土木学会論文集B2(海岸工学)
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72 巻, 2 号
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論文
  • 山野 貴司, 中原 悠輔, 重松 孝昌, 藤原 隆一
    2016 年72 巻2 号 p. I_901-I_906
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     外洋に面した侵食性海岸対策は喫緊の国家的課題である.山野らはその対策のひとつとして,鉛直スリットを有する有脚式離岸堤を考案し,主に数値計算による検討を行ってきたが,その妥当性検証は十分でない.本研究では,鉛直スリット透過性構造物を対象として,3次元数値波動水槽CADMAS-SURF/3Dを用いた数値計算を実施するとともに,水理模型実験を行い,消波性能におけるCADMAS-SURF/3Dの適用性を検証した.また,堤体内部およびその周辺の流体運動を,実用的に十分な精度で再現可能であることを確認した.さらに,堤体脚部での上昇流と内部の鉛直循環流が,局所洗掘や巻き上げられる底質の移動過程に影響を及ぼす可能性を示すとともに,堤体周辺流速の卓越範囲が洗掘の発生範囲に関連付けられる可能性を示した.
  • 村上 啓介, 杉本 直弥, 遠藤 政宗, 真木 大介, 竹鼻 直人
    2016 年72 巻2 号 p. I_907-I_912
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     フレア型護岸の越波量や飛沫量は,円弧面に沿って波返した流体が風の作用によって陸側に輸送されることで増加する.本研究は,風速,入射波条件,護岸天端高さをパラメータに越波量と飛沫量を計測し,それらに対する風の影響を評価することを目的に実施した.フレア型護岸の越波量と飛沫量は風速とともに増加し,その増加量は波の打上げ量に比例することを示した.また,越波量比は風速に対して指数関数的に増大し,増加関数に含まれる係数は波形勾配と天端高さに関係することを確認した.風作用下におけるフレア型護岸の越波量は波高天端高比,波形勾配,風速に依存し,それらをパラメータに含む回帰式を提案するとともに計算値が実験結果と概ね良好に一致することを示した.また,飛沫量に関しても同様のパラメータを用いた回帰式を提案して相関があることを示した.
  • 金子 祐人, 三戸部 佑太, 乙志 和孝, 黒澤 辰昭, 田中 仁, 小森 大輔
    2016 年72 巻2 号 p. I_913-I_918
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     津波越流時に発生する海岸堤防裏法の洗掘孔は堤防破壊の主な要因とされている一方で,陸側における津波流速の低減効果があると報告されている.近年重要視されている多重防御の観点からも粘り強さと同時に,津波減勢効果についても考慮した最適な海岸堤防の設計が求められる.
     本研究では洗掘形状を再現した固定床で水理実験を行い,Particle Tracking Velocimetry (PTV)を用いて海岸堤防裏法尻周辺の流れ場を計測するとともに,洗掘孔の有無による堤防背後の津波流速の変化を観察することで,洗掘孔による津波流速の低減効果について検討した.洗掘孔内部の流れ場は数種類に分類され,越流量に対して洗掘孔の大きさが十分に発達し,洗掘孔内部で渦や流れの分岐が生じるケースでは60%程度の高い低減率を示した.
  • 松本 弘史, 重松 孝昌
    2016 年72 巻2 号 p. I_919-I_924
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     本研究では,静止流体中で単一円柱を振動させ,円柱周辺における流況を粒子画像流速計測法を用いて面的に計測し,計測データに基づいて,円柱周りに生成する乱れと平均流の関係を検討した.実験は,KC数を7.7,9,13.1,17.1と変化させ,各KC数においてRe数を4, 626,5, 783,6.939と変化させて行った.円柱周りには平均流が形成されるが,その速度が大きくなる領域は,円柱から放出された渦が分布する領域内に分布していることを,KC数毎に示した.さらに,そのような領域では,乱れが大きくなる傾向にあることを明らかにした.この結果から,円柱周りの平均流が,円柱周りに生成される渦流に起因して形成されていることが示唆された.
