廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
第33回廃棄物資源循環学会研究発表会
選択された号の論文の272件中1~50を表示しています
A1 ごみ発生・排出抑制(1)
  • 石村 雄一, 山口 恵子
    セッションID: A1-1-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
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    新型コロナウイルスの感染拡大は、世界的な健康上の緊急事態であるだけでなく、社会や生活様式に大きな変化をもたらしている。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言や、外出自粛、在宅ワークなどにより、人々が家庭で過ごす時間が増加した。その結果、家庭から排出される廃棄物量の増加が予測され、なかでもお弁当の持ち帰りや、宅配等によってプラスチック製容器包装ごみやペットボトル、食品廃棄物などが増加していると考えられる。

    そこで本研究では、独自のアンケート調査によって入手したコロナ禍における各自治体の詳細な廃棄物発生量に関するデータを用いて、新型コロナウイルス感染拡大による生活様式の変化が、廃棄物の発生量に与える影響を計量経済分析によって実証的に明らかにする。

  • 上野 大樹, 高村 秀紀
    セッションID: A1-2-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
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    2019年の国内における廃プラスチック排出量の内、需要分野別では建築工事が4番目に多く排出されている。既往研究においては、プラスチックリサイクルにおけるハロゲン除去の重要性に関する研究や、教育・研究施設の新築工事における発生廃プラスチック類の実態把握に関する研究が行われている。既報では、住宅建設時に発生する副産物の発生量の実態把握や、現場分別表の導入による分別効果の検証を行い、プラスチック類が最も誤分別が多いことを明らかにした。そこで本論文では、地場公務店が施行する住宅において、建設時に発生するプラスチックの分別による廃棄物処理の質の向上を目指し、発生廃プラスチックを詳細に分別し、仕様の異なる住宅において工事工程ごとの発生量やハロゲン含有有無の調査、処分方法の実態把握を行った。

  • 高藪 広隆, 小松 貴子, 近藤 康之, 立尾 浩一
    セッションID: A1-3-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
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    廃棄物の処理及び清掃に関する法律により、多量の産業廃棄物の発生する事業場を設置している事業者には、産業廃棄物処理計画と実施状況報告の作成および都道府県知事等への提出が義務付けられている。都道府県等が公開している多量排出事業者報告は2015年度で約15000事業所、排出量は2億2千万トンである。また、環境省が公表している廃棄物種類別・都道府県別・移動目的別の都道府県間の物量は1億8千万トンとなっており、我が国全体の排出量(3億1千万トン、動物のふん尿を除く)に対して、それぞれ72%、58%を占める。都道府県等が産業廃棄物の排出量および処理量を把握することは、廃棄物処理計画等の施策進捗管理に有効な情報であることから、フローの実態を把握することは重要である。本研究では、多量データおよび処分実績データの行政情報を活用した産業廃棄物の排出量および処理量の推計について報告する。

  • 水田 圭一
    セッションID: A1-4-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
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    倉敷市における「平成30年7月豪雨災害」の災害廃棄物処理実績をもとに、仮置場への持ち込まれやすさ、すなわち渋滞しやすさについて、商圏分析などで用いられているハフモデルの適用性を検討した。 

    災害廃棄物発生量の推計とその分布を図示し、仮置場への持ち込まれやすさについてハフモデルにより解析を行い、アンケート結果との比較を行った。その結果、各仮置場への持ち込まれやすさはハフモデルによる解析が有効であることがわかり、また、平時において仮置場をあらかじめ選定する際に混雑しやすい場所などの課題を確認できることが分かった。また、その際、開設可能な日数を確認しておくことの重要である。

  • 陳 宇馳
    セッションID: A1-5-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
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    本稿は、居住地域の特徴とソーシャル・キャピタル(以下、SC)が個人のごみ分別行動にどのような影響を与えているかを明らかにするため、中国杭州市において、市民のごみ分別行動に関する調査票調査を実施した。そのデータに基づいて、地域の特徴によって、異なるタイプのSC(結合型SCと橋渡し型SC)の影響について分析した。その結果、①旧市街においては、結合型SCと橋渡し型SCは有意な影響がみられたが、②新市街においては、結合型SCと橋渡し型SCの影響は両方ともみられなかった。地域によって、結合型SCや橋渡し型SCという異なるタイプのSCが個人の行動に与える影響は異なる、という仮説を支持する結果が得られた。旧市街に住む住民は近所付き合いを重視する人が多く、新市街と比べて結合型SCの得点の高い人が多いといった特徴があった。

  • 沼田 大輔, 鈴木 健斗, 三浦 琳斗, 高 天意
    セッションID: A1-6-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
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    使用済みペットボトルは、キャップとラベルをとるなどして、不純物の混入を減らすことで、再びペットボトルにしやすくなる。一方、屋外イベントでしばしば設置されるエコステーションでペットボトルの分別を促す方策として考えられる、人の配置、分別を呼びかける掲示の設置については、既往研究があまり見られない。本研究では、この検討の足掛かりとして、学生等にアンケート調査を行った。

     その結果、最も捨てやすいレイアウトは「人なし・掲示あり」、最も捨てにくいレイアウトは「人あり・掲示なし」であり、「人なし・掲示あり」の方が適切な分別をする回答が多く見られるものの、そうした回答者は普段ペットボトルを自宅で適切に捨てていることが伺われた。このことは、屋外イベントのエコステーションで人を配置するかの検討は、想定されるイベント来場者の普段のごみ出し行動と照らし合わせる必要性を示唆している。

