廃棄物学会研究発表会講演論文集
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D3 埋立地モニタリング
  • 石垣 智基, 石田 明希, 井上 大介, 澤村 啓美, 清 和成, 稲葉 正毅, 池 道彦
    セッションID: D3-8
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
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    最終処分場には多様な物質が高濃度で蓄積されており、環境負荷源として懸念されている。本研究では、環境の有する浄化ポテンシャルを踏まえた評価をすることで、処分場内での物質の動態を含めた環境安全性の評価を目的とするDNAマイクロアレイの設計および作製を試みた。処分場で高頻度にて検出される芳香族化合物、石油炭化水素、揮発性有機化合物、フェノール化合物、重金属、無機化合物(炭素、窒素、硫黄)、抗生物質の分解、耐性、および循環に関わる酵素をコードする200種以上の遺伝子をリストアップした。当該遺伝子の増幅条件を勘案し、各遺伝子に相補的なプローブの配列を設計し、同一条件でハイブリダイズ可能な174種類の遺伝子を最終的に選抜し、個別の遺伝子に相補的かつ特異的に結合するプローブをマイクロアレイに搭載した。得られたプローブを搭載したDNAマイクロアレイについて、実処分場試料を用いて適用可能性を評価し一定の性能が確認された。
  • 長森 正尚, 山田 正人, 石垣 智基, 小野 雄策
    セッションID: D3-9
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
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    廃棄物処理法では、管理型最終処分場の廃止時に、浸出水、ガス及び温度を2年間以上モニタリングし、埋立廃棄物の安定化状況を把握することが義務付けられている。本報では、山間部に位置する深度が約45mの埋立層の厚い処分場において場内観測井を6本設置し、調査した結果、埋立開始後9288日目(埋立終了後2771日目)において、浸出水、ガス及び温度はいずれも廃止基準を満足していなかった。場内観測井内の水質及びガス組成からは、埋立廃棄物の質が調査位置により大きく異なると推察された。他方、場内観測井内の水位からは、深度20~30m付近に難透水層が存在し、その上下に保有水が内部貯留されていることが判明した。場内観測井内に空気の潜入や周辺からの雨水の侵入があったことから、安定化の確認を目的とした場内観測井の設置には位置や深さ及び仕立て方が重要であることが分かった。
  • 杉崎 真幸, 樋口 健人, 望月 貴史, 河村 陽介, 香村 一夫
    セッションID: P1-D3-10
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
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     廃棄物埋立層の不均質性を、比抵抗探査によって評価しようという試みが香村ら によって以前より行われてきた。しかし、実際の処分場を対象とした調査では、ボーリング孔の数や位置が限られているため、比抵抗の二次元断面と対比可能な地層・水質データを広範に得るとることは難しい。そのため、従来の研究においては、比抵抗断面の解釈は専らその定性的な側面のみに留まってきた。本研究では、小型土槽に焼却灰をつめて模擬廃棄物地盤を作成し、その地表面に定期的に散水を繰り返しながら浸出水の挙動と水質変化を調べ、また同時に地表面において比抵抗探査を実施することで層の比抵抗変化を調べている。本稿では、各散水時に得られた比抵抗断面と浸出水の量と電気伝導度を比較し、廃棄物層の性状変化と比抵抗変化の関係について検討した。
  • 狩野 賢太郎, 趙 銀娥, 吉永 尚司, 樋口 壯太郎, 花嶋 正孝, 為、田 一雄
    セッションID: D3-11
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
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     近年、最終処分場の早期安定化手法としてケミカルオキシデーション法の研究開発に取り組んでおり、二次物質が生じる可能性がある。また、埋立地の管理において視野に入れるべき化学物質は膨大な数にのぼる。さらに、最終処分場の安定化評価基準として、周辺住民の安全、安心に対するより判りやすい説明指標も必要とされている。  このような背景下、埋立地浸出水に含まれる多種多様な化学物質等による潜在的な環境リスクを評価でき、更に専門家以外にも判りやすい毒性評価手法の確立を目的として研究を行った。これまでの結果、ケミカルオキシデーション法実施前の浸出水毒性評価については、各種化学物質との相関性が認められ、強制通気の効果も確認することができた。今回、ケミカルオキシデーション法実施後の浸出水毒性評価について、酸化剤添加による影響が確認でき、更に各種水質分析結果とも相関性が確認できたので報告する。
D4 埋立地早期安定化
  • 為田 一雄, 趙 銀娥, 樋口 壯太郎, 花嶋 正孝, 李 南勲
    セッションID: D4-1
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
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    近年、不活性な廃棄物を埋立処分する安定型最終処分場においても、浸透水水質悪化や悪臭などの問題から周辺環境への汚染が発生し、搬入停止措置がとられる箇所も増加している。この主な原因としては、安定型最終処分場で埋立処分される廃棄物の大半を占める廃プラスチック類に付着する有機性物質が原因と考えられており、法律で義務付けられている、展開検査のみでは、これらを搬入規制するには限界がある。 この様な状況の中、安定型最終処分場に埋立処分される廃プラスチック類に注目し、洗浄技術をベースとした前処理により、安定型最終処分場の早期安定化、及び廃プラスチック類の資源化技術の開発についての研究を行った。今回は、簡易洗浄工法による液固比1倍での洗浄効果が確認でき、洗浄後廃プラスチック類のサーマルリサイクルへの可能性が確認できた。更に、簡易洗浄前処理を行わない場合と比較し、安定型最終処分場早期安定化及び周辺環境への負荷の低減が確認できたので報告する。