  • 石本 健治, 上村 昇大, 井﨑 丈, 種田 哲也, 長山 昭夫, 浅野 敏之
    2016 年72 巻2 号 p. I_925-I_930
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     防波堤など構造物周りの津波流動の精密な評価を行うためには, 3次元流れに対する評価手法の開発が必要である. 近年, 新たな数値解析手法が提案されているが,実務に適用するためには3次元水理実験結果との詳細な比較検討により, 実現象の再現性を証明する必要がある.数値解析の現象解明力は, 流れの複雑さ・変動の激しさによって異なるため, さまざまな流動状況に対して検討しなければならない. 本研究は,平面実験水槽に津波造波装置を設置し,台形断面と正方形断面を持つ防波堤模型に津波が衝突し越流する状況を調べるとともに, 実験と同じ構造物・波浪条件でCADMAS-SURF/3Dによる解析を実施した.両者の比較から,時間変動の異なる構造物周辺の3次元流動特性について明らかにするとともに, 数値解析手法の適用性を検討した.
  • 面矢 晴紀, 末満 駿一, 浅野 敏之
    2016 年72 巻2 号 p. I_931-I_936
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     近年, 防災と景観・自然保護を両立できる海岸林による津波対策が注目を集めている.海岸林を津波防災施設として活用する上で留意すべきことは,樹木群は生物体であるため時間(林齢)とともに樹高等の樹木形状や樹木密度が変化し,それに伴って津波防災機能が変化する点にある.津波の高さによっては樹木の幹だけが流体抵抗となる場合と, 枝や葉が密生する樹冠部まで流体抵抗を発揮する場合とがある.さらに現地海岸では, 後浜背後の砂丘部から海岸林が繁茂するため, 地形条件が津波の遡上に及ぼす効果も考慮しなければならない.本研究は, より現実に近い形で海岸林の津波減衰効果を検討することを目的に, 海岸林の時間的生長を定量的にモデル化するとともに, 海浜地形条件を系統的に変化させた数値計算を実施したものである.
  • 荒木 進歩, 古瀬 智博, 岩崎 舜, 國松 航, 青木 伸一
    2016 年72 巻2 号 p. I_937-I_942
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     石油コンビナート施設等に設置されているエネルギー貯蔵タンクが津波により被災すると,大規模な火災につながるおそれがある.本研究では,水理実験により円筒タンクおよび球形タンクに作用する津波波力を測定し,その特性の把握を目指している.実験水路内に発生させた津波を模した段波の性質上,1山目と2山目に分けて作用波力の特性を検討している.円筒タンクに作用する水平方向波力については,既往の算定式との比較も行っている.球形タンクに作用する津波波力については,データのばらつきが大きいこともあり,まだ特性の把握には至っていない.
  • 小笠原 敏記, 三橋 寛, 室井 宏太, 水野 辰哉
    2016 年72 巻2 号 p. I_943-I_948
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     東日本大震災では,隣接する建物でも被災規模が異なることが確認されているため,建物群における各建物の津波耐力評価が必要と考えられる.街区を想定した建物群を3Dプリンターで再現した模型実験を基に,津波氾濫流の波圧を明らかにする.さらに,各建物の必要津波耐力について,建物面積および建物形状を指標とした評価方法を検討する.その結果,海側の前方に建物が存在するような後方の建物において,波圧は著しく減少するだけでなく,入射波の増大に関わらず小さくなることがわかった.さらに,建物の津波耐力評価として,建物面積率および建物円形度の指標を提案し,建物倒壊の危険性を判断する指標になり得ることを示唆した.
  • 坂本 佳子, 坂本 義則, 菅付 紘一, 原田 隆典, 野中 哲也
    2016 年72 巻2 号 p. I_949-I_954
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     津波発生時においては,重要かつ危険な内容物を保管する貯蔵タンクを損傷させず,タンク自身が所定領域外へ流出することを防ぐ対策が必要である.本研究では,大きな浮力を作用させず,あらゆる方向の津波に対応が可能な1本のケーブルによる係留装置の,貯蔵タンクの津波漂流対策法を提示し,検討を行う.流体-構造の相互連成解析によりタンクの漂流挙動を解析的に予測し,流体解析および構造解析により,提示する漂流対策法の妥当性を確認している.また水路実験によりタンクの漂流挙動を確認している.