A2 ごみ発生・排出抑制(2)
  • 那波 夏美, 山川 肇
    セッションID: A2-1-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
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    飲料用容器ごみは、家庭ごみ全体のうち少なくとも約10%(容積比)を占めているため、飲料をマイボトルで購入することができるパッケージフリー販売は、循環型社会を目指していくにあたって有効であると考える。本研究は、少ないながらも存在しているお茶以外の飲料のパッケージフリー販売の実態や課題を明らかにし、お茶のパッケージフリー販売の実現可能性を考察した。お茶をパッケージフリーで販売するために、最も有力であるのは、コンビニでのディスペンサーによる販売であると考える。理由は、コンビニコーヒーのディスペンサー販売が成功していること、オリジナルのお茶を販売しており、飲料供給者と販売者が同じであるため責任の所在がわかりやすいことである。これらを実現するための価格と利潤、需要についての検討は今後の研究課題としたい

  • 佐々木 相馬, 山川 肇
    セッションID: A2-2-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
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    脱使い捨てプラスチックに向けた取り組みの1つとしてシェアリング容器の取り組みが始まっている。本研究では、シェアリング容器を広く普及させる方法を検討するために、シェアリング容器の選択要因を明らかにすることを目的とした。インターネット調査を用いた、アイスコーヒーのテイクアウト時を想定した選択実験の結果と関連する意識・行動等との関係を、ステップワイズ方式による変数選択型ロジスティック回帰分析及び重回帰分析を用いて分析した。その結果、 シェアリング容器の選択はコーヒーのテイクアウト頻度が高い人に多く、このような人が重要なターゲットと考えられた。また使い捨てプラ不使用の社会規範、シェアリング容器の衛生面への懸念も影響していたことから、今後、これらに対する政策的対応が期待される。

  • 齊藤 由倫, 飯島 明宏, 田子 博
    セッションID: A2-3-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
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    生活系ごみの減量化を目的とした様々な普及啓発施策が全国で行われているが、その実態についてこれまで網羅的に調べられた事例はない。我々はそれを詳しく調べるため、人口5万人以上の自治体を対象にWeb方式による全国アンケート調査を行った(回収率75%)。その結果、普及啓発施策の自治体実施率は98%と高いこと、施策によって減量化を意図したごみ種別は、家庭から出る2つの主要なごみである厨芥類と紙類の割合が高いこと等が分かった。各自治体における住民介入方法別の施策の実施有無と、社会統計指標を説明変数に、生活系ごみの排出原単位を目的変数にとった重回帰分析を行い、施策の効果推定を行った。得られた重回帰式からは、先行研究が示唆したとおり有料化実施や世帯人員の多さがごみ排出原単位の削減に、普及啓発施策では3タイプの住民介入方法がその削減に、別の3タイプでは反対にその増加に関与する可能性が考えられた。

  • 森 康浩, 中俣 友子, 桑山 りさ, 大沼 進
    セッションID: A2-4-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
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    海洋ごみや海洋プラスチック問題に対処するためポイ捨て抑制の処方が求められている。本研究は、ポイ捨てに特化した意図に基づく行動モデルを構築した。ポイ捨ては環境に望ましくない行動であるため、「ポイ捨てをしないようにしよう」という行動意図があっても「ポイ捨て行動をしてしまう」という説明をする必要がある。そこで、場面特定的に発現する実行意図を、行動意図と行動の間に仮定したポイ捨て行動モデルを構築した。 日本全国を対象にwebアンケート調査を実施し、4642の有効回答を得た。社会的に望ましくない内容への回答バイアスを考慮した質問項目を作成し、場面によってはごみを放置する気になるなどの回答を得た。モデルの適合度の分析の結果、実行意図が行動の直接の規定因となり、ポイ捨てすべきではないという行動意図があっても、場面特定的に発現する実行意図により、ポイ捨てを行ってしまうというモデルの妥当性が確認された。

  • 廣田 和暉, 衣川 佳輝, 矢野 順也, 平井 康宏, 浅利 美鈴, 酒井 伸一
    セッションID: A2-5-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
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    近年プラスチック製品が環境に与える影響が大きな問題となっている。日本では、2019年にプラスチック資源循環戦略の中で、2030年までにワンウェイプラスチックを累積25%発生抑制することを掲げ、翌2020年にはレジ袋有料化の義務化が行われた。著者らは家庭からの使い捨て製品の排出実態を明らかにすることを目的とし、2019年以降家庭ごみ中の使い捨て製品に関する調査を継続してきた。本研究では、近年の動向を踏まえ使い捨てカトラリーといった品目を一部細分化しつつ、2021年度においても排出実態調査を実施し経年変化を把握した。 京都市では2021年度で年間一人当たり3~4kgの使い捨てプラスチック製品が排出されている。以前から発生抑制が進められているペットボトル・手提げレジ袋に加え、家庭用ラップ・ポリ袋・ごみ袋の排出が多いとわかった。排出重量の推移と排出傾向をつかむために引き続き調査を継続する必要がある。

  • 瀬口 亮子
    セッションID: A2-6-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
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    近年は深刻化する気候変動問題とともに海洋プラスチックごみ問題への対処の観点からも、ペットボトル飲料の消費を回避する必要性が認識されるようになり、様々な取り組みが広がり始めている。その取り組みの筆頭に挙げられるのは、「マイボトル」の持参の啓発であるが、外出先で空になったときに補充できる場所がないことが課題であった。そこで、街中で飲料水を無料で補充できる場所を「給水スポット」として増やそうという取り組みが広がっている。本稿では、給水スポットの設置が、ペットボトル等使い捨て飲料容器の削減にどのように効果をあげているかを実測データに基づき検証し、さらに効果をあげていくためのポイントを考察する。

