 巻3 号 p. 145-151
    発行日: 2024/09/30
    公開日: 2024/09/30
    ジャーナル フリー

     包括的高度慢性下肢虚血 (chronic limb threatening ischemia : CLTI) に対する血行再建術の基本は動脈血行再建である. しかし足部動脈の分布が破綻した, いわゆるdesert footに対しては施行困難なことが多い. このような解剖学的に重症なCLTIはno-option CLTIと称され, 糖尿病や透析患者に多く認めるため今後増加が予想される. No-option CLTIに対する代替治療がいくつか試みられているが, どれもコンセンサスを得られておらず, 次の一手となり得ていないのが現状である.
      その代替治療の一つにdistal venous arterialization (DVA) がある.
     DVAは足部静脈を動脈化することで組織の虚血改善を図る術式で, 外科的DVA (s-DVA) と経皮的DVA (p-DVA) がある.
     s-DVAで逆行性に足趾まで十分な動脈血を供給するためには, 確実な静脈弁処理, 分枝を介した生理的動静脈shuntの制御が重要となる.
     また末梢側吻合部の選択やDVAを長期開存させるための術後管理, DVAを活かした創傷治療も必要な要素である.
     No-option CLTIは, 救肢を目指すわれわれ血行再建医が乗り越えなければならない大きな壁であり, 今後もエビデンスの蓄積が必要である.

  • 宮本 明, 高木 友誠, 久原 亮二, 福田 正浩, 大浦 紀彦, 山内 靖隆
    2024 年5 巻3 号 p. 152-158
    発行日: 2024/09/30
    公開日: 2024/09/30
    ジャーナル フリー

     われわれは, 足関節以下の重篤な病変を持つ包括的高度慢性下肢虚血 (CLTI) 例に対し, 日本では未承認のLimFlowシステムに代わって, 標準的なバルーン血管拡張術によるpDVAを実施している. これまでに36例42肢の治療を行い, その手技と成績を報告する. 本法の手技は, 閉塞した脛骨動脈 (通常は後脛骨動脈) を足関節部までバルーン拡張し, 次に足関節部で後脛骨動静脈瘻 (AVF) を作成し, 足底静脈へワイヤーを通過させ, バルーン拡張により足部静脈へ動脈血を灌流させる. AVFはvenous arterialization simplified techniqueを用いて実施した. 対象は, 94.4%が透析例で, 全例足部に傷を有しRutherford分類6が57.1%であった. 手技成功は100%であり, 重篤な合併症はなかった. bail outステントを要した2肢を除き, すべてバルーン拡張のみで手技を完遂した. 術後1年時点での累積大切断回避生存率は47.0%と不良であったが, 大切断は4肢と少なく, 術後1年時点で創傷治癒率は56.0%と妥当な成績であった. バルーン形成術のみを用いた本法は, pDVAの有効な選択肢の一つであると考える.

  • 新宅 究典, 川西 秀樹, 佐藤 友保
    2024 年5 巻3 号 p. 159-163
    発行日: 2024/09/30
    公開日: 2024/09/30
    ジャーナル フリー

     包括的高度慢性下肢虚血 (chronic limb-threatening ischemia: CLTI) の治療において, 血行再建術や, 経皮的血管拡張術等がなされているにも関わらず, 治療に難渋するケースは少なくない. 2021年に保険収載されたレオカーナは, 直接吸着療法をするにあたり血漿分離が不要な直接血液吸着療法であり, かつ, LDL-Cの値に関わらず吸着療法が可能となった. 対象患者は, 血行再建術不適応な潰瘍を有する閉塞性動脈硬化症(Fontaine IV)患者である. 血行再建術不適応の判断基準は, 血行再建術が実施できない (不適応) , もしくは, 実施しても術が不成功や再狭窄などで潰瘍が改善しない (不応答) 患者である. 不適応・不応答としては, 解剖学的困難, 血行再建術が手技的に不成功, 血行再建術が臨床的に不成功, その他の理由などがあげられる. 本編では, レオカーナの原理, 使用法等について述べる.

  • 竹井 達郎
    2024 年5 巻3 号 p. 164-168
    発行日: 2024/09/30
    公開日: 2024/09/30
    ジャーナル フリー

     組織欠損を有する包括的高度慢性下肢虚血 (CLTI) は下肢閉塞性動脈疾患の最重症であり, 下肢大切断リスクも非常に高い疾患である. 下肢に虚血を有する場合は血管内治療 (EVT) や外科的バイパス術による血行再建が必要となるが, 病変解剖によっては必ずしも全ての患者に行えるわけではない. そのような患者においてはLDLアフェレーシスなどの補助療法が適応となる. 現在, 本邦では難治性の創傷を有するCLTI患者に対してLDLアフェレーシスであるレオカーナが使用できる. 今回, われわれはCLTI患者にレオカーナが有効であった症例を報告する. 患者は66歳男性の透析患者. 右第1趾に難治性潰瘍を認めたため下肢造影を行うと足関節以下病変であった. まずは創傷治療で経過を見ていたが治癒傾向にないためEVTによる足背動脈の血行再建を行った. しかし, その後デブリドマンを行うも壊死が進行したためレオカーナによる治療を開始した. フォローアップの下肢造影では以前認めなかったwound blushも観察され, 最終的に創傷治癒を得た. 積極的な血行再建を行うも効果に乏しく, レオカーナが著効した症例を経験したので報告する.