  • 木岡 信治, 遠藤 強, 竹内 貴弘, 渡部 靖憲
    2016 年72 巻2 号 p. I_955-I_960
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     海氷等の離散体の漂流や陸上遡上の推定方法として,3次元計算より計算負荷が少なく,離散体特有のアーチアクションやjam,pile upなどが考慮できる準3次元的なDEMを構築するとともに,簡単な模型実験から,その妥当性が示された.また,本計算法を用いて,津波来襲時の海氷群の陸上遡上シミュレーションを試みた.海氷の遡上範囲に加え,pile upやjam等の発生リスクがある箇所が表示可能であること,構造物の被害状態に対応する被害危険度ランクの推定等が可能であることを概念的に示し,ハザードマップ作成にも本手法が活用できる事を示した.さらに,一般の津波漂流物等の離散体挙動や風や流れを駆動力とする海氷の陸上侵入等,一般の諸現象にも本計算法が準用できると期待された.
  • 佐藤 祐子, 米山 望, 奥村 与志弘, 清野 純史
    2016 年72 巻2 号 p. I_961-I_966
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     2011年東北地方太平洋沖地震津波は,宮城県女川町において杭基礎鉄筋コンクリート造建物の転倒・流出という,過去に例のない被害をもたらした.建物周辺の津波挙動は鉛直流や乱流の発生等により複雑化することが予想されるが,堅牢建物が多く存在する場所で,建物周辺の津波挙動が建物転倒被害に与える影響は十分に検討されていない.本研究では,被災建物のうちの1棟に注目して,本被災メカニズム検討における三次元津波氾濫解析の効果を明らかにした上で,解析結果に基づいた被災メカニズムの推定を試みる.この結果,二次元解析では三次元解析と比較して,最大津波水平力が12.2%大きく評価されたが,その作用位置は3.2m低くなり,浮力も小さく評価されたため,転倒モーメントが8700kN・m(40.9%)小さく評価されることが明らかとなった.
  • 大村 智宏, 八木 宏, 中山 哲嚴, 内田 智, 朝倉 邦友, 門 安曇, 滑川 順, 加藤 広之
    2016 年72 巻2 号 p. I_967-I_972
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     東日本大震災では漁港の防波堤直立部の滑動・転倒や基礎マウンドの洗掘が多数確認された.津波に対する防波堤の性能照査手法の構築が急務と言える.本研究では防波堤を対象に水理模型実験を実施して,津波越流時に直立部に作用する波圧特性や,天端上からの落水による洗掘対策としてマウンド被覆ブロックの安定性について検討した.その結果,津波越流時の混成式防波堤直立部の作用波圧は,静水圧分布に対して前面側で1.1倍,背面側で0.9倍で評価でき,直入射時のみならず,引き波時や消波工付き防波堤でも概ね適用可能であることがわかった.またパラペット形状の工夫により落水位置を変化させることで,被覆ブロックの安定性向上に資することが示唆された.
  • 木原 直人, 甲斐田 秀樹
    2016 年72 巻2 号 p. I_973-I_978
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     段波波圧の特徴を明らかにし,その特徴を基にした推定手法の一提案を目的に,ドライベッド上の直立壁に段波を衝突させ,そこに作用する波圧を調べる水理実験を実施した.段波波圧が有意に作用する高さが入射流れの水深より高く,直立壁前面で局所的に上昇している水面高さより低いことから,直立壁から発生する反射波内部における主流方向流れの運動量変換によって段波波圧の動圧成分が生成されたと考えた.この概念に基づき,Madsen・Svendsen (1983)の射流の入射流れ上を伝播する乱流ボアの理論を適用することにより,段波波圧の再現を試みた.提案した推定手法には課題が残るものの,推定された段波波圧と水理実験データとの比較から,提案手法が段波波圧の再現性を概ね有することが示された.