  • 久保田 洋, 矢島 聡, 岡本 太郎, 酒向 信一, 山田 裕己
    セッションID: D4-2
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
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    本研究では、最終処分場の早期安定化を目的として、筆者らが開発してきた焼却灰を対象とした前処理方法(4mm/日散水、2mm/秒通気、30cm撒き出し、期間40日)の省スペース化についての検討を行った。検討した項目は以下の三つである、(1)散水の加速化、(2)通気量の増加、(3)撒き出し厚180cm。(1)散水速度を速めた試験では、焼却灰と水との接触時間が短くなり洗い出し効率が低下することが示唆された。(2)通気量を増加させたところ、pHが低下しCa等の塩類の溶出が促進される傾向が見られた。(3)撒き出し厚さを従来の約6倍、散水量を従来の9倍にして行った実験では、従来の処理と同様の前処理効果が得られることが確認され、1/6の省スペース化が可能であることが示唆された。本研究から撒き出し厚さを高くしても、散水量をコントロールすることにより十分な前処理効果を得ることが可能であることが示唆された。
  • 吉永 尚司, 樋口 壯太郎, 宮田 剛史, 花嶋 正孝, 為、田  一雄
    セッションID: D4-3
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
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    現時点において最終処分場の廃止時期の予測や制御は困難であり、特にCODに代表される難分解性有機物や窒素の安定化には数十年間を要すると考えられる。我々はこの問題に対応するため、埋立地内に事前に早期安定化の措置がとれる設備を組み込んだ早期安定型埋立処分システムを考案し、その基礎的実験を行った。 これまでの結果から、強制通気による有機汚濁物質等の早期低減化が可能であることが確認できた。今回は難分解性有機物の早期低減化を目的として行った酸化剤(過酸化水素水)注入によるケミカルオキシデーション法に取り組んだ。 酸化剤添加によるCODMn濃度、BOD濃度に変化は認められなかったが、ガス組成で大きな変化が見られたのでここに報告する。
  • 元永 優一, 樋口 壯太郎, 花嶋 正孝, 武下 俊宏, 中家 祥介, 上 周史, 小屋町 法之
    セッションID: D4-4
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
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    廃棄物の早期安定化のために、強制的に好気性環境を創り出すことで有機物の分解を促進させるシステム工法を研究開発した。本稿では3ヵ年計画の最終年の実証実験成果を報告する。なお、本研究開発は、北九州市の「環境未来技術開発助成事業」の適用を受けて実施した。
  • 堀井 安雄, 内田 正信, 樋口 壯太郎, 武下 俊宏, 花嶋 正孝
    セッションID: P2-D4-5
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
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    最終処分場の廃止阻害要因の一つである浸出水中の窒素(T-N)を、廃棄物層内で低減させる技術を確立するため、ラボ試験および大型槽による実証試験を実施した。その結果、ラボ試験において、生物学的硝化および脱窒によって、T-Nが廃棄物層内で低減されることを確認した。さらに、大型槽による実証試験においても、硝化の後に嫌気化することで浸出水中に検出されるT-Nが減少することが確認され、層内で生物学的硝化および脱窒を生じさせることで、T-Nについても低減可能であることが明らかとなった。
  • 一丸 敏則, 松浦 彰男, 桑原 正彦
    セッションID: P1-D4-6
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
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    廃棄物最終処分場は、様々な要因から立地が困難なことが多い。また、埋立完了から廃止までの期間が長期化する問題もある。一方、最近の環境省の方針変更により、廃プラスチック類を可燃物とする自治体が増加しつつあることから、最終処分場に埋立処分される廃棄物中の焼却灰の比率が高まっていくことが予想される。そこで、焼却灰を安定化材と事前に混合して埋立るプレミックス埋立手法を開発した。この埋立手法は、(1)覆土量の削減、(2)浸出水量の削減、(3)浸出水質の改善、(4)悪臭防止、(5)飛散防止、(6)地盤強度の確保、(7)景観改善などの効果が期待でき、処分場立地の問題点を解決する有効な手法であると考える。一方、安定化材の混合により埋立容量の確保の面で不利になる恐れもある。このため、これらの効果や問題点を確認し、実施工を計画するうえでの基礎資料を得ることを目的として室内配合試験を行ったので報告する。
  • 福井 晋平, 小宮 哲平, 高橋 史武, 島岡 隆行
    セッションID: D4-7
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
