生体医工学
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55Annual 巻, 3PM-Abstract 号
選択された号の論文の57件中51~57を表示しています
抄録
  • 藤田 大輔, 鈴木 新
    2017 年 55Annual 巻 3PM-Abstract 号 p. 243
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    市販されている血圧計は一般に上腕をカフによって加圧する必要がある。これは、カフ着脱の手間や連続測定ができないという問題がある。そのため光電脈波を用いたカフレス血圧測定法が注目されている。カフレス血圧測定では脈波の波形形状から血圧の推定が行われる。その際、脈波は起伏が乏しく、基線が変動するため、2次微分脈波が用いられる。しかし2次微分脈波はノイズの影響を受けやすく、その影響を避けるためのフィルタリングによって波高の特徴量が取得できなくなることがある。本研究ではこの問題を解決するために、従来の特徴量とは異なる振幅方向の等高線ベース特徴量を提案し、これによる血圧値推定を目指す。

  • 深堀 俊, 土肥 徹次
    2017 年 55Annual 巻 3PM-Abstract 号 p. 244
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    日常生活中での高頻度な血圧計測のためにトノメトリ法による血圧計測が行われている.しかし,トノメトリ法は手首の体動や慣性力,高低差変化などの影響が大きいという問題がある.そこで,本研究では血圧脈波を計測するセンサと手首の体動を計測するセンサの2つを使用し,脈波計測センサから体動計測センサの値を減算することで手首を動かすことで発生するノイズの低減を行う.脈波計測センサでは脈波にノイズが重畳するため,体動計測センサで計測したノイズを減算することで較正ができると考えた.そこで,3軸調整機構を持った血圧脈波計測デバイスを用いて脈波計測実験を行った.まず,手首の橈骨動脈において脈波計測としての適切な計測箇所を調べるために橈骨動脈上の7箇所で脈波計測を行った.実験の結果,中心3箇所において脈波振幅の平均が212 mN,193 mN,172 mNとなり,計測に適した箇所だと判断した.次に,中心3箇所のうちの1箇所で手首を前後に体動させた時の血圧脈波と体動によるノイズを計測し,血圧脈波からノイズの値を減算することで較正した.その結果,脈波の振幅の標準偏差が49.6 mNから30.4 mNとなり,38.7%減少した.以上より,手首の体動時の血圧脈波を計測し,血圧脈波から体動時の影響を減算することで,手首を動かした際に発生するノイズを低減することが可能であることを示した.

  • 佐藤 翔吾, 土肥 徹次
    2017 年 55Annual 巻 3PM-Abstract 号 p. 245
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    近年,連続的な血圧計測のために使用者に負担の少ないトノメトリ法を用いた血圧脈波計測が試みられている.しかし,日常での血圧脈波計測は体動による影響が大きく,正しい血圧計測が困難である.そこで本研究では,計測位置の高さ変化を加速度センサで計測し,血圧脈波を較正可能なデバイスを試作した.加速度センサから得られた加速度を2回積分することで高さ変化を求め,高さ変化を血圧変化に変換し,計測された血圧脈波から加減算した.これにより,デバイスの高さを変化させても,心臓の高さで計測した血圧と同じ血圧計測が可能になる.高さ計測実験では,計測デバイスを手首に装着して200 mm下垂させ,加速度センサから求めた計測値と実際に動かした値を比較した.また,ノイズの低減のため加速度センサにはローパスフィルタを使用した.その結果,絶対誤差は17.9 mm,相対誤差は0.09となり,高さ計測が可能なことを示した.脈波較正実験では,計測デバイスを手首に装着して200 mm下垂させ,下垂前後の最大血圧を比較した.較正を行う前の最大血圧の差は16.4 mmHg,較正を行った後の最大血圧の差は2.3 mmHgとなった.較正を行うことで86%の誤差を低減できた.以上より,計測位置の高さ変化を計測し,高さ変化の影響を血圧脈波計測から低減することで,心臓の高さで計測した血圧と同じ血圧計測ができた.

  • 顧 剣, 榎本 慎太郎, 富岡 容子, 金子 明子, 斎藤 逸郎, 光嶋 勲, 吉村 浩太郎, 染谷 隆夫, 関野 正樹
    2017 年 55Annual 巻 3PM-Abstract 号 p. 246
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    乳がんなどの乳房再建には皮弁移植術が多く用いられている.しかし,皮弁移植において,術後の血栓形成による血流障害のリスクがあり,医師の触診,視診による血流障害の予後観察が必要になる.数時間毎の観察は医者への負担は大きく,血流障害発見の遅れる場合もある.そこで,皮弁の血流状態を常時モニタリング出来るデバイスが必要とされていた.本研究では脈波センサ,色センサ,温度センサをフレキシブル基板上に配列することによって患者への装着感が少なく,血流状態を多点かつ多項目で監視できるセンサプローブを開発した.我々は作製したセンサプローブを五人のボランティアに用いて,三種類の信号を同時に24時間計測した.ボランティアの内二人はセンサを腹部に貼り,他三人は胸部に貼った.結果、五人すべての信号の連続計測に成功した。しかし,今回の結果から脈波と色信号が人の姿勢による大きく変化することがわかった。就寝時に仰向きの姿勢で計測した脈波の平均振幅は覚醒時座位で計測した脈波の平均振幅より45%増え,色センサが計測した光変化量も座位姿勢時より80%増えた。我々のデバイスはまるで医師が診察するように脈波、色、温度三つの指標を常時モニタリングし,かつリアルタイムに表示することによって,正確な血流障害の早期発見が可能であることが示された.