  • 本田 隆英, 小俣 哲平, 織田 幸伸, 伊藤 一教
    2016 年72 巻2 号 p. I_979-I_984
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     津波に強い建築構造形式に,ピロティ構造が挙げられる.ピロティ構造の2階以上の壁面に作用する津波外力は設計指針に示されているが,エレベーターホールなどの1階部分小規模構造や1階天井などの各部材に作用する津波外力には明確な算定指針はなく,既存の指針を準用して算出すると大幅に過小評価となる実験報告もある.そこで,これらの各部材に働く波力特性を明らかにすることを目的とし,模型縮尺1/50の水理模型実験を実施した.実験の結果,ピロティ構造の各部材に作用する津波波力は,津波波形の影響を大きく受けることが示された.水位上昇の緩やかな津波により1階小規模構造や天井に作用する波力は,構造物前面の最大浸水深に相当する静水圧によりおおよそ推定可能であるなどが示された.
  • 小俣 哲平, 本田 隆英, 織田 幸伸, 伊藤 一教
    2016 年72 巻2 号 p. I_985-I_990
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     ピロティ構造物の各部材(1Fの柱状構造物や天井)に作用する津波波力特性には未だ不明な部分が多く,実務設計において課題がある.これらの特性を水理実験により検討する場合,実験では津波波形や柱状構造物の配置・寸法などの条件が限定される.そこで,任意の柱配置や構造寸法に対する津波波力の評価を目的に,数値解析の適用性について検討した.ピロティ構造物を対象とした津波水理実験を,流体解析ソフトOpenFOAMにより再現解析し,適用性を確認した.また,数値解析によるパラメタスタディとして,エレベーターを想定した1階部分の小構造物の大きさや設置位置による圧力特性の変化を検討した.その結果,幅や高さの違いは,波力特性に大きく影響し,幅が大きくなるほど,高さが小さくなるほど波力が増加するなどの傾向を明らかとした.
  • 竺原 宗吾, 鈴木 高二朗, 立脇 和則, 細川 善広
    2016 年72 巻2 号 p. I_991-I_996
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     これまで断面2次元的にしか検討されてこなかった津波の越流に対する腹付工の安定性に関して,津波が防波堤に対して斜めに入射する場合や防波堤延長方向に不連続部がある場合のような3次元的な問題を検討した.大型平面水理実験場にS港防波堤の1/25縮尺の模型を設置し,還流装置によって津波を模擬する流れを作用させた.また,数値シミュレーションにより,その再現計算を行った.その結果,津波が斜め方向から入射して防波堤を越流すると,速い越流流速の影響で津波の方向が防波堤法線方向の直角方向に変化した.また,堤体幅の不連続部(急変部)では,越流が集中して腹付工上部の流速が堤幹部の1.5~2倍ほどとなり,腹付被覆工が法肩から飛散し始め,その後,越流方向に飛散が広がった.堤体幅の不連続部ではこのような越流の集中を考慮して,被覆工質量を大きくする必要があることが明らかとなった.
  • 佐藤 崇, 幸左 賢二, 山内 邦博
    2016 年72 巻2 号 p. I_997-I_1002
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     東北地方太平洋沖地震津波で観測された水位波形は8min以上の周期の津波であり,既往の段波実験や孤立波実験に比べ長周期の津波であった.そこで長周期の津波を対象とした水理実験を実施し作用力特性を分析した.その結果,橋桁に作用する水平作用力は10.3N,流速を用いた抗力型の式で評価した場合の水平作用力は8.3Nとなり2割ほど作用力を小さく評価する可能性があることがわかった.これは,桁の下流側では上流側に比べ水位が高いことによる水頭差を評価していないことが要因として考えられる.また,既往の孤立波実験結果および本実験結果から,津波周期が橋桁作用力特性に及ぼす影響を分析した結果,水平作用力は津波周期が1min以内においては衝撃的な段波波力となり,1min以上においては持続波力となることが明らかとなった.
