学校ソーシャルワーク研究
Online ISSN : 2758-5018
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特集
論文
  • 寺田 千栄子
    2020 年 15 巻 p. 33-47
    発行日: 2020/10/20
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,エンパワメント視点に基づくLGBTQの子ども達への学校ソーシャルワーク実践モデルを構築することにある.そして,本実践モデルの構築にあたっては,LGBTQ当事者からの語りによる質的分析を活用していくことにした.

    分析の結果,学校教育環境に介在する,LGBTQの子ども達のパワーの減退につながる五つの要因(【LGBTQに不寛容な仕組み】【ショックな出来事】【他者の無理解な言動】【居場所が無い】【否定的な自己イメージ】)とエンパワーを促す四つの要因(【LGBTQに寛容な仕組み】【居場所の存在】【他者の受容的な態度】【肯定的な自己イメージ】)とその構造が明らかになった.また,これらに多元的にアプローチしていくために,エンパワメントプロセスに基づく学校ソーシャルワーク実践モデルを提示した.なお,これらの実践は,子どもの人権と社会正義,多様性の尊重に基づき,ミクロ・メゾ・マクロレベルで子どもの支援に取り組んでいくものである.

  • 研修システムを協働構築するプロセス
    大友 秀治
    2020 年 15 巻 p. 48-64
    発行日: 2020/10/20
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    スクールソーシャルワークを含むスーパービジョン研究では,スクールソーシャルワーカー活用事業の進展や事業改善に働きかけるスーパーバイザーの管理的機能と変革的役割が,十分に明らかになっていないという課題が指摘されている.そこで,本稿は,参加型評価としての「スクールソーシャルワーク事業プログラム」を活用しているスーパービジョンに着目し,事業変革に働きかけるスーパービジョンモデルを生成することを目的とした.

    本稿では,分析テーマ「スクールソーシャルワーク事業プログラムを参加型評価としてスーパービジョンに活用し,自治体の活用事業を変革するプロセス」の中期部分に当たる「研修システムを協働構築するプロセス」に関して,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチによる分析と考察を行った.

    その結果,スーパーバイザーが教育委員会担当者と協働し,スクールソーシャルワーカーに対する研修システムを構築するという,事業変革に向けたスーパービジョンの視点とプロセスを明らかにした.

  • 長沼 洋一, 長沼 葉月
    2020 年 15 巻 p. 65-77
    発行日: 2020/10/20
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究は,四年制大学の学生支援部門管理者の観点からキャンパスソーシャルワーカー(以下CSW)を配置した効果を評価し,それに関連するCSWの活動を明らかにすることを目的とする.全国の大学に対する質問紙調査データから,管理者とCSWのマッチングができた33ケースを分析対象とした.一日あたりの勤務時間が長いCSWや自殺予防・自殺対策の取組を行っているCSWはそうでない場合と比べて教職員による話し合いの増加や学生が学内の関連部署に繋がるといった効果を評価されやすかった.プランニングやモニタリングのためにケース会議を開く時間を割くことも効果評価に繋がっていた.自由記述の回答からも,個別支援にのみ力を注いでいると管理者からのアウトカム評価はあまり高まらないが,ケース会議を開いたり,学外の諸サービスや制度を活用したり,学内の運営委員会等で活動実績を報告することで評価が高まることが示唆された.

  • ~教育相談委員会の役割と協働に焦点を当てて~
    栗木 美代子, 馬場 幸子, 古屋 龍太
    2020 年 15 巻 p. 78-89
    発行日: 2020/10/20
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では,「校内チーム支援体制構築」のためには何が必要か,スクールソーシャルワーカー(SSW)に何が求められるのかを明らかにすることを目的とし,質問紙及びインタビュー調査を行った.本研究では特に教育相談委員会の役割と協働に焦点を当てた.対象中学校では,調査者(SSW)が教員と共に生徒を支援していく3年間の実践の中で,教員によるSSWについての認知度が高まり,SSWに期待する役割の範囲も広がっていった.また,教員と協働した教育相談委員会で用いるシートの改定により,「情報共有・今後の対策等」が可視化され,会議が効率的に行われるようになった.一方,教育相談委員会の内容を他の委員会等と共有できておらず,「情報が滞っている」ことも明らかとなった.学校組織全体の情報共有と協働を機能させ,連携が取れることによって,教員らが子どものことをより深く理解し,それが子どもたちへの対応にも反映されることが示唆された. 

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