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    埋立地の焼却残渣層では,雨水浸透の偏り,いわゆる「水みち」ができることが知られており、浸透水が供給されにくい場所が存在し、焼却残渣の安定化が良好に進行しないことが考えられる。本研究では,焼却残渣層における水みちの形成過程の解明を最終的な目的とし,可溶性成分の溶解に伴う孔隙変化に着目し,飽和条件下で通水試験を行った。また,焼却灰の粒度区分別溶出試験を行った。その結果,可溶成分の大部分は通水量がL/S10程度で速やかに溶出した。通水に伴う焼却灰層の孔隙率の増加量は,L/S30までで9.2~10.8%であった。充填試料の平均粒径が小さなカラムほど,孔隙率の増加量が多かったことが示された。焼却灰粒子の粒径区分別の溶出試験から,粒径が小さな焼却灰粒子ほど,可溶成分の溶出量が多いことが確認された。よって,粒径が小さな焼却灰粒子ほど孔隙増加への寄与が高いと考えられた。
  • 小宮 哲平, 福井 晋平, 島岡 隆行, 椋木 俊文, 大谷 順
    セッションID: D4-8
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
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     廃棄物埋立地の早期安定化が求められているが,埋立廃棄物層では雨水浸透の偏りが生じ,埋立地の安定化が一様に進行しないという課題がある。不均一な雨水浸透は,孔隙の偏在,および諸現象に伴う孔隙構造の変化によりもたらされると考えられるが,その現象解明は十分になされていない。  本研究では,焼却残渣層の孔隙構造を把握する手法としてX線CT法に着目し,焼却灰充填カラムに飽和通水させ,通水前後で焼却灰層のCT画像を撮影し,孔隙構造およびその変化の定量的把握を試みた。その結果,焼却灰層において水平方向および深さ方向で孔隙が偏在していること,元々孔隙が多い領域ほど孔隙増加量も多いことが定量的に示された。これらを踏まえると,実際の埋立地では,埋立時に形成される廃棄物層内の孔隙分布の偏りが,その後の水みち形成に影響を与えると考えられた。
  • 吉田 英樹, 洞 防人
    セッションID: P2-D4-9
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
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    北海道内の埋立が終了した廃棄物最終処分場において、安定化促進のため、新たに約90本の受動型ガス抜き管を設置した後の管内の温度とガス成分を3年間にわたって観測した。この処分場は約20年間にわたって分解性の有機物を埋め立てられてきた。このガス抜き管が効果的であるかどうかを温度とガス成分から考察を進めた。
D5 不法投棄/土壌・地下水汚染
  • 板倉 彩夏, 古市 徹, 金 相烈, 谷川 昇, 石井 一英
    セッションID: D5-1
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
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    近年、廃棄物計画策定において市民参加が制度化されてきている。一方、不法投棄現場や不適正処分場(以下、総称して不法投棄事案と呼ぶ)での修復対策における制度化は不十分であり、そのため住民合意が進まず、対策に遅れが生じている。本研究では大規模事案を対象とし、まず事案ごとの修復対策決定プロセスにおける住民参加の形態を明らかにした。次に、修復対策の決定に関する委員会に住民が委員として参加している二つの事案を対象に、委員会議事録の中の住民の発言を分析し、住民参加型委員会の課題を抽出した。この結果、信頼の回復がもっとも大事であり、そのためには、情報を早い段階から共有すること、誠意を持って対応すること、十分に議論が行われる時間を設けること、一方的な説明ではなくコミュニケーションの場を設けること、誤解を生むような用語を回避することが必要であることがわかった。
  • 渡辺 洋一, 磯部 友護, 川嵜 幹生, 土田 保浩, 照井 和夫, 下村 達也, 椿 雅俊, 小野 雄策
    セッションID: D5-2
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
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    埼玉県内の不法投棄現場において、生活環境保全上の支障を除去するために廃棄物の一部撤去が行われた際に、多目的井戸を設置した。本研究では、この井戸を用いた内部状況の調査、及び硫化水素ガス発生時の防止対策を実施した。内部温度のモニタリング結果より、内部は60℃以上の高温部分が不均一に存在し、高濃度のメタンも観測されていることが示された。水平方向及び深度方向の温度分布を求めることにより、内部の発行状態が推定できた。また、硫化水素ガスの抑制対策として塩化第二鉄溶液を多目的井戸から注入することにより硫化水素ガスの発生が抑制されることが明らかにされ、緊急的な対策として有効であることが明らかにされた。最終処分場のように日常的な管理が難しい不法投棄現場では、環境へのリスクを低減するための改善対策は必須であることを踏まえ、多目的井戸を活用した安定化促進対策の確立が今後の重要な課題である。
  • 巽 正志, 西田 憲一, 沢西 芳円, 吉岡 理, 加藤 進, 中村 研二, 塚田 進
    セッションID: D5-3
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
    会議録・要旨集 フリー
     三重県において不法投棄現場で有機塩素化合物の拡散防止および一定レベルまでの浄化を目的として、平成13年度に行政代執行を開始し、平成19年度末までに一定の環境修復を行った事例がある。その対策と措置内容及び結果について報告する。  不法投棄の規模は、面積 約3,000m2 投棄量 約30,000m3であり、周辺地下水へのVOC汚染の拡散が調査により確認された。  そのため、各種地下水調査方法、遮水壁の設置、揚水循環浄化などの措置を有効に活用することにより、汚染地下水の拡散防止と浄化をおこなった。
  • 池田 洋, 古市 徹, 石井 一英, 谷川 昇
    セッションID: P1-D5-4
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