  • 楠部 孝誠, 勝見 尚也
    セッションID: A2-7-P
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
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    マイクロプラスチックによる海洋汚染は深刻な環境問題の一つとなっている。筆者らは水稲栽培が盛んな地域では,水田がマイクロプラスチックの主要な排出源の一つではないかと考え、水田からの被覆肥料カプセルの排出機序を明らかにしてきた。同時に海岸における実態を調査してきたが、これまでの報告は単年度の調査を基にしたものであったため、今後の具体的な対策と展望を考える上で複数年の調査による長期的変化を調査した。漂着量の多少はあるが、調査地点において灌漑期と非灌漑期に明確な違いが複数年で確認できた。さらに、被覆肥料カプセルと発泡スチロール片で調査地点の海岸に漂着するマイクロプラスチックの約90%を占め、非灌漑期の被服肥料カプセルの減少に応じて、発泡スチロール片が増加する傾向が見られた。

A3 物質フロー分析
  • 菅原 秀雄, 加藤 政一, 松田 由美, 佐藤 和宏
    セッションID: A3-1-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
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    清掃工場を計画する際には、3成分、元素組成、発熱量、ごみ種類等のごみ質を正確に把握する必要がある。この内、発熱量はごみの元素組成から求め得る。計算式にはDulngの式など種々あるが式により計算値が異なる。これは燃料中の酸素分Oの水素H並びに炭素Cとの結合状態(普通OHまたはCO)の想定の違いに起因する。本研究では、「ごみ処理施設整備の計画・設計要領」のデータにより、ごみ種類毎の元素組成を定めて、都市ごみに含まれる主な有機化合物の元素組成とOの結合状態を調べた。これらから、OH及びCOの結合状態量を計算した。これにより各種の発熱量の計算式を検討したが、Steuerの式の過程が概ね妥当と判断した。

  • 堤 圭佑, 山川 肇
    セッションID: A3-2-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
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    住宅の新築と異なり、既存住宅利用は、物質の使用量削減に貢献すると考えられるが、既存住宅利用による物質使用量への影響を測る指標は見当たらない。本研究では、物質使用の構造分解式を提案している先行研究に基づき、住宅建設に伴う物質使用量の構造分解式を設定した。また、式の変形により、既存住宅流通シェアという指標を組み込むことによって先行研究で示されていた物質使用を減らす2R活動の類型に加え、既存住宅利用が物質使用量とどのような関係にあるのか調べることができる。住宅建設の物質使用量のデータは収集中なので、本稿では新築住宅の建築数について構造分解し、構造要因の変動を見たところ、新築住宅の建築数の減少、既存住宅シェアの微増、既存住宅の購入数などで変化が見られた。

  • 石橋 文也, 中山 裕文, 清野 聡子, 島岡 隆行, 桑村 勝士
    セッションID: A3-3-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
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    本研究は、中型まき網漁、はえ縄漁、釣り漁の3つの漁船漁業における活動量当たりの漁船漁業用プラスチック製品の投入量原単位の推定を行った。各漁船漁業の漁業従事者から漁業に漁業用製品の購入データを入手して整理するとともに、その他必要な情報を漁業従事者へのヒアリング調査等によって入手し、ボトムアップ型の調査を行った。その結果、中型まき網漁のプラスチック製品投入量原単位は、漁獲高1t当たり6kg、はえ縄漁は186kg、釣り漁は36kgと推定された。プラスチック製品のうち、漁網、釣り糸、疑似餌等、海中で使用されるプラスチック製品では、中型まき網漁が漁獲高1t当たり2kg、はえ縄漁は94kg、釣り漁は7kgのプラスチック製品を投入していると推定された。

  • 矢野 順也, 衣川 佳輝, 廣田 和暉, 平井 康宏, 浅利 美鈴, 酒井 伸一
    セッションID: A3-4-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
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    本研究では現状の繊維廃棄物の詳細な素材組成の把握することを目的に、2021年度の京都市家庭ごみ細組成調査において繊維素材の組成調査を行った。サンプル量は燃やすごみ中の通常の繊維廃棄物と、燃やすごみ中のまとまって排出された繊維廃棄物の合計57.7㎏とした。素材判別は、商品の品質表示(タグ)の有無で分別した。さらに、燃焼試験と顕微鏡試験の両方をおこなった。

     調査の結果、衣料・身の回り品44.2%、その他商品30.5%、その他使い捨て等25.3%となった。素材組成は天然繊維が49.6%、再生繊維が0.4%、合成繊維が49.6%となった。天然繊維では綿35.4%に次いで、絹が8.0%を占めた。合成繊維ではポリエステルが32.0%、次いでアクリルが9.9%を占めた。また、過去の調査と比較して合成繊維割合が増加している傾向が確認された。

  • 稲葉 陸太, 東 修, 岡本 大作, 中谷 隼, 根本 康男, 山口 直久, 藤山 淳史, 菊池 康紀, 松本 亨
    セッションID: A3-5-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
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    本稿では、これまで分析した産廃プラフローに加え、一般廃棄物系プラスチック(以下「一廃プラ」)に関しても都道府県別のフローデータを整備し、両者を統合して都道府県単位の地域内外の廃プラフローの構造を分析し、それに基づく処理特性も類型化することにした。

  • 渋谷 正樹, 吉田 智也, 袖野 玲子
    セッションID: A3-6-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
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    近年問題となっている海洋ごみの8割は、河川を経由して排出されると言われ、河川ごみが海に流れ出る前に回収することが重要である。しかし、河川の散乱ごみは、移動性が高く、漂着するごみの種類や量、漂着場所が大きく異なるため、発生源の実態把握が難しい。このため、本研究では効果的な河川ごみの回収を行うために、綾瀬川を対象河川として、塩入ら(2019)の調査手法を参考に河川ごみ散乱分布を調査し、河川周辺の背景情報との関連性をjSTAT MAPにより検討した上で、河川ごみのホットスポットの特定を試みた。その結果、ごみが散乱しやすい地点は橋梁の下や公園近傍、信号付近等あり、ホットスポットの地点において河川ごみの回収を重点的に取り組むことで効果的に実施できることが示唆された。また、河川周辺の人口密度や卸売業・小売業の施設数が河川ごみの量と関係があることが明らかになった。

