日本で発生したBSEの発生要因として, 飼料工場において牛用配合飼料に混入した肉骨粉やBSE発生国から輸入した動物性油脂を原料とする代用乳などがその原因として疑われているが, 特定されるまでには至っていない。このため, BSEの発生とこれらの発生要因の関係を検討することを目的として, 1996年に北海道で生産された感染牛を対象として, 感染源としての可能性が指摘された飼料の流通状況とBSE感染牛の生産地域の関連性について, GISを用いた地理的分析を行った。その結果, これらの飼料は北海道内に広く流通しており, 生産場所との明確な関連性は見いだせなかった。しかしながら, 特定の時期に出荷された代用乳との地理的な関連性を示唆する結果も得られた。これらについてはさらに詳細に分析する必要があると思われる。GISを用いた地理分析は, 発生要因を探索的に分析することを可能とするため, 今後, BSEを含め多くの疾病の疫学分析に有用なツールになるものと考えられる。
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