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    本研究では、BTX、DCM、PCEなどの複数の揮発性有機化合物(VOC)によって汚染された不法投棄現場の廃棄物浄化のための原位置バイオレメディエーション技術開発のための基礎的実験を行った。まず、嫌気条件から好気条件へ切り替えるタイミングを検討するために、バッチ試験を行い、その結果、PCE及びTCEを嫌気条件下で分解した後に好気条件に切り替えることにより、これら複数のVOCの浄化が可能であることが分かった。次に、切り替え効果を検証するために、PCEとTCEの分解後、嫌気条件下にあったバイアル瓶のヘッドスペースを、空気に置換することによって、好気条件に切り替えた。その結果、切り替え時にバイアル内に残存していたcis12DCE、BTXの好気分解が確認された。また、嫌気条件下ではcis12DCEの分解により毒性の高いVCが発生したが、好気条件に切り替えることにより、VCの発生も抑制できた。
  • 鈴木 拓也, 古市 徹, 市川 昌宏, 中居 浩士, 石井 一英, 谷川 昇, 福士 憲一
    セッションID: P2-D5-5
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
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    廃棄物の不法投棄および不適正処理は、環境汚染以外にも環境修復および撤去費用負担など様々な環境・社会問題を引き起こしている。特別管理廃棄物の撤去・処理には、掘削・選別作業時の安全性確保や処理費用の問題など課題がある。当該産廃の汚染レベルを普通産廃レベルまで低減できれば、上述した課題を解決でき様々なリスク低減化が期待できる。 そこで本研究では、複合汚染された廃棄物土壌へ原位置嫌気性バイオレメディエーションの適用を目指し、実不法投棄廃棄物を対象に大型実験槽を用いたスケールアップ試験による嫌気性バイオレメディエーションの実行可能性の検討を行った。達成目標として、数ヶ月間の連続運転で当該物質の十分な減少がスケールアップ実験でも可能であることを確認し、現場での適用や課題を明確にすることを目的とした。
  • 黒木 泰貴, 峠 和男, 古市 徹, 谷川 昇, 石井 一英
    セッションID: P1-D5-6
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
    会議録・要旨集 フリー
    不法投棄等により廃棄物が不適正に処分された現場から生活環境にかかわる支 障を取り除く修復再生事業においては廃棄物の掘削除去作業が必要となるが、 埋立廃棄物は種類が様々で有害物質を含む場合も多く、高濃度有害ガスの発生 や可燃性ガスによる爆発のおそれがある事例も認められている。筆者らは、こ れらのガスによる危険性や環境影響を事前に処理する技術として不飽和帯への 高圧空気間欠注入と真空吸引を基本原理とし、通気浄化と原位置好気バイオレ メディエーションによる滞留有害ガスの回収・除去、メタンガス等の発生抑制 をする工法の研究開発を行っておりC県の不法投棄現場で採取した実廃棄物を 用いた試験により、不飽和帯に滞留する有害ガスの除去と通気終了後のメタン ガス生成が抑制されることを報告した。しかしながら、既報では連続送気に対 する間欠送気の有用性が検証できていないため、その検証を目的として行った カラム試験の結果を本報で報告する。
  • 遠藤 和人, 山田 正人, 井上 雄三, 古積 博, 佐宗 祐子, 内藤 浩由, 山脇 敦
    セッションID: P2-D5-7
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
    会議録・要旨集 フリー
    深層火災として無炎燃焼が疑われる堆積廃棄物現場を対象として、詳細調査の位置を決定するための事前調査方法について事例を紹介する。
  • 大塚 義一, 岡崎 浩一, 川口 光雄, 石井 一英, 古市 徹
    セッションID: D5-8
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
    会議録・要旨集 フリー
    不法投棄現場や不適正最終処分場の修復・再生事業における一連の流れのなかで、環境負荷を最低限に抑えながら事業全体のコストと工期を短縮するための手段のひとつとして、埋立廃棄物の3次元モデル化と情報化施工に関するシステム構築の研究を実施している。具体的には、現地を掘削する前に埋立廃棄物全体の質と量がある程度の精度で推定でき、それらの埋立分布が3次元的に電子情報化されていれば、想定可能な複数の対策工法における比較評価がソフトを利用して少ないマンパワーで迅速に対応でき、様々な現場条件に応じて最も効率的で適確な施工計画を立案することが可能になる。今回の発表では、実際の不法投棄廃棄物を対象として廃棄物の3次元モデル化を実施し、 3Dモデル化の作成方法,地質の3Dモデル化システムであるGEORAMAを廃棄物3Dモデル化に適用したことに関する問題点及びそれらを解決するために必要な提案を行う。
  • 永田 勝也, 小野田 弘士, 切川 卓也, 永井 祐二, 中野 健太郎, 西宮 徳一, 西郷 諭
    セッションID: D5-9
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
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    香川県豊島では,産業廃棄物不法投棄問題解決のため,2003年から豊島廃棄物等処理事業が共創の理念の元で行われている.住民が安心して暮らすためには,事業者との事業進捗状況などの情報共有が必要不可欠であり,特に正確な廃棄物の掘削量の公開が求められる.そこで,GPS測量により処分地の3Dモデルを作成することによって事業の進捗状況の可視化を行なった.3Dモデルの地形変化から掘削体積を算出し,処理量にシュレッダーダストおよび土壌の密度を乗じて体積の比較を行なった.シュレッダーダストおよび仮置き土の膨張を考慮することによって処理量から算出した掘削体積とGPS測量から算出した掘削体積の誤差が6%程度であり,整合性が取れGPS測量からも誤差なく処理量を算出することができた.