  • 大浦 紀彦, 久原 亮二, 中山 大輔, 長坂 優香, 草間 峻, Chen Yi Syuan, 松井 孝太郎, 加賀谷 優, 舟橋 紗耶華 ...
    2024 年5 巻3 号 p. 169-174
    発行日: 2024/09/30
    公開日: 2024/09/30
    ジャーナル フリー

     包括的高度慢性下肢虚血 (chronic limb-threatening ischemia, 以下CLTI) 治療は虚血部位に対する血行再建術を施行し, 切断を回避または切断部位を最小範囲に限定し創傷治癒を獲得し歩行を維持させることにある. 近年, 足関節以下の動脈の障害を認める症例が増加している. このような症例ではEVTだけでは創傷治癒が得られず上流の血行再建を行った後で代替療法が選択される. 高気圧酸素療法 (HBOT) は代替療法のひとつで, チャンバーの中に患者を収容し (図2), 大気圧よりも高い気圧環境下で, 患者に純酸素または高濃度酸素を吸入させ, 動脈血の血漿内の溶解型酸素濃度を上昇させ, 低酸素状態にある組織の改善をはかる治療法である. 一般的にHBOTは虚血(CLTI), 感染, 浮腫の3つの病態に効果を発揮する. CLTIにおけるHBOTを使用する上での注意点は, HBOTは動脈の狭窄や閉塞を治療するものではないため, まず血行再建を行い上流の動脈血流を再建しておくことである. またCLTIでは常に再狭窄を考慮する必要があり, 虚血を認めた場合には血流を評価しただちに血行再建術を行うことが重要である.

原著
  • 法木 左近, 石田 久哉
    2024 年5 巻3 号 p. 175-180
    発行日: 2024/09/30
    公開日: 2024/09/30
    ジャーナル フリー

     足白癬は糖尿病足病変の予後に関係するため, フットケア領域では重要な疾患である. 趾間型, 小水疱型, 角化型の3つの病型があり, 踵部にはかゆみをほとんど呈さない角化型が多い. したがって, 疾患を見逃す可能性が高く, 正確な診断を必要とする. 白癬診断のゴールドスタンダードは水酸化カリウム直接鏡検法 (KOH法) であるが, 特に踵部は検体採取部位や採取方法に経験を要する. 本研究では誰でも簡便に検体を採取できる方法として, 美容用角質削り器 (以下角質削り器と略) を用いた. さらにこの検体を, 爪白癬に対して保険適用になっているモノクローナル抗体白癬菌抗原キット (以下キットと略) で診断を試みた. 被験者は, 角化型足白癬で皮膚科通院中および踵部の角化を主訴に皮膚科を受診した19名, および健常人ボランティア20名の計39名とした. その結果, 感度, 特異度, 診断精度, 陽性尤度比, 陰性尤度比においてKOH法と高い診断一致率を示した. 角化型足白癬の診断に, 角質削り器とキットを使用した方法は, 有用であると考えた.

  • 堀井 えりな, 石澤 美保子, 佐竹 陽子, 小川 智永, 溝尻 由美, 松田 雅江
    2024 年5 巻3 号 p. 181-185
    発行日: 2024/09/30
    公開日: 2024/09/30
    ジャーナル フリー

     高齢者の趾爪は, 加齢による変化に加えて爪白癬の罹患率が高い. その理由として, 高齢者自身や彼らをサポートする側の, 爪に対する認識およびケア不足が関係していると考えた. そこで, 今回, われわれは高齢者の足趾のケアおよびそれに関連する生活環境と爪白癬罹患について検討した.

  • 中山 広譜, 寺部 雄太
    2024 年5 巻3 号 p. 186-190
    発行日: 2024/09/30
    公開日: 2024/09/30
    ジャーナル フリー

     包括的高度慢性下肢虚血 (chronic limb-threatening ischemia : CLTI) の生命予後は不良であり, 生活の質, 日常生活動作も著しく低下させる. また, CLTIは疼痛が強く薬物療法でもコントロールが不良なこともあり, 治療が中断することもある. そのため, 脊髄刺激療法 (spinal cord stimulation : SCS) で疼痛コントロールができないか検討した. SCSは, 効果の有無を判断する試験刺激 (トライアル) と効果がある場合は植込みを行う方法がある. 本稿ではトライアル症例を報告する.
     2015年1月から2022年8月まで春日部中央総合病院でCLTI 33名に対して疼痛コントロールを目的にSCSを施行した. 評価方法は, NRS (numeric rating scale), ODI (Oswestry disability index 2.0), PCS (pain catastrophizing scale) をSCS使用前後で評価した. 統計学解析は, Wilcoxonの符号付順位和検定で有意水準はp<0.05とした. 本研究結果よりNRSは平均5減少 (n=61, p<0.05), ODIは平均12点減少 (n=14, p<0.05), PCSは平均13点減少 (n=8, p<0.05) であった. CLTIに対してSCSによる疼痛コントロールは有効であった.

