土木学会論文集G
Online ISSN : 1880-6082
ISSN-L : 1880-6082
64 巻, 4 号
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和文論文
  • 貫上 佳則, 毛利 光男, 加瀬 隆雄
    2008 年 64 巻 4 号 p. 304-313
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/19
    ジャーナル フリー
     汚染土壌中の重金属の溶出性は重金属の化合形態によって異なり,結果として汚染土壌からの重金属の移動性も大きく異なることになる.本研究では,溶出性の観点から汚染土壌中の鉛やふっ素,水銀などの化合形態を調べるため,蒸留水による抽出処理と酢酸による中和処理の後にBCR逐次抽出法を実施する改良法を用いた.この方法を用いて汚染土壌中の重金属を溶出性の観点から分画し,その分布を示すとともに,汚染土壌に含まれる重金属の存在形態を推定した.また,環境省告示46号法や,最大溶出可能量を把握するとされるAvailability試験(NEN7371)による結果との比較から,長期にわたる汚染土壌からの溶出可能な成分の割合を推定した.
  • 毛利 光男, 貫上 佳則
    2008 年 64 巻 4 号 p. 314-326
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/19
    ジャーナル フリー
     土壌洗浄法は汚染土壌から重金属や鉱物油の汚染物質が付着している細粒子分をサイクロン,フローテーションを用いて砂から分離することによって土壌を浄化する技術である.重金属汚染土壌を的確に処理するためには,従来の含有量と溶出量の指標だけでは不十分であり,汚染土壌中の重金属の溶出特性と化学形態を把握することが必要である.本研究では,重金属類による汚染土壌で頻出する鉛とフッ素を対象として,改良BCR逐次抽出法を用いて多数の汚染土壌の鉛とフッ素の化学形態を調べた.次に,洗浄処理試験と並行して改良BCR法を実施し,洗浄プロセスによって分離される鉛とフッ素と洗浄砂に残存する鉛とフッ素の化学形態の検討を行った.これより,洗浄プロセスが鉛とフッ素の含有量と溶出量の低減にどのように作用しているのかを解析的に評価した.
  • 鈴木 紗織, 阿部 憲一, 山口 隆司, 大橋 晶良, 原田 秀樹, 上村 繁樹
    2008 年 64 巻 4 号 p. 327-335
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/19
    ジャーナル フリー
     DHS(Down-flow Hanging Sponge)リアクターを用いて,高塩分含有排水の効率的有機物除去とアンモニア性窒素の酸化を試みた.本リアクターに,アンモニア性窒素,フェノール,および希釈海水由来の塩化物を大量に含む人工コークス炉ガス洗浄排水(アンモニア性窒素;500mg-N·l-1,フェノール;1400mg-COD·l-1)を供給した.最終的にDHSを3台連結させ,全HRT12時間において,アンモニア性窒素除去率96.8%,COD除去率99.6%を達成した.第1段目のDHSで有機物が選択的に除去され,アンモニア性窒素は主に2∼3段目で酸化されることを確認した.付着汚泥のクローン解析を行ったところ,硝化に関与する細菌の近似クローンが,2本目以降のDHSで多く検出され,DHSの流下方向において細菌の棲み分けが確立されていることが示唆された.
  • 加用 千裕, 荒巻 俊也, 花木 啓祐
    2008 年 64 巻 4 号 p. 336-346
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/19
    ジャーナル フリー
     日本国内の森林資源のエネルギー利用について化石燃料の消費削減に伴うCO2削減効果だけでなく森林や住宅における炭素ストック変化を考慮した実質のCO2削減効果を2050年まで推計した.その結果,エネルギー用木材の植林と皆伐によって炭素ストック量は長期に渡って大幅に減少することが分かり,それら炭素ストック量の変化がCO2削減効果へ与える影響を考慮することの重要性が示された.従来樹種によるエネルギー用木材生産とそのバイオエタノール利用を行う場合は,実質のCO2削減効果はマイナスとなり長期的にCO2排出源となった.一方,早生樹種の場合は,2025年以降に実質のCO2削減効果が見込まれ,森林を保全しながらCO2吸収源として活用するよりも効果があることが分かった.
英文論文
  • Wilasinee YOOCHATCHAVAL, Haruhiko SUMINO, Akiyoshi OHASHI, Hideki HARA ...
    2008 年 64 巻 4 号 p. 297-303
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/19
    ジャーナル フリー
    A laboratory-scale EGSB reactor was operated for 400 days to investigate the effect of a temperature decrease on the physical and microbial characteristics of retained granular sludge. The reactor was inoculated with 20°C-grown granular sludge and started up at 15°C. The influent COD of synthetic wastewater was set at 0.6-0.8 g COD/L. The process temperature was reduced stepwise from 15°C to 5°C during the experiment. Decreasing the temperature from 15°C to 10°C decreased COD removal efficiency. However, continuous operation of the EGSB reactor at 10°C led to an efficient treatment of wastewater (70% of COD removal, 50-60% of methane recovery). Unfortunately, at 5°C COD removal efficiency drastically decreased and the amount of removed COD dropped to half of that at 15°C. A decrease in sludge concentration and a major deterioration of the retained sludge's settleability were observed while the reactor was operated at 5°C. We confirmed the remarkable increase of methanogenic activity of retained sludge at 15-20°C due to the low temperature operation of the reactor. The increment of activity of retained sludge as compared with seed sludge was higher at 20°C for acetate (3.9 times higher) and at 15°C for H2/CO2 (6.4 times higher). Changes in the microbial structure of retained sludge with respect to Archaea were investigated by 16S rDNA-targeted DGGE analysis and cloning. This revealed that the genus Methanospirillum, a hydrogen-utilizing methanogen, proliferated. An expected decrease in some Methanobacterium spp. due to low temperature operation of the reactor occurred. On the other hand, genus Methanosaeta was abundant as an acetoclastic-methanogen throughout the experiment.
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