学校ソーシャルワーク研究
Online ISSN : 2758-5018
Print ISSN : 1881-9788
9 巻
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巻頭言
論文
  • 長沼 洋一, 長沼 葉月
    2014 年 9 巻 p. 2-14
    発行日: 2014年
    公開日: 2023/04/03
    ジャーナル フリー
    学生支援のためにソーシャルワーカーを活用する取り組みが広まりをみせている.そこで本研究では,その業務確立のプロセスを明らかにするために,二つの調査を行った.第ーに,全国の大学でどれほどソーシャルワーカーの活用が広がっているのか質間紙法による実態調査を行った.回答が得られた430校(回収率58.9%)のうち32校でソーシャルワーカーが配置され,困難を抱えた学生へのケースワーク,アウトリーチ等の多様な活動に従事していることが明らかになった.第二に,ソーシャルワーカーおよび管理者への調査を行い,業務確立のプロセスを質的に分析した.業務目的には大学ごとの多様性が大きかったが,業務内容を導入時期からの展開に合わせて整理することで業務確立のプロセスにおける課題を明確化することができた.今後の学生支援におけるソーシャルワーカー活用拡大に向けて課題への対処方略についても論じた.
調査報告
  • 中里 昌子, 厨子 健一, 周防 美智子, 山野 則子
    2014 年 9 巻 p. 15-25
    発行日: 2014年
    公開日: 2023/04/03
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,プログラム理論(Rossiet. al = 2005) を援用してスクールソーシャルワーカー(以下SSWer) 配置プログラムのプロセス理論(サービス利用計画)とインパクト理論を作成し,インパクトにつながる効果的なSSW活動のための援助プロセスや効果的援助要素を明らかにすることである.インタビューによるグッドプラクティス調査を行い,実践者と意見を交換しながらSSWer配置プログラムを作成した.
    結果,ステイクホルダーである「教育委員会」「学校組織」「関係機関」「子ども・保護者」に対し, 31の効果的援助要素と111の下位項目が抽出された.調査結果から,①事例に入る前に働きかけることが多くあること,②子ども・保護者だけではなく他のステイクホルダーにも同時に働きかけていたこと,③これらの活動が子ども・保護者だけではなく各ステイクホルダーにも効果を及ぼすインパクトにつながることがわかった.
研究動向
  • Children & Schoolsでの10年間の文献研究より―
    門田 光司
    2014 年 9 巻 p. 26-40
    発行日: 2014年
    公開日: 2023/04/03
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,過去10年間(2003年~ 2012年)のChildren& Schoolsに掲載された研究論文202編の研究課題や研究アプローチ,研究対象を分析することで,アメリカにおける学校でのソーシャルワーク実践の研究動向を明らかにすることである.分析結果では,研究課題においては「学力問題」が一番多く,続いて「スクールソーシャルワーカー(以下, SSWと記す)の役割業務」「学校暴力」「教育制度」「学校規律・風士」であった.また,研究アプローチでは,「協働」が圧倒的に多かった。研究対象では,「攻撃的暴力的生徒」であった.この研究課題の動向としては,過去の一連のSSWに対する調査研究では,常に実践の中心がカウンセリングであるため,学校施策・改革といったマクロレベルにSSWが役割業務として関わっていく必要性を指摘する研究背景があること.そして,学力格差是正のための連邦教育法「No Child Left Behind Act of 2001」にて,学校は具体的な対策を求められることになり, SSWも学校施策・改革に関わっていく必要性が増してきたことによる.
    本論では,さらに学校暴力,いじめ,出席問題, Evidence-Based Practice, SSWの役割業務に関する研究課題の内容動向について考察していった.今回の研究動向から見えてきた点は,アメリカの教育施策の焦点は学力格差の是正と,低経済層でマイノリティ生徒の学力を増していくこと,そして学力に悪影響を及ぼす要因を減らしていくことである.そのための取り組みとして, SSWがどのような役割を担えるのかが今Hの研究課題といえる.そして,今回の研究動向から,わが国での学校におけるソーシャルワーク実践研究に際して得られたいくつかの示唆を指摘した.
第8回研究大会シンポジウム
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