A4 住民意識・環境教育
  • 鈴木 榮一, 浅利 美鈴
    セッションID: A4-1-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
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    全国の好事例施設への半構造化取材面談から得た口述データを、統計解析(量的研究)および動的かつ相互作業的に分析(質的研究)することにより、好事例施設運営の要因が、運営者の多様な経験やその背景、およびアクティビティやモチベーションの高さに起因することを明らかにした。

  • 杉浦 淳吉, 三神 彩子
    セッションID: A4-2-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
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    サステナブル社会の実現に向けた学習教材として、「エコファンディングゲーム」(EFゲーム)を開発した。EFゲームは「説得納得ゲーム」をESG投資の学習に焦点を当て、ルールと手続きの改変を行った。参加者は最初にエコ事業計画を作成する。次に、参加者は半々に2グループに分かれ、それぞれエコ事業者役、投資家役を演じる。エコ事業者役はエコ事業計画を各投資家役に対して順々に提案する。投資家役は次々に提案されるエコ事業計画に対して投資額を決定していく。2つの役割は後で交代する。大学生36名を対象とした2つ実践結の分析から、CO2排出削減やフードロス削減など身近な問題の解決に向けたエコ事業計画が作成されていたこと、参加者は計画作成やゲーム中の投資行動を概ね肯定的に評価したことを確認した。最後に、今後のカリキュラムとしての発展性やSDGsとの関連性についても討論した。

  • 森 朋子, 大迫 政浩, 水山 光春, 佐藤 真久, 荒木 貴之, 江守 正多, 棚橋 乾, 柴崎 裕子, 杉浦 正吾, 上田 壮一
    セッションID: A4-3-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
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    サステナビリティ・トランジションを促すためには、他者と協働し、社会に働きかける環境行動(以下、シビック・アクションと呼ぶ)を促進する必要があるが、日本の環境教育では依然として個人が日常生活の中で行う環境配慮行動の促進に主眼が置かれている。そこで本研究では「どのような教育プログラムが人々のシビック・アクションを促進し得るのか?」を学術的な問いとして掲げ、研究者と教育者が協働しながら新たな教育プログラムの開発を目指している。本発表では、開発を進めている教育プログラムのインプット部分である「シビック・アクションの知識と意欲を醸成する」段階でのプログラム設計と、中学校での授業実践に関して、食品ロス問題に対するアクションに着目しながら報告する。

  • 花嶋 温子
    セッションID: A4-4-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
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    日本において、ごみの焼却工場の見学は、資源循環に関する環境教育の大きな柱である。特に、小学校4年生の見学は、1980年の学習指導要領改定実施から長年にわたって、全国的に実施されている。本研究では、2010年に実施した全国の焼却工場を対象としたアンケート調査に引き続き、2021年に再度、全国の焼却工場を対象として見学者の状況をアンケートにより調査した。今回は、2020年1月からの新型コロナウィルス感染症による緊急事態宣言などにより、焼却工場の見学者数がどのように変化したかを、都道府県別に集計した。焼却工場の見学を、コロナだから中止にするのか、コロナでもどうにかして実施するのかについて、地域による傾向を検討した。

  • 末永 誠悟, 野呂 翔太, 本井 優帆, 村瀬 慶亮, 志田 昂駿, 片山 和香, 山田 愛莉
    セッションID: A4-5-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
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    高田馬場駅前ロータリー広場における散乱ごみ問題を地域課題と定義し、その問題に対峙している2020年設立の学生団体「ロータリーの会」が行ってきた清掃活動におけるゴミの推移と、問題解決の手段である協働活動に目を向け、そのうえで今後の課題を論じる。

  • 湯川 力, 橋本 征二
    セッションID: A4-6-P
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
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    家庭のごみ出しにおいては、ごみ収集日の確認ミスやごみの出し忘れなど様々な課題があり、近年多くの自治体において、ごみ分別アプリが導入されるようになっている。本研究では、現状のごみ分別アプリにおいて提供されている機能を調査するとともに、どのような機能が便利でよく用いられ、また、一般市民に必要とされているかなどを明らかにした。特に、2020 年度に行った調査結果 と 2021 年度に行った調査結果を比較し、各種機能の提供状況、利用者の利用傾向に変化があるか等を検討した。web調査の結果、「月別カレンダー機能」「ごみ分別辞典機能」等は、多くの自治体で登載されていることが分かった。2020年の調査と比較すると、これらの機能は採用率が高いまま維持されていた。アンケート調査の結果、2カ年の調査のいずれでも、「ごみの出し方一覧機能」が最も頻繁に使われ、便利だと思われていることが示唆された。

  • 高橋 史武
    セッションID: A4-7-P
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
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    水銀に関する水俣条約の発効に伴い、使用後に回収された余剰水銀を環境安全に埋立処分する必要性がある。水銀の安定化処理施設や長期保管施設などは住民合意を得ることに大きな困難性が予想され、水銀への嫌悪感がそれに寄与する可能性がある。本研究では水銀への嫌悪感と水銀廃棄物埋立地への態度について比較検討した。埋立地への態度が反対寄り(反対~中立まで)の場合、水銀への嫌悪感が小さくなるほど態度が緩和される(中立寄りになる)傾向が示された。一方、埋立地への態度が賛成寄り(中立から賛成まで)の場合、態度が賛成寄りになるほど嫌悪感が強くなる傾向を示し、賛成の人が感じる嫌悪感は反対の人が感じる嫌悪感と同程度ないしやや強いほどであった。埋立地の立地条件(行政区分的な距離や物理的距離)は態度に影響を与えておらず、立地条件に関わらず同じ態度の人は同程度の嫌悪感を示した。

