本稿は,保証責任江南医療購買利用組合連合会(設立認可1938年4月8日,事業開始1939年6月3日)が設立された時代背景や理由および目的を歴史的文脈において考察することを目的としている。とりわけ,1932年からの時局匡救医療救護事業,医療利用組合連合会の形成,そして国民健康保険あるいは保健所といった保健国策などの相互連関に注目する。そこから,江南医療購買利用組合連合会による保健事業-医療事業-医療共済事業の一体的展開は,直接的には,地域の健康および保健医療問題への取り組みであるが,それは戦時体制下での保健国策・人的資源政策と相即的であり,かつそれに積極的に寄与するものであったことがあきらかになるであろう。
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