学校ソーシャルワーク研究
Online ISSN : 2758-5018
Print ISSN : 1881-9788
4 巻
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論文
  • ―パワー交互作用モデルを基盤にした学校ソーシャルワーク―
    奥村 賢一
    2009 年 4 巻 p. 2-15
    発行日: 2009年
    公開日: 2023/05/12
    ジャーナル フリー
    本研究では,パワー交互作用モデルを基盤にした学校ソーシャルワーク実践が,不登校児童生徒の状況改善に向けた家族支援において有効な支援方法であることをEvidence-Based Practiceの観点からシングル・システム・デザインを用いて明らかにしていく.家族支援では,パワー交互作用モデルの中心的手法である①アドボカシー活動,②グループワーク,③サービス調整を用いて実践を展開した.
    その結果,プロセス評価として,①父親の心境変化と行動変容,②学校・支援機関の父親評価の変化が確認された.また,アウトカム評価として,①本児の欠席日数の減少,②母親に対する支援体制確立に向けた動き,③妹の保育園への通園開始が得られた.パワー交互作用モデルを基盤にした家族支援では,家庭内キーパーソンの確立が重要であり,ストレングスの視点によるパワーの回復,肯定的なフィードバックが良好なパワー交互作用に効果を示した.
  • 金澤 ますみ
    2009 年 4 巻 p. 16-27
    発行日: 2009年
    公開日: 2023/05/12
    ジャーナル フリー
    2008年度より,文部科学省が導入した事業によって,全国でスクールソーシャルワーカーが誕生した.この事業導入は突然のことであったため,さまざまな混乱を招いている.そのなかでも,スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーの役割をどのように考えればよいのかという混乱は大きい.
    そこで,本稿では,スクールソーシャルワーク導入に至った経過を概観したうえで,スクールソーシャルワーカーとスクールカウンセラーの協働実践事例に基づき,両者の協働のあり方についてエコロジカル・ソーシャルワークの視点から分析した.その結果,両者の協働のプロセスそのものが,指導主事や教職員との協働関係を構築していく可能性をもつことが示唆された.そこから,今後の両者の関係において必要な課題を提示した.
  • ~虐待的養育環境にある子どもに対するスクールソーシャルワーカーの援助プロセスを通して~
    西野 緑
    2009 年 4 巻 p. 28-41
    発行日: 2009年
    公開日: 2023/05/12
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,虐待的養育環境にある子どもに対する配置校型スクールソーシャルワーカー(以下, SSWerとする)の援助プロセスを明らかにすることにより,その有効性と課題を考察することである.大阪府の配置校型SSWerに対してインタビュー調査を行ない,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した.
    その結果,配置校型SSWe rの援助プロセスは,まず校長やコーディネーターをはじめとする教職員との関係を作り,校内の見立てと手立ての仕組み作りを行い,日常的な調整を行いつつ,専門職としての判断と行動を行う采配プロセスであることがわかった.有効性として,予防的な関わりや校内体制の構築に寄与し易く,通告の判断や子ども・保護者への直接的介入にもより適切な行動ができることが挙げられる.しかし,その活動は学校組織に影響を受けるという課題があり, SSWer自身の校内でのポジションを確立する必要がある.
  • ―コミュニケーションに焦点を当てたステージ指標の検討―
    米川 和雄, 津田 彰
    2009 年 4 巻 p. 42-53
    発行日: 2009年
    公開日: 2023/05/12
    ジャーナル フリー
    本研究は,多理論統合モデルによるステージ理論を用いたコミュニケーションステージとソーシャルスキルとの関連性の検討を目的とした.コミュニケーションステージは,中学生のコミュニケーション活動に応じて,(1)前熟考期(コミュニケーションを必要と思わない),(2)熟考期(コミュニケーションを必要と思うけど,取れていない),(3)準備期(コミュニケーションを必要と思う,これから取ろうと思っている),(4)実行期(コミュニケーションを必要と思う,取っている)と(5)維持期(コミュニケーションを必要と思う,半年以上取っている)に仮定した.ソーシャルスキル以外にライフスキル, 自己受容,成長度,健康状態とソーシャルサポートにおいても調査された.これらは生きる力の要素と目された. 487名の中学生が,学校生活スキル尺度(ソーシャルスキルとライフスキル),自己受容尺度,コミュニケーションステージ指標,成長度,健康状態とソーシャルサポートに回答した.コミュニケーションステージ指標を用いた一要因の分散分析の結果,ソーシャルスキルは,ステージが上がるほど高まることが示された.さらにライフスキル, 自己受容,成長度,健康状態とソーシャルサポートにおいてもステージが上がるほど高まることが示されたとくにソーシャルスキルは,他の指標よりも各ステージを反映した結果が示された.これらの結果から,(1)コミュニケーションステージを上げることが生きるカに求められるような要素を促進すること,(2)コミュニケーションステージ指標はソーシャルスキルに適した指標であること,(3)各ステージに応じた介入のために,コミュニケーションステージ指標は, ソーシャルスキルトレーニングのような人間関係に関わるトレーニングの参加者を選択するための指標として役立つこと,が示唆された.
研究ノート
  • ―保護者・子どもの主体性に注目して―
    三沢 徳枝
    2009 年 4 巻 p. 54-67
    発行日: 2009年
    公開日: 2023/05/12
    ジャーナル フリー
    特別支援教育が始まり,これから特別な教育的ニーズに応えるシステムを構築していく必要がある家庭一学校一専門機関ー地域との連携及び協働を促進することが求められる.本研究では,子どもや保護者が意志決定者として支援体制の中に位置づけされているかどうかを,特別支援教育に関する文部科学省委託事業報告書や実践報告資料,調査研究事業報告書,学校要覧等の記述の分類,分析を通して検討した.この結果,子どもの情報の引き継ぎに際して,保護者の同意や承諾に関する記述は少ないことが分かった.保護者の参画を進める体制整備が求められる.さらに家庭環境に焦点を当てたアプローチが必要ではないかと推察された.
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