  • 松井 康弘, 高川 晴名, 田中 亜蓮
    セッションID: A4-8-P
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
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    エシカル消費は倫理的消費とも呼ばれ、消費者基本計画では「地域の活性化や雇用なども含む、人や社会、環境に配慮した消費行動」と定義されている。本研究では、パルシステム生活協同組合連合会の組合員を対象にエシカル消費行動とその関連要因に関するWebアンケート調査を実施し、実態を把握した。要因構造の検討に当たっては、「ベイジアンネットワーク」の手法を適用し、エシカル消費行動の要因関連の全体像を解明するとともに、高い啓発効果が期待される要因を特定した。以上の検討の結果、商品マークについては組合員の理解を促進する段階にとどまらず、商品選択時の意識付けを強化することが重要と考えられた。また、被災地支援に対する利他的な支払意図の効果が26%と大きく、責任帰属認知は4種類のエシカル消費関連商品の購入に対する効果が2~4%と相対的な効果は小さいものの幅広い購入行動に影響し、重要な啓発対象であると考えられた。

A5 食品ロス
  • 野々村 真希
    セッションID: A5-1-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
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    本研究の目的は、消費者の食品ロス削減行動を促すためのオンライン料理教室を設計し、その効果を検証することである。オンライン料理教室は、①食品ロスの講義、および食品ロス削減の要素を加えた調理実習を実施するもの(介入群)、②食品ロス削減の要素を加えた調理実習のみを実施するもの(介入群)、③通常の調理実習(食品ロス削減の要素は特になし)のみを実施するもの(対照群)という3パターンを設けた。オンライン料理教室の参加直前および参加1か月後に同様のアンケートを実施して回答を比較した結果、参加直前に対し参加1か月後では、介入群(講義と実習)と介入群(実習のみ)において、食品ロス削減の実践状況と食品ロス削減に係る意識の上昇が確認された。食品廃棄頻度は低下が見られた。食品ロス削減の実践状況は複数項目で尋ねたが、その中では特に、下処理時に廃棄されがちな野菜可食部を利用する頻度が大きく上昇した。

  • 福森 未南子, 瀬田 康子, 後藤 翔子, 山川 肇
    セッションID: A5-2-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
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    日本の食品ロスの約半分は家庭から排出されており、その削減は大きな課題である。本研究では、家庭系食品ロス削減のための新たな方法としてアプリ等を利用した介入に注目し、食品ロス量、意識・行動への影響を明らかにすることを目的とした。大学生46名とその家庭を対象に、3週間の食品ロスダイアリー記録と2週目以降の冷蔵庫管理アプリと冷蔵庫内写真を用いた2週間の介入実験を行った。その結果、食品ロス発生件数・容積への主効果が有意となり、平均で、アプリによる介入では件数約4割、容積約5割、写真撮影による介入では件数・容積ともに約4割の発生抑制となった。介入前後の質問紙調査により、二重買い防止効果と、アプリ使用により「上手に食材を管理する」食品ロス削減動機への影響が認められた。また介入方法の総合評価には有効性と簡単さが、継続意図には有効性が、またアプリについては負担感も有意な影響を与えていたことが明らかとなった。

  • 渡辺 浩平, 岡山 朋子, 北坂 容子
    セッションID: A5-3-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    日本の市区町村は家庭からの食品廃棄削減のための取組を行ってきているが、ほとんどが啓発事業である。特別区長会調査研究機構の2021年度研究テーマとして、住民の行動に結び付く、ナッジ要素を含んだ有効な介入策について検討を行った。まずウェブを利用した質問紙調査と、住民排出ごみの組成調査により食品廃棄の実態を把握し、その結果をもとに検討を行い、冷蔵庫内の食品管理に焦点を当てた2つのナッジ策を提案した。家庭での試行を通じ、効果や改善点などの反応を収集した。

  • 横山 莉緒, 古川 柳蔵
    セッションID: A5-4-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    食品ロスは、社会的・環境的な観点から早急に解決する必要のある深刻な問題である。中でも消費者が日常的に食品を扱う際発生することが多く、消費者の行動を変える必要がある。廃棄の多い傷んでいるが食べられる野菜の正しい対処方法にかかわる概念及び概念構造を明らかにし、消費者が活用できれば食品ロス削減につながるのではないかと考えられる。本研究では、オントロジー工学における行為分解木手法を用いて、文献に基づきくさりかけ野菜の対処行為における概念構造の明示化を試みた。野菜31種類ごとに行為分解木を記述し比較分析した結果、くさりかけ野菜を有効活用するには野菜の種類に限らず方式概念に共通点があることが分かり統合的な行為分解木を記述できた。くさりかけ野菜を食べることをゴールとした行為分解木を基に、共通概念を人に伝えることで判断基準や対処方法がわかり、くさりかけ野菜、さらには食品ロス削減に資する可能性が示唆された。

