日本ストーマリハビリテーション研究会誌
Online ISSN : 2759-7458
Print ISSN : 0912-0408
4 巻, 1 号
通巻7号
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表紙・目次
原著
  • 久保 五月, 藤原 順子, 臼杵 尚志, 小松原 正吉
    1988 年4 巻1 号 p. 5-8
    発行日: 1988年
    公開日: 2025/03/28
    ジャーナル フリー
     マーキングの位置が術後のストーマケア,特に装具の安定性に与える影響の程度をストーマケアヘの影響が予想される各種要因と比較し,また,この面から見たマーキングの最適部位について検討した。その指標としては,ストーマ周囲の皮府症状の有無および,術後早期,後期における装具の交換頻度を用い,多変盤解析,数量化理論第Ⅰ類および,第Ⅱ類を用いて,評価した。この結果,術後早期,後期ともに装具の交換頻度はマーキングの位置により大きく左右されていた。また,実際のマーキング位置については「臍から1cmより上方」,「正中から6cmより左側」の位置が術後後期の装具の安定性において,最も優れていた。
  • 倉本 秋, 伊原 治, 上村 秀樹, 河原 正樹, 酒井 滋, 上西 紀夫, 大原 毅
    1988 年4 巻1 号 p. 9-14
    発行日: 1988年
    公開日: 2025/03/28
    ジャーナル フリー
     ストーマ造設患者の術後のquality of lifeを決定するものは,簡単にできるセルフケアと合併症のないストーマである。このためには術前に適切なストーマサイトマーキングを行って,管理しやすい部位にストーマを造設することが大切である。緊急手術でも必ずマーキングを行う。
     ストーマサイトマーキングは至適なただ1点を求めるものではない。術前に十分な病態の把握を行い,ストーマサイトの移動許容範囲や口側での次善のストーマ造設部位をマーキングして手術に臨む。手術中もストーマ造設を念頭において腸管の切断を行い,緊張なく引き出した腸管で管理しやすい翻転型のストーマ造設に努力すべきである。
  • 島田 寛治, 赤井 貞彦
    1988 年4 巻1 号 p. 15-17
    発行日: 1988年
    公開日: 2025/03/28
    ジャーナル フリー
     肥満例や腹壁の弛緩した女性では,術前にストーマサイトマキングを行ったにもかかわらず,臥位では良いストーマでも,坐位でケアするようになると,腹壁の皮膚や皮下脂肪が垂れ下がり,ストーマヘの覆いかぶさりを生じ,セルフケアの困難になる例を見ることがある。
     これは,肥満例では坐位になると腹壁の下垂,突出,皮下脂肪の厚みの増大が高度となるが,ストーマの部位では腸管の皮下の長さが変化しないため,相対的に陥凹し,ひきつれ,頭側の皮膚や皮下脂肪がストーマに覆いかぶさるためである。
     この対策として,術前のストーマサイトマーキングをより一層慎重に行い,ストーマ造設時,立位での腹壁の変化を考慮して,腸管にゆとりを持たせるとか,ストーマの部位を通常より頭側,臍の高さかその少し下くらいにする方が良い。
  • 大村 裕子
    1988 年4 巻1 号 p. 19-24
    発行日: 1988年
    公開日: 2025/03/28
    ジャーナル フリー
     消化器および尿路の両ストーマが一期的に造設された26例を研究対象として、ダブルストーマにおける局所管理困難性およびストーマサイトマーキングの意義について検討した。ストーマ管理困難性にかかわる要因として、(1)ストーマ位置の解剖学的な適正条件の満足度(2)ストーマおよび装具装着部の管理適正度(3)ストーマ間の距離(4)正中創の状況(5)ストーマ合併症の有無をとりあげ、各因子にスコアリングし、総合点11点以上は良好、中間は10~7点、不良は6点以下とした。総合点の高いものはマーキング率が高く、皮膚障害発生率も低かった。以上により、マーキングの重要性が改めて確認された。
  • 田沢 賢次, 藤巻 雅夫
    1988 年4 巻1 号 p. 25-31
    発行日: 1988年
    公開日: 2025/03/28
    ジャーナル フリー
     ストーマ周囲皮膚障害の成立機序は,生理的皮膚機能とスキンケアに対する管理とそれにOrgan-Organ Relationshipのもとでのデルマドロームの三大要素として把握する必要がある。したがってストーマ周囲皮膚炎が発生してもストーマ管理用品,特に皮膚保護剤を正しく用いることにより驚くほど早く回復するのは,それが原因的治療になっているからであろう。
     皮膚の生理機能,特にpHに代表される中和能や,最近繁殖阻止能などがいかに大切なものであり,皮膚保護剤がいかにこれらを補強するのに役立っているかを解説した。カラヤゴムを中心に皮膚保護剤の作用についての実験データを基にどのような役割を担っているかを理解していただきたい。
  • 和志田 裕人
    1988 年4 巻1 号 p. 33-35
    発行日: 1988年
    公開日: 2025/03/28
    ジャーナル フリー
     当科において尿路変向術を受けた患者会の活動の一つとして有志のオストメイトにオストミービジターとなっていただいているので,その経過と今後の展開について述べた。
     自分の経験からオストミービジターの必要性を強く感じ,ボランティアーとして社会に寄与したいとの考えをもっていたことなどにより,適任であると判断された方がオストミービジターの第1号となり,その経験から長所・反省点が把握された。長所としては1. 疑問・不安感の解消,2. 孤独惑の解消,3. 実生活への参考などであり,反省点としては1. 医療知識について,2. オストミービジター自身の経過への不安感,3.相手の受け入れなどがあげられた。こうした経験より医療従事者との学習会の場を持ち,よりよいオストミービジターの養成に努力する必要性が指適された。
地方会抄録(地域研究会記録)
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