  • 遠部  慎
    セッションID: D5-10
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
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    本発表では、これまでほとんど注目されていない考古学的な記録を基に、旧石器時代以降の水ヶ浦一帯の過去をまとめてみた。この半世紀の中で、水ヶ浦一帯にもっとも大きな爪跡を残した豊島事件であるが、事件に先立ち、真っ先に破壊されたのは、景観とともに遺跡である。今後、不法投棄を引き起こさないためにも、各地域でこのような事件を語り継ぐという観点は必要であるが、本研究のように、長いタイムスパンの中で、産業廃棄物不法投棄現場に歴史的な意味を見出す事例は少ない。さらに遺跡破壊と産業廃棄物不法投棄が同時に行われた事例についての検討という意味では、まさにモデルケースとなろう。
  • 香坂 絵里, 古市 徹, 石井 一英, 谷川 昇
    セッションID: P1-D5-11
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
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    本研究では、牛ふん尿に起因する河川と地下水汚染を推測するための流域内窒素収支モデルを構築する。そのために、対象領域内の土地利用(牧草地と牧場敷地)に応じた実際の窒素負荷量を推定するために現地調査及びヒアリング調査を行った。これら調査結果に基づき、対象流域をメッシュに分け、各メッシュ毎の水と窒素収支バランスを考慮し、3ヶ月平均と河川と地下水の全窒素濃度を推測した。以上の結果、(1)堆肥の野積みは、地下水窒素汚染に非常に大きな影響を及ぼすこと、(2)ふん尿の草地への大量還元(例えば25t/10a)により、地下水中全窒素濃度が上昇すること、その傾向は、特に春先の雪解け時顕著に見られることが明らかとなった。本モデルは、地下水中窒素濃度低減のための流域内の適正な家畜ふん尿の管理方策を検討するためのツールとなりうることを示した。
  • 新田 省吾, 古市 徹, 石井 一英, 谷川 昇
    セッションID: D5-12
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
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    北海道は酪農の盛んな地域であり、北海道内で排出される産業廃棄物の約半分は家畜ふん尿で占められている。酪農場で発生する牛ふん尿による河川地下水汚染を軽減するため、平成16年11月より堆肥舎を設置することが義務付けられたが、実際には堆肥舎から発生する液汁の管理の不徹底、野積み堆肥の継続、採草地に対する大量の堆肥の散布がおこなわれており、牛ふん尿由来の地下水窒素汚染が懸念されている。地下水汚染軽減策を講じるためには野積み堆肥、液汁、堆肥(牛尿も含む)の採草地への施用といった各汚染源の地下水汚染への寄与を明らかにする必要がある。そこで本研究ではまず過去の試験データ等に基づいて汚染源別に降雨によって生ずる地下水への窒素負荷量の推定を行った。そして推定した窒素負荷量の時系列データを用いて、実際の酪農場の規模を想定した3次元の地下水シミュレーションを行い、各汚染源の地下水汚染に対する寄与を明らかにした。
  • 立田 真文, 松川 真実
    セッションID: D5-13
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
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    土壌汚染の原因となる有害物質は、原材料の漏出や廃棄物の埋立等により土壌に直接混入する場合のほか、事業活動等による水質汚濁や大気汚染を通じ二次的に土壌中に負荷される場合もある。現在、重金属による土壌汚染の中で最も問題となっているのは、鉛による汚染である3⁾。富山県でも主にバッテリー工場の跡地やクレー射撃場などで鉛による汚染が確認されている。汚染土壌の修復には、土壌粒子の分級操作が土壌修復の効率化の大きな鍵を握る。そこで本研究では、分級後の汚染物質の分布に関する考察を、数種のサンプルを用いて行った。
  • 井出 環菜, 永田 創平, 石垣 智基
    セッションID: P2-D5-14
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
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    我が国では昭和40年代より、体内や環境への毒性・残留性が明らかになった農薬は国の指導により地中埋設により処理されてきた。しかしストックホルム条約により残留性有機汚染物質の管理が厳しくなったことから、埋設農薬の再処理の必要性が生じてきている。多量に埋設された農薬であるリンデン(主成分γ-HCH)については土壌への漏洩が多数確認されており、その処理について検討する必要がある。本研究では、漏洩し拡散した低濃度γ-HCH汚染土壌に対する効率的な処理方法について検討した。現在、高濃度の汚染に対しては早急に対処する必要があることから、焼却、薬品添加などの物理・化学処理がとられている。一方で、拡散し、低濃度となったγ-HCH汚染土壌に対しては化学的処理に比べコストを削減できる生物処理の適用も検討されているが、土壌中のγ-HCHは難分解性であり、その分解には長い時間を要する。そのためγ-HCHを化学的な脱塩素反応により生物処理に適した化合物まで変換した上で生物処理に繋げた方が効率的になる。以上のことからγ-HCH汚染土壌の浄化プロセスとして化学的アルカリ脱塩素処理及び、生物学的分解処理に関する検討を行った。
E1 アスベストの無害化処理
  • 稲葉 力, 百代  淳一, 高浪 哲郎, 前 尚樹, 三浦 勇雄, 半田 雅俊, 石渡 寛之
    セッションID: E1-1
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
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    過熱水蒸気を用いて、アスベストを含有する建材を非石綿化し、その建材がセメントの原料として使用可能である ことを確認した。さらに、ビジネスとして実施するために、実大規模装置の検討、採算の検討などを行った。 1)900℃の過熱水蒸気の雰囲気の下で、アスベストを含有する建材を900℃の状態で1時間保持して、非石綿化す ることができた。まず、小型実験装置で6種類の建材に関して、実験した結果、すべて非石綿化できた。次に、大 型実験装置を用いて200kgのスレート波板の非石綿化実験を実施した。建材中心の温度が900℃に到達した直後に、 建材が非石綿化できたことが確認できた。 2)小型実験で非石綿化できた建材6種類を粒径0.01mm以下に粉砕して、蛍光X線回折にかけて分析した。その結果、 石灰石などを加えて成分調整することで、セメントの原材料として使用可能であることを確認した。