  • 小林 茉以, 孫 光鎬, 榛葉 俊一, 松井 岳巳, 桐本 哲郎
    2017 年 55Annual 巻 3PM-Abstract 号 p. 247
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    現在のうつ病診断は問診が中心であり,患者や医師の主観的尺度に左右される課題を抱える.また,精神的不調を自覚することが難しく治療が遅れることも多い.これに対し,客観的にうつ病の病状を評価できる指標と,在宅等でセルフチェックが可能な診断システムの確立が求められている.近年うつ病診断における客観的な自律神経機能活性度を表す指標として,心拍変動(HRV: heart rate variability)指標が注目されている.自律神経は感情や身体の状態変化に反応し,安静時には副交感神経が,また精神負荷時には交感神経がそれぞれ優勢となる.精神負荷をかけた状態とその前後のHRV指標を計測すると,うつ病患者と健常者は異なる反応を示す.また,計測したHRV指標を判別分析することにより,うつ病患者と健常者を識別できるとの報告もある.本研究では,精神負荷による交感神経活性化を促すことに加え,新たに呼吸統制による副交感神経活性化も促し,より詳細なHRV指標反応性の評価を目指す.呼吸統制によって得られる効果を検証するため,健常者27名を対象とし試験を行った.呼吸統制時にはLF指標とHF指標の和が大きく上昇し,自律神経活性化を確認した(p<0.05).また,呼吸統制ありの健常者となしの健常者において比較を行った.未投薬のうつ病患者とのロジスティック回帰を用いた判別分析を行ったところ,呼吸統制ありでは感度が0.86となり,呼吸統制なしの場合(0.68)よりも感度が高かった.

  • 田川 統基, 藤江 建朗, 井上 貴文, 中村 英夫
    2017 年 55Annual 巻 3PM-Abstract 号 p. 248
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング法の開発を目指し,隣接する30秒エポック間の心拍変化率から覚醒反応を検出するための閾値を決定する方法について検討すること.現在のスクリーニング検査ではタイプ4機器として動脈血酸素飽和度(SpO2)を用いることが多い.しかし,SpO2の低下が見られない無呼吸,低呼吸,努力呼吸により覚醒反応が見逃されやすいことから改善が必要である.若年男性5名(年齢22.4±0.5歳,体重66.0±9.8kg,BMI22.3±3.0kg/m2)を対象とした.PSG装置を使用し,測定時間を22時から6時の約8時間実施した.解析では,分岐点精度を用いて,心拍変化率と覚醒反応の一致が最適である閾値を算出し,κ係数により一致の精度の算出を行った.結果より,5人の平均閾値が0.02±0.008となり,ばらつきが少なく推定することができた.κ係数の平均値は,0.653±0.089で中等度以上の一致がみられた.感度と特異度の平均,感度で0.858±0.061,特異度で0.862±0.045と算出された.non-REM睡眠時における拍変化率を0.02の閾値により覚醒反応をおおよそ推定することができたといえる.以上より,エポック間の心拍変化率を用い,適切に閾値を決定することにより覚醒反応を推定することが可能となり,スクリーニング検査として利用できる可能性が示唆された.

  • 坂下 凪浩, 田中 志信, 内藤 尚, 野川 雅道
    2017 年 55Annual 巻 3PM-Abstract 号 p. 249
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    高血圧患者などへ運動療法が推奨されるようになったことで,運動負荷中の血圧計測の重要性はますます高まっている.しかし,運動負荷に伴う激しい体動外乱により,従来の血圧計では安定した運動負荷中の血圧計測は困難である.運動中の計測に特化した血圧計も市販されているが,一般に普及するまでには至っていない.そこで本研究では,より簡便で高精度な運動負荷中の血圧計測を目指し,計測部位として運動負荷時でも外乱の混入が比較的少ないと予想される外耳道内に着目した.血圧計測原理には容積振動法を用いることとし,まず最初に,反射型フォトセンサとバルーンからなるプローブを新たに試作し,外耳道内での光電容積脈波(Photoplethysmograph:PPG)検出を試みると共に,体動外乱に対する信号安定性の評価を行った.具体的には,安静時のPPG信号と任意の体動(任意方向の周期的な首振り運動)を加えた状態のPPGを比較したところ,PPGの直流成分及び交流成分ともに体動成分の混入は見られず,本手法が体動対策として有効であることが確認された.次に試作システムによりバルーン加減圧時のPPGを計測したところ,管法則に則ったPPGの振幅変化が観察されたことから,外耳道を計測部位として容積振動法による無侵襲血圧計測の可能性が確認できた.

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