  • 橋本 岳, 秦 三和子, 東野 航平, 藤田 晴美, 小松 洋史, 塩谷 洋一, 津島 邦宏, 野田 知宏, 川瀬 易利, 川崎 尚之
    セッションID: A5-5-P
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    近年、食品関連事業者による食品ロス削減に向けた取組が推進されているが、飲食店では取り組みにくい状況にある。本研究では、行動経済学の概念である“ナッジ”に注目し、横浜市内の飲食店2店舗において実証実験を行うことで、店舗から発生する食品ロス量の削減効果を確認し、有効なナッジの手法を提案することとした。その結果、カジュアルに利用する店舗では、料理の量選択の必須化や量の表示、インセンティブの活用、子供が完食した際の表彰、マンガイラストの活用等が、また、コース料理を提供する店舗では、顧客へのお代わりの意思の確認、メッセージを記載したマスクケースの活用、好みやアレルギーの確認、結婚式での新郎・新婦や招待客が食べやすい料理・量・進行の提案等が有効であることが推察された。今後も、業態に応じたナッジ手法の開発や、飲食業界への普及が必要であり、飲食店側にもご協力いただきながら実施していくことが有効である。

A6 産業廃棄物
  • 早川 健一
    セッションID: A6-1-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    廃棄物処理において、廃棄物の性状に関する情報の提供・共有は重要である。しかしそれは容易ではない。処理業者の側から、「このような観点の情報を下さい」と具体的に提供を依頼することが重要である。廃棄物の処理においては、廃棄物の「化学組成」「発生工程」「要注意成分の有無」の情報が重要となる。化学組成は「化学の観点」、すなわち(物理形態でなく)化学構造が推定できる程度の記述が必要である。例えば、化粧品クリームであれば「ロウ成分25%、グリセリン10%、水65%、薬用成分0.1%」などとなる。発生工程の情報も重要度が高い。発生工程が分かれば、その発生廃棄物の化学組成および要注意成分の有無がある程度推定できるからである。このような廃棄物情報の提供・共有のためには、大学の化学科レベルの高度な化学の知識が必要となる。さらに、廃棄物の量の情報も、受入・処理の可否に大きく影響を与える因子であることを強調したい。

  • 佐々木 基了, 葛西 聡, 藤原 博良, 武田 雄志, 佐々木 いづみ
    セッションID: A6-2-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    (公財)日本産業廃棄物処理振興センターが運営する電子マニフェストは、令和3年12月に電子化率が70%を超え、第四次循環型社会形成推進基本計画に掲げられた電子マニフェスト普及目標(令和4年度において普及率70%)を前倒しで達成した。

     今後のさらなる普及方策を検討すると、処分業者が排出する中間処理後産業廃棄物において廃棄物処理業界の情報等から電子マニフェストの利用が進んでいないことが推測できたため、処分業者が登録する2次マニフェストにおける電子マニフェスト利用状況を把握することを目的にヒアリング調査を実施したので、結果を報告する。また、大量のデータを集計、可視化できる電子マニフェストBIツールを活用し、2次マニフェストにおける処分、資源循環の状況等の把握を試みたので、併せて結果を報告する。

  • 佐々木 いづみ, 藤原 博良, 佐々木 基了
    セッションID: A6-3-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    全産業における電子マニフェストの使用は拡大しており、2021年12月には、第四次循環型社会形成推進基本計画における目標「2022年度(令和4年度)の電子マニフェスト普及率を70%にする」を前倒して達成している。一方で、公務における電子マニフェスト使用は他の業種と比較して進んでいない。本調査では、公務を対象に、排出事業者としての電子マニフェスト使用や、事業者への電子マニフェストの普及促進に取り組んでいる自治体等10ヶ所へヒアリング調査を行った。ヒアリング調査を行った自治体からは、産業廃棄物の処理における法令遵守や、電子マニフェストデータの活用への高い意識が感じられた。

  • 藤原 博良, 佐々木 基了, 佐々木 いづみ
    セッションID: A6-4-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    政府の第四次循環型社会形成推進基本計画(平成30年閣議決定)において、「電子マニフェストの普及率を2022年度において70%に拡大すること」が目標に掲げられ、令和2年12月には産業廃棄物のマニフェスト制度にかかるオンライン利用率引上げの基本計画を公表された。 これを踏まえ、当センターでは、電子マニフェストの利用促進のための課題の抽出及び分析等を目的に、環境省から「産業廃棄物の多量排出事業者の電子マニフェスト未加入者調査業務」を受託して、電子マニフェストを導入していない多量排出事業者に対してアンケート調査を実施した。

  • 裴 芸蘭, 塩田 憲司, 日下部 武敏, 大下 和徹, 高岡 昌輝
    セッションID: A6-5-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    木質バイオマスは発電燃料として利用した場合二酸化炭素の排出抑制に寄与できるため、近年急速に成長している。それに伴い、燃焼灰も大量に発生することが見込まれ、燃焼灰の有効利用と処理を進めるためその中に含まれる有害金属の含有量と溶出量を知ることは重要である。本研究では国内の木質バイオマス発電施設から発生する燃焼飛灰37種類の有害金属含有量と溶出量を調査した。肥料としての安全性を検討した結果、数種類の燃焼飛灰の有害金属含有量は基準を上回った。肥料として再利用の際、処理や他原料との混合などが必要である。溶出試験の結果では、産業廃棄物として特段何の処理も必要とせず、埋立処分が可能であるが、土木資材等として再利用する際には有害金属の除去・溶出抑制が必要である。また、燃焼方式の有害金属含有量に対する影響がほとんど見られない一方、廃木材を燃料に用いた飛灰は一部の有害金属含有量と溶出量が多くなる傾向がある。