  • 田原 裕希恵, 雨宮 歩, 北川 柚香, 加瀨 竜太郎, 小笠原 定久, 加藤 直也, 小宮山 政敏
    2024 年5 巻3 号 p. 191-199
    発行日: 2024/09/30
    公開日: 2024/09/30
    ジャーナル フリー

     【目的】手足症候群 (hand-foot syndrome: HFS) は抗がん剤によって手や足の皮膚が障害される有害事象であり, 足の外力を受ける部位に発生しやすい. 足に加わる外力は足の形態や履物のサイズと関係がある. 本研究では, 重度HFSに関連する足と履物の特徴を明らかにし, 重度HFS発生リスクを予測することを目的とした.
     【方法】本研究はコホート研究で, 抗がん剤治療を受ける肝細胞がん患者のarch index (AI) , 履物のサイズ, HFSの発生状況などを調査した.HFSはCTCAEに基づきG1からG3に分類し, G2以上は重度群 (PG) , HFS未発生とG1を非重度群 (NG) とし, 二群間で比較した.
     【結果】AIはPG群 (n=22) で27.1±4.2とNG群 (n=33) の25.2±3.1より高かったが, 有意差はなかった (p=0.07, p=0.11) . また, 外反母趾有病率はNG群 (4人, 12%) よりもPG群 (7人, 32%) の方が高かったが, 統計的有意差は認められなかった (p=0.09, p=0.23) . 事後検定でAIと外反母趾のパワーはそれぞれ0.45と0.38と低かった.
     【結論】今後さらにサンプル数を増やすことで, 重度のHFSと足や履物の特徴との関連が示される可能性がある.

  • 西山 育美, 谷村 信宏, 木津 あかね, 小川 綾子, 勝木 志津江, 北浦 和樹, 西島 真紀, 濱畑 恵美, 三原 智紗
    2024 年5 巻3 号 p. 200-205
    発行日: 2024/09/30
    公開日: 2024/09/30
    ジャーナル フリー

     透析患者の包括的高度慢性下肢虚血 (chronic limb-threatening ischemia:CLTI) に対しレオカーナ® による血液浄化療法を実施した. 目的はレオカーナ®治療を実施するCLTI患者のQOLを評価するとともに治療前後のQOL変化を明らかにすることである. 対象はレオカーナ®が適応となったCLTI患者14名で, KDQOL-SF™(the Kidney Disease Quality of Life Short Form) version 1.3質問票によるQOL評価を行い, レオカーナ® 治療を完了した7名の治療前後でQOLと痛みの比較をおこなった. 結果, CLTI患者のQOLは, 代表値1) と比べて, 包括的尺度が低い傾向で「腎疾患による負担」を除く腎疾患特異的尺度は良好であった. レオカーナ®終了後のQOLは治療前と比べ「体の痛み」「社会生活機能」「活力」の3つの包括的尺度において有意に改善した. CLTI患者では痛みや苦痛症状が強いことがQOLに大きく影響し, 包括的QOLが低くなると考えられ, レオカーナ®治療による下肢痛の改善が, 人とのつきあいや活力の向上につながった可能性がある.

症例報告
  • 吉田 みゆき, 渡辺 郁美, 竹内 美千代, 前田 靖子, 徳田 尊洋, 大場 泰洋
    2024 年5 巻3 号 p. 206-211
    発行日: 2024/09/30
    公開日: 2024/09/30
    ジャーナル フリー

     包括的高度慢性下肢虚血の救肢には, 血行再建と創部治療を主体とした集学的治療が必要である. 下肢創傷を伴う場合は血行再建後も治癒までに時間を要する. 再狭窄を起こすと, 創傷の悪化から感染や下肢切断のリスクが高くなる. 下肢切断を回避して創傷を治癒するためには, 日々のフットケアに加えて定期的な血流評価と局所の処置および必要に応じた血行再建を行う必要がある. しかしながら単一施設で創傷治癒に至るまでの治療を行うことは難しく, 退院後は近隣の医療機関や訪問看護ステーションとの連携が重要となる. 当院では, 透析病院・訪問看護ステーションといった地域の医療機関や施設と患者の情報を共有し, 統一した方法でフットケアを提供できるよう「フットケア地域連携パス」を作成し運用を開始した. 連携パスによってフットケア方法の統一だけではなく, 患者のセルフケア能力の向上, 病変の早期発見などの成果も得られたことにより下肢切断を回避することができた症例を経験した. 症例を振り返りフットケア地域連携パス運用の効果について報告する.

日本フットケア・足病医学会 役員・評議員名簿
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