  • 大野 又稔, 渡辺 健, 本田 隆英
    2016 年72 巻2 号 p. I_1003-I_1008
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     津波による橋りょう流出の評価において,橋りょうに流体が作用した際の応答値や流出限界値の算定法について統一した見解は示されていない.津波による橋りょう流出メカニズムを考えると,作用力として,橋桁に作用する水平力だけでなく,鉛直力も考慮する必要がある.本研究では,鉄道プレストレストコンクリート桁を対象とし,津波により徐々に水位と流速が増加し準定常状態となる領域として,一様流による鉛直上向き方向の作用力を算定することを目的とした.縮小桁模型を用いた一様流水理実験および数値解析を実施し,桁に作用する鉛直流体力および桁周囲の流速分布を把握した.水理実験および数値解析の結果から,縮小桁模型の没水状況および桁周囲の水位・流速に着目した,一様流作用下における鉛直流体力を算定する手法を提案した.
  • Chathura MANAWASEKARA, Yukinobu ODA, Takahide HONDA, Ken WATANABE
    2016 年72 巻2 号 p. I_1009-I_1014
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     Bridges are playing a vital role in the post-tsunami reconstruction process providing access to the damaged areas. Therefore, as it is costly to reconstruct the bridge itself, a damaged bridge is also a huge setback for the mobility of resources. In the current study, tsunami flow over three types of bridge sections was numerically simulated to assess the behaviour of tsunami-induced loading, and results are compared with the existing physical experiment results. Failure of bridge girder by the lateral movement was well reproduced in the three-dimensional numerical simulation. The temporal variation of the reaction forces at the girder bearings was also agreed well with the physical experiment results and discussed in the paper.
  • 幸左 賢二, 佐藤 崇, 邢 春艶
    2016 年72 巻2 号 p. I_1015-I_1020
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     本研究では同一の津波に対して,鉛直方向の桁位置を変化させたパラメータ実験を行い,橋桁模型周面に発生する圧力を詳細に計測し,その計測結果をもとに津波波高に対する桁位置が津波作用力に及ぼす影響を分析した.その結果橋桁に作用する上向きの鉛直作用力Fzと,波高aに対する相対的な桁下位置zを表すz/aとの関係は,z/aが減少するにつれFzはほぼ線形的に増加することから,同じ波高の津波に対して桁位置が静水面に近くなることで鉛直作用力が大きくなることが明らかとなった.
  • 大村 智宏, 小林 学, 杉松 宏一, 中山 哲嚴
    2016 年72 巻2 号 p. I_1021-I_1026
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     桟橋は地震・津波に対する防災・減災対策として有効な構造形式と言えるが,津波作用時の波力特性は判明していない.本研究では直杭式桟橋を対象として定常流を与えた実験を行い,上部工や円柱杭に作用する波圧・波力特性について検討した.実験結果からは桟橋の上部工上面の波圧が静水圧と比べて有意に低下し,上部工の上下面の波圧差が揚力をもたらすことや,桟橋の水平力に対して揚力が卓越することが判明した.渡版の有無により上部工の揚力は異なるものの,共にフルード数の増加につれて揚力係数は減少傾向が認められた.また実務上は係数を一定値として見なせることを明らかにした.さらに上部工の上下面の波圧分布と揚力を定式化し,計測揚力との関係性より妥当性を示した.
  • 森谷 寛, 石田 暢生, 鳥山 拓也, 中村 英孝, 飯島 亨, 川内 英史
    2016 年72 巻2 号 p. I_1027-I_1032
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     原子力発電所の防潮堤の設計に際しては,防潮堤位置での最大通過波高から求まる設計用浸水深の3倍(以下,「水深係数3」という)に相当する静水圧から設計波圧が求められることが多い.本論では,防潮堤に作用する波圧を段波波圧及び持続波圧に分類し,その段波波圧の作用を受ける直立壁の構造的な応答に着目して水深係数3の適用性を確認した.その結果,段波が防潮堤の構造健全性に与える影響は,概して持続波による影響よりも小さいこと,段波による影響は津波の砕波と密接に関係しており複数の条件の重畳によっては持続波による影響よりも大きくなる場合があること,その場合でも国交省の暫定指針の考え方が適用できること,及び数値計算により段波波圧の影響を受ける堤体の構造応答挙動が評価可能であることを確認した.