  • 長田 守弘, 真名子 一隆, 高宮 健
    セッションID: E1-2
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
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    シャフト炉式ガス化溶融炉の実機施設(100t/日規模)において、ASR等をベースとしてスレート材及び成型保温材の単独または混合処理試験を実施した。スレート材のみ8.1%、成型保温材のみ5.2~10.9%、スレート材+成型保温材14.2%の混合処理条件いずれにおいても、溶融物温度は1500℃以上を維持し、排ガス中及び固体排出物中のアスベストは検出されず、投入されたアスベストは溶融炉内で十分に分解されていることを確認した。排ガスに関しては、バグフィルタ出口にてアスベスト濃度は十分低く、HEPAフィルタは必要ないことを確認した。また、敷地境界や発じん箇所においてもアスベストは確認されず、周辺環境にも影響がないことを確認した。
  • 真瀬 裕伴, 後藤 廣, 村上 太一, 葛西 栄輝
    セッションID: E1-3
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
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    アスベスト廃棄物は、複合化されているモルタルなどの物質との混合比によって溶融温度や流動性等の高温性状が異なる。その溶融処理においては、低温で溶融し、高い流動性を持つ融液を形成させるための技術開発が不可欠である。しかし、これに必要な関連データは従来極めて限られたものに留まっている。本研究では、アスベスト廃棄物の高温溶融性状を迅速かつ的確に把握するための簡易的溶融試験法を検討し、試薬調整試料を含む種々の試料を用いて実験を行った。また、生成スラグの流動性の自由度を拡大する目的で、廃棄物焼却灰との混合溶融処理を提案し、適切なフラックス材及びこれらの混合比と溶融性状について詳細な検討を行った。
  • 葛西 栄輝, 後藤 廣, 真瀬 裕伴, 村上 太一
    セッションID: E1-4
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
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    アスベスト廃棄物には平均化学組成の大きなばらつきや局所的な成分偏在が存在し、低温で安定した溶融・無害化処理を困難にしている。また、効率的な溶融処理のために使用するフラックス材の添加量も溶融炉寿命延長や燃料コスト低下に重要なパラメータであり、処理物に応じた機動的な制御が必要である。本研究では、フラックスの使用量を極力少なくし、アスベスト廃棄物の化学組成のばらつきや平均組成の変動を緩和する方法の一つとして、廃棄物焼却灰の混合溶融処理プロセスを選択した。生成融液の流動性に影響を与える主要成分についての基礎検討結果に基づき、産業廃棄物焼却灰の実機溶融炉によるアスベスト廃棄物と廃棄物焼却灰の混合溶融処理試験を行った。本報告では実証試験の結果概略および簡易溶融性状試験結果に基づくフラックス添加量の調整により溶融スラグの流動性制御を試みた結果を報告する。
  • 山本 貴士, 貴田 晶子, 野馬 幸生, 寺園 淳, 酒井 伸一
    セッションID: E1-5
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
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    アスベスト含有廃棄物無害化処理物の透過型電子顕微鏡(TEM)による評価法の確立を目的として、アモサイト及びトレモライト標準試料の熱処理物の評価を試みた。アモサイト熱処理物のTEM分析では、1000℃以上で繊維の結晶構造や化学組成に変化が起きることを確認した。アモサイト繊維数濃度は1000℃以上で減少し、1400℃で定量下限値未満となった。トレモライト熱処理物のTEM分析では、1200℃以上でトレモライト繊維数濃度が大きく減少した。アモサイトやトレモライト熱処理物の繊維数濃度は、クリソタイルとクロシドライトの熱処理物と比較して、より高温まで低下しなかった。
  • 山口 裕哉, 本田 由治, 酒井 伸一
    セッションID: E1-6
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
    会議録・要旨集 フリー
    建材や保温材等のバルク素材や廃棄物に含まれるアスベストの管理が喫緊に解決すべき課題となっている。そこで、偏光顕微鏡を用いたバルク材の分析方法について、USEPA法を参考に、定性・定量方法を用意した。実際の建材中のアスベスト繊維について、複数の光学的特性を分析することで、偏光顕微鏡での定性分析・定量分析の有用性を確認した。
E2 PCB・有害廃棄物の処理
  • 潮木 知良
    セッションID: E2-1
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
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    有機溶媒を使用しない洗浄方法として界面活性剤を使用する水系洗浄がある。水系洗浄は、洗浄剤の取扱いが簡便で臭気や有害性が低い安全な洗浄方法であるが、洗浄後の廃液は油水分離等の後処理が難しく、特に排出基準の厳しいPCBを含む場合には、膨大な廃液を保管しなくてはならない場合もある。そこで、界面活性剤の特性を利用した油水分離に紫外線処理を組み合わせた処理方法を検討した。油水分離は非イオン系界面活性剤の一種であるポリオキシエチレンアルキルエーテル類の特性である曇点を利用した分離方法が効果的であった。紫外線処理では、界面活性剤の濃度を限界ミセル濃度(cmc)より低い濃度に調整することで処理効率が向上した。
  • 大下 和徹, 高岡 昌輝, 北出 真一郎, 武田 信生, 神田 英輝, 牧野 尚夫, 松本 忠生, 森澤 眞輔
    セッションID: E2-2
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、液化DMEを用いたPCBs汚染底質処理について、PCBs抽出特性、液化DMEの再利用性、抽出後PCBsの分解特性を実験的に検討した。 その結果、液化DME線速度が低く、液固比が大きいほど、PCBsを抽出することができ、液固比60mL/g、線速度0.132mm/secの場合、元の底質に対しPCBsは98.8%除去された。また、液化DMEを再利用すると、1回あたりの回収で約10%の損失があり、今後損失分を減少させる検討を行い、必然的な損失分は適宜補填する必要がある。しかし、PCBsの抽出率に関しては、未使用DMEを用いる場合と同等の抽出率を得ることができることが示唆された。最後に、液化DMEにより抽出されたPCBsをFenton反応により、元の底質中PCBsの約83%を分解することができ、直接底質中PCBsにFenton反応を適用するよりも高い分解率が得られることが確認できた。
