獣医疫学雑誌
Online ISSN : 1881-2562
Print ISSN : 1343-2583
ISSN-L : 1343-2583
9 巻, 1 号
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第18回 獣医疫学会学術集会
1) シンポジウム “根拠に基づく医療 (EBM; Evidence Based Medicine) とは ―獣医領域における現状と今後の展開―”
原著
  • 野中 卓, 山本 健久, 橋本 亮, 西口 明子, 山根 逸郎, 小林 創太, 筒井 俊之
    2005 年 9 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/09/01
    ジャーナル フリー
    日本で発生したBSEの発生要因として, 飼料工場において牛用配合飼料に混入した肉骨粉やBSE発生国から輸入した動物性油脂を原料とする代用乳などがその原因として疑われているが, 特定されるまでには至っていない。このため, BSEの発生とこれらの発生要因の関係を検討することを目的として, 1996年に北海道で生産された感染牛を対象として, 感染源としての可能性が指摘された飼料の流通状況とBSE感染牛の生産地域の関連性について, GISを用いた地理的分析を行った。その結果, これらの飼料は北海道内に広く流通しており, 生産場所との明確な関連性は見いだせなかった。しかしながら, 特定の時期に出荷された代用乳との地理的な関連性を示唆する結果も得られた。これらについてはさらに詳細に分析する必要があると思われる。GISを用いた地理分析は, 発生要因を探索的に分析することを可能とするため, 今後, BSEを含め多くの疾病の疫学分析に有用なツールになるものと考えられる。
  • 鈴木 邦昭, 要田 正治, 小河 孝, Thi Thanh Son DANG, Dirk Udo PFEIFFER
    2005 年 9 巻 1 号 p. 21-32
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/09/01
    ジャーナル フリー
    北部ベトナムの小農コミュニティで飼養されている乳牛に対する肝蛭防除計画の実施を想定し, その経済的便益を検討するために決定論的及び確率論的便益費用モデルが開発された。正味現在価値が黒字であり, かつ便益費用比率が1を上回る決定論的モデルのシミュレーション結果から、本防除計画の経済的有益性が明らかになり、各酪農家の年平均追加収益は約40米ドルと見込まれた。パラメータの不確実性を考慮する確率論的モデルでは、本防除計画採用後に約20%の酪農家が100米ドルを超える年平均追加収益を得る一方, 25%は損失を負う可能性が予測された。この差異は肝蛭感染以外の要因が, 調査地域における乳牛の衛生及び生産に影響するとの事実により, 一部説明付けられる。当該モデルのシミュレーション結果は, 泌乳期ごとの個体平均乳生産量, シミュレーション開始時における各酪農家の経産牛飼養頭数及び雌牛の出産に係る確率等の要因の順に影響されることが、感度分析により示された。同モデルは, 他の家畜衛生プログラムの実施にかかる経済的インパクトを検討するためにも有効である。
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