  • 中城 拓也, 幸左 賢二, 佐藤 崇
    2016 年72 巻2 号 p. I_1033-I_1038
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     本研究では,久慈湾に襲来した津波の状況を把握することを目的に,波浪計の観測値および空撮画像を用いて,湾に襲来した津波の伝搬過程を明らかにした.この結果,沖25kmに位置する岩手北部沖GPS波浪計と沖6kmに位置する久慈港波浪計では,1/4波長はそれぞれ5600mと1800m,最大水位は4.0m,5.1mとなった.次いで,久慈湾へ進行した第1波目の津波は,海岸線から3200m位置で小規模な波峰線が複数確認でき,津波先端部で波状段波が生じており,その波状段波の1/4波長は150mと非常に短い波長である.その後,津波の進行とともに,海岸線から2400m位置では波状段波から砕波に変形しており,海岸線近傍の第1波目の最大水位は約5mであり,沖6km位置から水位の変化は見られなかった.
  • 三井 順, 久保田 真一, 松本 朗, 半沢 稔
    2016 年72 巻2 号 p. I_1039-I_1044
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     消波ブロックを用いた腹付工をケーソン背後に設置した際の,津波に対する滑動抵抗力の把握を目的として,気中での抵抗力測定実験,津波越流時のケーソンへの作用波圧の測定ならびにケーソン滑動実験を実施した.腹付工の被覆材部分の抵抗は従来設計においては考慮されないが,消波ブロックで被覆した断面ではブロックにより滑動抵抗力が大きく増加することが実験により確認された.また,津波越流時のケーソン作用波力は港内側の構造の影響を受けることがわかり,腹付工を設置することで背面の波圧は増大する傾向が見られた.消波ブロックで被覆した腹付工の滑動抵抗力の算定方法を提案し,様々な断面に対する実験結果からその妥当性を確認した.
  • 喜夛 司, 鈴木 高二朗, 鶴田 修己
    2016 年72 巻2 号 p. I_1045-I_1050
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     想定を超える津波や高潮が防波堤を越流する際に高波が同時に作用する現象,いわゆる越流と高波の重畳現象についての検討例は少なく,想定外の被害を招き得る危険性がある.そこで,本研究では低基混成堤における越流条件下での高波の重畳現象を対象に水理模型実験を実施し,越流・越波複合現象下での堤体に作用する波力および港内側被覆工の被災過程について検討を実施する.実験計測結果から,越流・越波複合現象下における堤体前後面の波力特性について,堤体周囲の越流・越波の浅水変形に着目した算定方法の検討を実施するとともに,堤体背後マウンドの被覆工に作用する越流水塊の落水範囲とその波力についても従来の越流を対象とする算定方法との比較からその特性を検討する.
  • 小尾 博俊
    2016 年72 巻2 号 p. I_1051-I_1056
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     東北地方太平洋沖地震では地震による被害に加え,その後の津波や漂流物の衝突により構造物の被害がより一層拡大した可能性が指摘されている.これまで地震や津波といった単一災害に対する研究は盛んに行われてきたが,地震・津波・漂流物といった一連の災害による構造物への影響について検討した例は極めて少ない.そこで本研究では,これら複合災害を受ける高架橋について数値解析を実施し,高架橋の損傷度について評価した.その結果,地震に引き続き津波漂流物の衝突を受ける複合災害は,地震を考慮しない場合と比べ,衝突力に大きな違いは見られないものの高架橋の変位には有意な差が生じること,などの知見が得られた.
  • 岡田 克寛, 鈴木 高二朗, 有川 太郎
    2016 年72 巻2 号 p. I_1057-I_1062
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     東北地方太平洋沖地震津波においては,地震と津波によって,多くの防護施設が被災した.その原因の多くは,津波越流時によるものと推定されている.一方で,地震の発生後には,数多くの余震が発生しており,津波来襲中にも余震が発生していたことが分かった.津波来襲時の構造物の安定性に余震が影響していた可能性がある.そこで,津波と地震の重畳が構造物の安定性に及ぼす影響を明らかにするため,地震と津波を同時に作用させる大型水理模型実験を実施した.その結果,地震津波重畳時に発生する動水圧は,地震単独で発生する動水圧と津波単独で発生する越流水圧の重ね合わせで概ね表現できることがわかった.