  • 山本 常平, 奥村 諭, 佐々木 加津也, 小河 謙二, 家山 一夫, 高瀬 哲, 野水 景三, 小野 善孝, 今堀 秀隆
    セッションID: E2-3
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
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    2002年7月にPCBを使用していない重電機器が低濃度PCBで汚染されていることが確認され、これらについてPCB特措法に基づいた処理が必要とされている。本開発では、誘導加熱を応用してPCBで汚染されている柱上変圧器のコア部分を直接発熱させることにより、効率的にPCBをコア部分から分離して無害化する装置の試作および性能確認を実施した。その結果、本装置により変圧器を処理温度(500 ℃)まで昇温するのに要する時間は2.4時間となり、従来法と比較して加熱時間を大幅に短縮できる可能性があることを確認した。また、加熱後変圧器各部位の残留PCB濃度を測定した結果、すべての部位において定量下限値未満となり、本装置により低濃度PCB汚染変圧器の無害化が可能であることを確認した。
  • 枡鏡 兼児, 高橋 知史, 本田 克久
    セッションID: P1-E2-4
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
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    "我々は活性炭と酸化カルシウム(以下CaO)を用いて絶縁油に混入した微量PCBの除去技術を検討した。 活性炭はPCBそのものの吸着とCaO処理における分解阻害物質の除去といった前処理を目的としている。 CaOは以前報告したようにPCBの分解を目的としている。 本研究ではこれらの薬剤を単独で、あるいは組み合わせて実験を行い、PCBの除去性能を評価した。 活性炭単独でPCBをは60%程度吸着して平衡状態となった。またCaO単独では24時間でPCBは約20%程度しか分解しなかった。 そこでこれら二つの薬剤を組み合わせて実験を行った。前処理として活性炭処理を行った後、その上澄み溶液に対してCaO処理を行った。 その結果、PCBの除去率は96%に向上し、各薬剤の単体結果を上回る値となった。"
  • 高橋 知史, 澤田石 一之, 本田 克久
    セッションID: P2-E2-5
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
    会議録・要旨集 フリー
    絶縁油中の微量PCB測定のための迅速前処理法を開発した。本法は、機器分析およびバイオアッセイのいずれの測定方法にも適用可能な迅速前処理法である。本法は、絶縁油成分を精製カラムで加熱硫酸処理した後、精製カラムに濃縮カラムを連結し、少量のヘキサンにてPCBを濃縮カラムへ移行させた後、極少量の抽出用溶剤でPCBを抽出するものである。本法によると、これまで告示法で煩雑であった液液抽出操作やエバポレーター及び窒素気流による濃縮操作を一切排除できるため、分析時間は約2時間に大幅に短縮される。また、複数検体の同時分析も容易であるといった特徴を有する。本研究では、20種類の微量PCB汚染絶縁油に対して本法で前処理を行い、複数の分析機器およびバイオアッセイで測定した結果、いずれの測定方法においても真値との高い相関と良好な再現性(n=3)が得られた。
  • 花房 秀和, 沼田 靖, 田中 裕之
    セッションID: P1-E2-6
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
    会議録・要旨集 フリー
    農薬は繰り返し散布されることにより長期間土壌に残留している。その一部は雨や風により河川などに流入して環境汚染の原因となっている。このような汚染土壌の処理法として、汚染土壌の入れ替えや減圧加熱分解処理などがある。しかし、汚染土壌の根本的な解決に至っていないことや高コストなどの問題が懸念されている。そこで本研究では残留農薬としてアラクロールに注目した。この物質は、人体に対して肝臓等の機能障害や発がん性等の毒性が挙げられる。また、動物実験においては精子形成能に影響を与えることが報告されており、内分泌撹乱作用の疑いがある物質のひとつである。本研究ではクリーンな処理法である加圧熱水を用いてアラクロールの分解処理を行うとともに、分解生成物について検討した。その結果、アラクロールを効率的に分解処理することができた。また、分解生成物は反応条件により選択的に生成することを確認した。
  • 原田 浩希, 上田 浩三, 浜野 修史, 山本 常平, 山崎 裕義, 梅村 省三
    セッションID: E2-7
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
    会議録・要旨集 フリー
    有機ヒ素汚染土壌および同汚染コンクリート様の塊をキルン・ストーカ型の焼却炉により混焼無害化処理するための試験を実施した。産廃試料に対する有機ヒ素汚染物の混合比率を5%以下で運転することによって、炉内温度やCO濃度など、適正な値での運転維持が確認された。またロータリーキルン式の焼却炉を用いた混焼処理により、発熱量の低い土壌やコンクリートが高温で効率良加熱でき、有機ヒ素化合物の無害化が確認された。さらに排ガスに移行したヒ素はバグフィルタにより確実に捕捉できることがわかった。
  • 高菅 卓三, 嶽盛 公昭, 山本 央, 東野 和雄, 佐々木 裕子
    セッションID: E2-8
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
    会議録・要旨集 フリー
    ダイオキシン土壌汚染のうち幾つかは、ダイオキシン類の中で塩素化ジベンゾフラン(PCDF)が大部分で特徴的な異性体の濃度が高くなる”Chlorine Pattern(塩素反応パターン)”が共通の特徴として見られ、過去の工業プロセス等による塩素使用が主要な原因の一つと考えられている。本報告では、ガスクロマトグラフ-飛行時間型質量分析計(GC-TOFMS)を用いてダイオキシン汚染土壌に含まれる未知有機ハロゲン化合物の検索結果の評価と、土壌の汚染原因究明の一つとして、過去に行われていた黒鉛電極を用いた食塩電解時におけるダイオキシン類の生成との関連性について検討を行った結果について報告する。
E3 有害物質/有害性試験
  • 下田 公陽, 細見 正明
    セッションID: E3-1