B1 廃棄物管理・計画(施設整備・ケーススタディ)(1)
  • 佐々木 創
    セッションID: B1-1-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    本報告ではEnergy Regulatory Commission(ERC)のWaste to Energy: WtE事業ライセンスのデータベースを利用して、建設開始日、稼働日、計画稼働日、設備納入メーカー(ボイラー、タービン、発電機)などを整理した。現在、19のWtE施設がライセンスを付与されているが、そのうち商業運転を開始した(Commercial Operation Date: COD)事業は12であり、全体の37%にあたる7つの事業は2022年6月時点で運転を開始できていないことが判明した。また、EPCの中国メーカーの台頭を確認した。

  • 新 佑太郎, 川端 馨, 新井 イスマイル, 松永 拓也
    セッションID: B1-2-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    清掃工場において、作業員の位置情報を把握することで、作業に潜むムダの洗い出しや、動線の把握による作業効率の改善に繋げられる可能性がある。同時に、作業場所を把握することで、労働環境の把握や改善、また、万一の熱中症や転倒などの事故が発生した場合にも検知が可能と考えられる。したがって、作業員の位置情報を把握することは、清掃工場の運営に活用できると考えられる。本論文では、清掃工場において、磁気の磁気FPと呼ばれる屋内測位手法にWi-FiとLTE(800MHz帯)を併用した手法の測位精度と、Wi-FiとLTEの電波の飛び方について検討した。結果としては磁気FP単体よりも磁気FPにWi-FiとLTEを併用した場合の方が測位精度が向上した。また、Wi-Fiは電波の透過性が低いため、測位範囲の絞り込みに活用できる可能性があることも分かった。

  • 野見山 漂, 石井 一英, 落合 知, 石川 志保
    セッションID: B1-3-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    全国に比して人口減少率が大きい北海道における廃棄物焼却施設の広域化・集約化が、固定費削減やエネルギー効率向上の点から求められている。本研究では、非線形計画法を用いてコストまたはエネルギー最適化の視点から、2050年の北海道における人口減少を考慮した廃棄物焼却施設配置を検討した。年間コストは、輸送費と焼却施設の建設費・運営費の和として定めた。年間正味エネルギー消費量は、輸送の燃料消費と焼却施設での消費量の和とした。目的関数をコストまたはエネルギーの最小として、北海道の179市町村×179市町村のXA,B(AからBへの廃棄物輸送量)の組み合わせを検討した。2050年の北海道における一般廃棄物、生ごみ、産業廃棄物、下水汚泥の発生量を推計し、これらの組み合わせで定めた5つの対象の内、焼却処理される廃棄物についてそれぞれ検討した結果、コスト評価では8~18施設、エネルギー評価では2~7施設となった。

  • 叢 日超, 藤山 淳史, 松本 亨
    セッションID: B1-4-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    近年、廃プラスチック問題は世界的な課題となっており、効果的なリサイクルシステムの構築が求められている。そこで本研究では、ライフサイクル二酸化炭素(CO2)が最小となるように発生源と再資源化技術のマッチングを導出することができる手法を提案し、三重県で発生した廃プラ(産業廃棄物)を対象に適用する。ポリプロピレン PP、ポリエチレン PE、ポリエチレンテレフタレート PET、ポリスチレン PS、ポリ塩化ビニル PVC、ポリウレタン PUR が分析対象とし、マテリアルリサイクル MR、ケミカルリサイクル CR、エネルギー回収 ER の再資源化技術を考慮した。線形計画法を用いた最適化の結果、PVC は 32%を県内で ER を行い、残り 68%は県外で MR する結果となった。また、PVC 以外の廃プラについては全量県内で処理できることが示され、その時の処理方法は PE と PP が全量 MR、PS とPUR、PET が全量 ER であった。

  • 立田 真文, 関藤 良子, 高部 芳基, 渡辺 正志
    セッションID: B1-5-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    活性汚泥法は、世界的に導入されている生物学的な下水処理法であり、運営コスト面から考えると物理・ 化学的な処理方法よりも安価であるが、下水汚泥が排出されるという欠点がある。この下水汚泥の処分には、 多大なコストがかかり、その為に下水汚泥の削減技術については様々な研究がされているが1)、根本的な問 題の解消には至っていないのが現状である。本研究は、地方自治体の下水処理事業の経費削減を目標に、実 機規模の汚泥削減技術の検討と、運転方法の確立を目指すものである。今回は、これまで行ってきた自己酸 化法の運転をクローズドシステムにし、それによる汚泥処分コストの削減の検証をおこなった。

B2 廃棄物管理・計画(施設整備・ケーススタディ)(2)
  • 伊藤 浩二朗, 島田 和宗, 前田 秀夫, 安藤 伴憲
    セッションID: B2-1-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    低カロリーごみから高カロリーごみまで安定して処理できる焼却炉として開発した竪型ストーカ式焼却炉を一般廃棄物処理施設用の全連続燃焼式として初号機を種子島地区広域事務組合殿「種子島清掃センター」に納め、令和4年3月をもって運用が10年間を経過した。本稿ではこの10年間の実績を報告する。

  • 埜村 綾乃, 中久保 豊彦
    セッションID: B2-2-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    廃棄物発電は、太陽光発電や風力発電と比較して安定的・計画的に電力供給量が見込めるが、地域新電力事業の安定電源としての役割を担うためには電力需要の日需要曲線を考慮した焼却炉の運転が求められる。そこで本研究では、安定電源として機能することを優先した廃棄物処理施設の操炉計画を策定し、電力供給における効果を分析する。ベースとする焼却負荷率に対して負荷率を変動させる操炉計画を7パターン作成し、年間52週分の電力供給量(廃棄物処理施設での発電量から施設内需要量を差し引いた量)を算出した。その結果、昼間に高負荷運転を行うことで、昼間に電力需要が高まる日需要曲線に対する対応能力を高めた送電となることを確認した。このように、廃棄物発電を電力需要に合わせた操炉計画の下で運転することで、地産地消性が向上し、地域活性化に貢献するだけでなく、自立・分散型エネルギーとして自然災害や環境負荷軽減にも貢献すると考える。

