本研究の目的は,虐待的養育環境にある子どもに対する配置校型スクールソーシャルワーカー(以下, SSWerとする)の援助プロセスを明らかにすることにより,その有効性と課題を考察することである.大阪府の配置校型SSWerに対してインタビュー調査を行ない,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した.
その結果,配置校型SSWe rの援助プロセスは,まず校長やコーディネーターをはじめとする教職員との関係を作り,校内の見立てと手立ての仕組み作りを行い,日常的な調整を行いつつ,専門職としての判断と行動を行う采配プロセスであることがわかった.有効性として,予防的な関わりや校内体制の構築に寄与し易く,通告の判断や子ども・保護者への直接的介入にもより適切な行動ができることが挙げられる.しかし,その活動は学校組織に影響を受けるという課題があり, SSWer自身の校内でのポジションを確立する必要がある.
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