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では高濃度ダイオキシン類(DXNs)汚染底質の浄化技術として間接加熱処理法に着目した。これまで筆者ら行ったラボスケールのDXNs汚染土壌・底質のスクリーニング試験から、PCBs含有量の高いDXNs汚染土壌・底質の間接加熱処理(処理温度:450~600℃)において、PCDFsの副生成が起き易いという事が明らかとなった。そこで本研究では、DXNs汚染土壌・底質のスクリーニング試験においてPCDFsの副生成が確認された田子の浦港底質を用いて、13C12-PCBs(#77,#155)の添加実験を行った。その結果、間接加熱処理により13C12-PCBsから、脱塩素化、脱塩化水素、及び脱水素化により13C12-PCDFsが生成する事を確認した。これよりPCBs含有量の高いダイオキシン類汚染土壌・底質を450℃で処理する際には、PCDFsの副生成に留意する必要があると考えられる。
  • 藤永 泰佳, 藤森 崇, 服部 成真, 高岡 昌輝, 森澤 眞輔, 大下 和徹
    セッションID: E3-2
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
    会議録・要旨集 フリー
    都市ごみ焼却プロセスにおいて発生するダイオキシン類は排ガス中から飛灰中に移行している。ダイオキシン類を含む飛灰を処理する前にダイオキシン類の生成自体を抑制し、ダイオキシン類生成総量を削減することが望ましい。本研究は、化学的抑制法に着目し、飛灰にアルカリ剤を添加することで飛灰上でのダイオキシン類の再合成を抑制し、その抑制メカニズムを明らかにすることを目的とした。流通式加熱実験によって飛灰に対するアルカリ剤添加時のCBzs、PCBs生成量を比較し、さらに化学状態を非破壊で知ることのできるX線吸収微細構造分析を用いてアルカリ剤添加がダイオキシン類生成を促進するとして知られている銅化合物にどのように影響するかについて検討した。加熱実験結果からアルカリ剤のCBzs、PCBs生成抑制効果を確認され、またNaOH、Ca(OH)2については銅の化学形態に影響することが抑制機構の一つとして考えられた。
  • 水原 詞治, 占部 武生
    セッションID: E3-3
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
    会議録・要旨集 フリー
    廃棄物溶融炉における炉内耐火物の激しい損傷に伴い、現在、耐食性に優れる耐火物として酸化クロム含有耐火物が使用されるが、使用条件によって6価クロム化合物を生成する可能性が懸念されている。 本研究では、酸化クロム含有耐火物を用いた回転侵食試験を実施し、生成した水冷スラグを使用し、環告13号、46号に準じた溶出試験を行い、様々な条件によるスラグからの6価クロム溶出への影響を調べた。 その結果、スラグ中Cr2O3含有量は耐火物中Cr2O3含有量の影響を強く受け、試料粒径が6価クロム溶出に大きく影響を与えることが分かった。
  • 坂本 広美, 肴倉 宏史, 大迫 政浩
    セッションID: E3-4
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
    会議録・要旨集 フリー
    プラスチック製品に含まれる金属類が示す溶出挙動を把握するための試験方法(溶出特性化試験)として,3種類の方法を設計した。最大溶出量を把握するための含有量試験,pHの変動に伴う溶出量変化を確認するためのpH依存性試験,そして長期的な溶出挙動を把握するための連続バッチ試験である。以上3つの試験により,環境への排出特性を評価することが可能と考えられた。
  • 貞国 亮司, 庄司 良, 山田 正人, 朝倉 宏, 阿部 誠
    セッションID: P2-E3-5
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
    会議録・要旨集 フリー
    現在、建設廃棄物はほとんどが中間処理されたのちに埋め立てられる。本研究では建設廃棄物を5mm篩にかけて得られたサンプルを試験に用いた。これを陸生植物に対して暴露し、TIE(Toxic Identification Evaluation approach;毒性同定評価方式)により、毒性原因物質の物性を調査した。アセトン溶出物は水溶出よりも毒性が強く、篩下残渣の毒性は有機物が支配的であった。さらにジクロロメタンとメタノールにより、毒性物質の詳細な物性が分かった。物性は植物によって極性、非極性に分けられた。
  • 肴倉 宏史, 西村 貴洋, 寺嶋 和也, 佐々木 公司, 鎗田 功, 大迫 政浩
    セッションID: P1-E3-6
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
    会議録・要旨集 フリー
    廃棄物や副産物の再生製品の循環利用に際しては、環境安全品質の確保が必須である。筆者らは、建設系再生製品の土壌・地下水への溶出リスクに焦点をあて、目的に応じた複数の環境安全性評価試験(特性化試験)を確立し、廃棄物学会規格として提案することを目指した取り組みを行っている。このうちpH依存性試験は、各バッチの試薬添加量を変えることによって個々に異なるpHの溶出液を作成することにより、pHの影響を明らかにするための試験である。既報では連続調整方式の適用性について報告した。一方、試薬初期添加方式はpH自動調整装置を必要としないため実施が容易であり、欧州では主流となっている。そこで本報では、初期添加方式を対象に、試薬添加量を予測するための予備試験の有効性、および、欧州規格の回転振とうと、欧州規格には記載されていない反復振とうとの結果の相違性について検討を行った。
  • 宮脇 健太郎, 肴倉 宏史, 大迫 政浩
    セッションID: P2-E3-7
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/25
    会議録・要旨集 フリー
    本研究グループでは再生製品環境安全性評価について,各種特性化試験法の学会規格化等への取り組みを行ってきた。特に,環境最大溶出可能量試験について多数の分析機関による精度試験を実施している。再生製品の原料・製造方法はさまざまであり,これらの製品に関して環境安全性評価のため各種特性化試験を実施し,データを収集し,将来的にはデータベース化を進める必要がある。今回は,リサイクル製品認定制度で認定されている製品等について,公定法および現在学会規格として検討中の特性化試験を実施し,データの蓄積を行なった。 本報では,2種類の材料と製品について例として試験データを示した。特性化データシート(仮称)を作成し整理することで,原材料および再生製品が,土壌環境基準を満たしている場合について更なる環境安全性を検討することができるといえる。例えば使用条件などにより,金属等が溶出する可能性についての判断材料となりうる。
F International Poster Session
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