日本ストーマリハビリテーション研究会誌
Online ISSN : 2759-7458
Print ISSN : 0912-0408
3 巻, 2 号
通巻5号
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表紙・目次
原著
特集1. 洗腸法の役割と功罪
  • 島田 寛治, 赤井 貞彦
    1987 年 3 巻 2 号 p. 13-17
    発行日: 1987年
    公開日: 2025/04/30
    ジャーナル フリー
     新潟県のオストメイトに対し,主として洗腸排便法についてアンケート調査を行った。回答者は330名(回収率76.9%)で,男性183名,女性135名,平均年齢は男62.6歳,女62.1歳と差がなく,ストーマの部位が左の302名について洗腸の集計を行った。
     洗腸施行者は138名45.7%であり,その平均年齢は61.0歳で,自然排便のそれは64.5歳であった(p<0.05)。しかし,男女別では洗腸施行率に差が認められなかった。地域別に見ると洗腸率が有意に低い地域がみられた。
     洗腸法はオストメイトの排便調節法として重要な方法であるが,その人の性格や条件に応じ患者自身が選択すべきものと考えられる。
  • 真田 弘美, 川島 和代, 津田 光世, 山口 明夫
    1987 年 3 巻 2 号 p. 19-26
    発行日: 1987年
    公開日: 2025/04/30
    ジャーナル フリー
     排便方法の相違や装具の新旧の差により起こるオストメイトの精神的問題を明らかにし,精神面への援助方法の示唆を得る目的で調査を行った。その結果は,1. 排便方法においては,洗腸施行者は自然排便者に比べ,自己評価が高く,不安も少なく,また排便に対する愁訴や精神的問題も少ないことから,洗腸施行者の方が精神的に安定した日常生活を送っている。2. 自然排便者の装具の新旧がオストメイトの精神面に与える影磐に大差が無いことから,装具の発達により,患者の排便に対する愁訴や精神的問題が減少しているとは言い難い。
     以上より,オストメイトの精神的援助には排便に対する劣等感を減少させるような援助の必要性が示唆された。
  • 大村 裕子, 西 満正
    1987 年 3 巻 2 号 p. 27-30
    発行日: 1987年
    公開日: 2025/04/30
    ジャーナル フリー
     アンケート調査によって,左側人工肛門患者83名の自然排便の状況について解析した。調査はすべて著者1人と患者との対話形式で実施された。
     手術前の排便頻度と比較してみると,人工肛門造設後は61.4%の患者にその増加が認められ,大半の患者が一定の排便回数となるまでに最小限一年間を要した。20.5%の患者排便時間は1時間以内の定時排便であり,15.7%は睡眠中の不規則排便であった。すなわち,全体で36.2%の患者は生命の質的面からみて洗腸施行患者とほぼ同程度であった。
     以上の成績から,洗腸は人工肛門を造設して1年経過後に指導すべきであるといえよう。
  • 松本 収生, 天野 信一, 森山 茂, 倉田 正, 梅原 規子, 松本 好市, 鈴木 宏志
    1987 年 3 巻 2 号 p. 31-35
    発行日: 1987年
    公開日: 2025/04/30
    ジャーナル フリー
     人工肛門造設患者の残存大腸の運動機能を内圧測定から客観的に評価する方法を考案し,洗腸排便法が患者の排便機能に如何に影響をおよぼし,結腸貯留能獲得に有効か否かを人工肛門造設後1年以内例7例,4年以上の洗腸例6例および4年以上の非洗腸例5例を対象として検討した。
     洗腸例ではcolonic compliance は他の2群に比し大きく,結腸バルーン内圧もstable例が多いことより,結腸貯留能の獲得および結腸運動能の安定化によりcolonic continenceを獲得することが洗腸排便法による排便コントロールを有効にしていることが知られた。
  • 柵瀬 信太郎, 西尾 剛毅, 牧野 永城, 斉木 茂樹, 佐藤 エキ子, 篠原 富士子
    1987 年 3 巻 2 号 p. 37-42
    発行日: 1987年
    公開日: 2025/04/30
    ジャーナル フリー
     長期間にわたる洗腸法のもたらす身体的影響の有無については,ほとんど解明がなされていない。我々は5年間以上洗腸法を施行してきた8例を対象として以下の項目について検討した。1)栄養状態,腎機能,電解質バランス,肝機能などの全身的影響。2)大腸の形態的変化。3)大腸粘膜の組織学的変化。4)大腸内細菌叢の変化。5)残存大腸への異時性原発性大腸癌の発生頻度。検討の結果,これらに関しての悪影響は全く認められず,洗腸法はS状結腸人工肛門の安全な排便管理法と考えられた。
特集2. ストーマの合併症とその対策
  • 久保 五月, 藤原 順子, 臼杵 尚志, 小松原 正吉
    1987 年 3 巻 2 号 p. 43-46
    発行日: 1987年
    公開日: 2025/04/30
    ジャーナル フリー
     「尿意」に関するアンケートの結果から,我々は個々の患者の「尿意」を各々の主観に沿った言葉で表現させ,その程度に応じて,3段階にスコア分類し,このスコアを術後の排尿訓練に試用した。スコアと膀胱内尿貯留量及び自尿量が,分散分析とt検定において,有意な相関を示したことから,我々は術後の排尿訓練の際,一定期間の経過を観察する中で,膀胱内尿貯留量が300~400 mlとなる時のスコアを知り,そのスコアとなった時を適切な排尿時期と指導する方法を提案する。そして,スコアを用いた排尿訓練を効果的に行うためには,患者に水分摂取の必要性を十分に理解させるとともに,水分摂取量,全尿量をチェックすることが,必要である。
  • 片山 隆市, 尹 太明, 石田 秀世, 東郷 實元, 高橋 日出雄, 穴沢 貞夫, 櫻井 健司
    1987 年 3 巻 2 号 p. 47-53
    発行日: 1987年
    公開日: 2025/04/30
    ジャーナル フリー
     1983年から1986年までの4年間に,結腸ストーマの合併症に対して再造設術を施行した6例について検討した。早期合併症例は2例でそれぞれ壊死および陥没であり,どちらも感染を伴っていた。晩期合併症例は4例でそれぞれ傍ストーマヘルニア,狭窄,傍ストーマヘルニアを併存した脱出および陥没であった。再造設は全例について経腹直筋的に一次開口粘膜翻転法で行い,良好な結果が得られた。初回造設時,再造設時にかかわらず,ストーマ造設の原則にしたがった術式を用いて慎重な手術手技を行うことによって合併症が防止できると考えられた。
パネルディスカッション
地方会抄録(地域研究会記録)
研究会報告
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