  • 村上 凜太郎, 島岡 隆行, 中山 裕文, 金谷 晴一
    セッションID: B2-3-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    埋立廃棄物層内では、焼却残渣中の可溶性塩化物や強塩基性物質等が雨水と接触することで溶解し、高pHかつ高い電気伝導度を示すため、イオン化傾向の異なる異種金属が保有水に浸漬することで電池回路が形成される。我々は埋立廃棄物層内の保有水を電解液として作用させ発電エネルギーを回収する“ごみ電池”の概念実証を行ってきた。テーブル試験でのごみ電池の性能は確認できたものの、実用化に向けたプロトタイプ作成や、マイコンを駆動させるのに必要な電力を出力するには至っていない。本研究では、埋立廃棄物中に埋設可能なごみ電池の筐体のデザイン設計・作製、電池性能の検証をするとともに、ごみ電池の電池性能の向上を目的とした実験を行った結果、ごみ電池を多層構造にすることでマイコンの動作電圧まで電圧を高めることに成功した。

  • 藤山 淳史, 谷尾 澄葉, 叢 日超, 松本 亨
    セッションID: B2-4-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    近年、太陽光発電設備が大量に導入されているが、近い将来、点検・保守による交換および廃棄によって使用済み太陽光パネルが大量に廃棄されることが予想されており、その回収およびリサイクルシステムを確立することは喫緊の課題となっている。そこで本研究では、福岡県内で排出される廃棄太陽光パネルの回収に対して、情報PFを活用することによって複数の拠点を一度に共同で回収するケースと、同じ拠点を個別に回収するケースを設定し、輸送費用を算出することで、その効果を算出した。なお、リサイクル業者は現在稼働している施設の情報を参考に、北九州エコタウンと大牟田エコタウンとし、そこを拠点にそれぞれ北ルートと南ルートとした。メンテナンス業者は福岡県のデータベースを参考に37社と設定した。その結果、いずれのケースにおいても個別回収ケースに比べ、共同回収ケースを行ったほうが輸送費用の削減につながることがわかった。

  • 中村 優, 伊藤 新, 橋本 岳, 秦 三和子, 鈴木 薫, 大迫 政浩, 河井 紘輔
    セッションID: B2-5-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    本研究は、廃棄物処理施設が地域に新たな価値を創出するために、地域共創の観点から、立地選定プロセスの望ましいフローを提示するとともに、具体的な施設整備の進め方や留意点等をまとめたガイダンスを作成することを最終的な目標に据える。そのための基礎調査として、廃棄物処理施設の整備事業において先進的な取組みを行う4団体へのインタビュー調査を行い、結果を「協働による事業フレーム」のモデルに当てはめて整理することで、地域に新たな価値をもたらす協働の要素の分析を行った。公募型は協働のダイナミクスの相互作用により事業が推進され、事業主体選定型は社会関係資本の関与が少ないものの、脱炭素や処理の合理化に適した立地が実現していた。今後は、本研究の目標である立地選定プロセスの望ましいフローを構築するにあたって、今回の分析により抽出できた協働の要素を取り入れ体系化することや、ガイダンスを作成して公表することを目指す。

  • 谷口 雅哉, 山田 裕史, 岸田 一幸
    セッションID: B2-6-O
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    竪型ストーカ式焼却炉は、医療廃棄物を補助燃焼なしで安定燃焼させるために開発され、国内外35施設に納入されている。今回の発表では、弊社の納入した施設中で医療廃棄物を主に処理する施設における処理・運転状況を、公表されているデータをもとにまとめた。その結果、炉の稼働率が高く、高濃度の塩化水素などの有害ガスを高効率で除去できることを確認した。

  • 西尾 卓真, 菅原 秀雄, 加藤 政一, 増田 倹吾, 鮫島 良二
    セッションID: B2-7-P
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    一般廃棄物は、清掃工場において衛生処理と最終処分量の減量・減容化を目的として焼却処理が行われている。同時に余熱利用としてごみ発電が行われ、ごみには再生可能エネルギーであるバイオマス分が多く含まれるため、地球温暖化防止にも寄与している。ごみ発電の高効率化は更なる地球温暖化防止に有効であり、そのために蒸気の高温・高圧化が必要となる。しかし、ごみ燃焼に伴い発生する塩化水素ガスや飛灰中の塩類による高温腐食の問題があり蒸気温度が制限されている。これらを踏まえて、適切な蒸気サイクルの構成や蒸気条件を設定する必要がある。

    本研究では、清掃工場における最適な発電方式の比較検討を行った。その結果から,適切な蒸気サイクルの構成や蒸気条件の設定により,発電端効率の向上を確認できた。

  • 芦田 日向子, 門木 秀幸
    セッションID: B2-8-P
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    一般廃棄物処理を担う自治体にとって、施設の用地の選定作業は重要な業務となっている。用地の選定にあたり、近年、住民理解を進めるため用地選定過程を公開し、透明性を確保する事例が多くなっている。また、公募型等により一定の評価基準を設定し最適な候補地を決定する事例も増加している。本研究では、過去の事例について、一般廃棄物処理施設の用地選定過程において、どのような評価基準項目が採用されてきたかをまとめた。その結果、法規制の遵守や生活環境への配慮、防災といった住民の安全・安心という観点からの項目が多く、住民理解を進めることが重視される傾向にあると考えられた。一方、廃棄物処理施設は、様々な価値を有することから、今後は活用という観点から最適な用地選定を行うことも、重要と考えられた。

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