  • 上島 浩史, 下園 武範, 田島 芳満
    2016 年72 巻2 号 p. I_1063-I_1068
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     2011年3月の東日本大震災に伴った巨大津波による被害は,特に低平地が広がる河口域で顕著に確認された.河口域では河道を含む複雑な地形形状に沿って堤防が築かれるため,堤防線形は曲線である場合が多く, 作用する津波波圧はその線形の影響を受けると考えられる.しかし,従来の研究では堤防線形の影響を考慮した研究は少ない.本研究では平面水槽を用いて水理模型実験を実施し,堤防線形が衝撃波圧および重複波圧の分布に与える影響と,それらの波圧の評価法を検討した.その結果,最大衝撃波圧は来襲津波の段波波高と入射角から評価できること,また,最大重複波圧は入射角による低減の度合いが衝撃波圧と比較して小さいことが分かった.さらに曲線堤防の曲率を考慮することにより,最大衝撃波圧および最大重複波圧のより詳細な予測が可能となることが示唆された.
  • 神田 直美, 鈴木 高二朗, 鶴田 修己
    2016 年72 巻2 号 p. I_1069-I_1074
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     防潮堤を越える津波越流により発生する陸上遡上波は,高速流へと発達する可能性が高く,特に海域近くに設置される胸壁などに対しては,衝撃波力などの高い波力を及ぼす危険性がある.陸上遡上波の波力についてはこれまでも,算定式の開発が盛んに取り組まれてきているが,周囲構造物による干渉を考慮した波・流れの検討は未だ十分に進んでいるとは言えず,胸壁単体を対象とする作用波力の取り扱いが一般的である.すなわち,胸壁の設計においては,設計波は付加的な前面構造物などの消波工設置を前提にされていない状況が与えられており,胸壁の安定性向上のポテンシャルを残したままとしている.本研究では,胸壁前面に種々の消波構造物を設置し,ダムブレイクを対象とする水理実験を実施し,各構造物の波力低減特性について検討する.
  • 榊原 繁樹, 砂原 俊之, 田中 博通, 阿部 郁男, 久保 雅義, 津金 正典
    2016 年72 巻2 号 p. I_1075-I_1080
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     東北地方太平洋沖地震津波来襲に伴い係留事故を生じた大型船の被災事態調査につき,関係者へのヒアリング,津波及び船体動揺シミュレーションにより定量的な被災実態の究明を行ってきた.これらの検討から船体に作用する津波波力を推定することは難しく,その適切な評価方法を確立することが津波来襲時の船体挙動を推定するため,さらには津波対策立案で重要となることがわかってきた.そこで本研究では,係留船に作用する津波波力について,S港で津波高さ9m超の来襲により被災した9万トン級大型石炭船をモデルに,段波津波が作用する場合の実験的検討を行った.津波水平波力は水位変動及流速によく一致し,抗力項及び慣性力項に分離することでモリソン式で概ね推定できることがわかった.ただし当該抗力係数にはさらなる検討を要する.
  • 松田 信彦, 倉原 義之介, 江口 三希子, 津田 宗男, 栗原 明夫, 河邉 寛
    2016 年72 巻2 号 p. I_1081-I_1086
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     東日本大震災以降,我が国のエネルギー政策の見直しが行われ,海洋再生エネルギーの利用拡大が求められている.潮流発電は天候に左右されず,昼夜問わず発電量が安定していることや,潮の干満により年間を通して発電量を予測できる特徴がある.潮流発電装置の据付作業では波浪や潮流の作用により,船体や水中の吊荷が動揺して据付精度が低下するため,船体や吊荷の動揺特性を把握して施工することが重要である.本研究は,潮流発電装置据付時の動揺について模型実験で特性を明らかにした.また,動揺解析を用いて動揺特性を再現し,海象条件からではなく吊荷の動揺から作業可否判定をする方法を提案した.
  • 有川 太郎, 上田 小百合, 五十嵐 宏夢, 関 克己
    2016 年72 巻2 号 p. I_1087-I_1092
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     本研究では,落下高と洗掘深の関係について検討することを目的として,水理模型実験を行い,その結果を整理した.その結果,ある一定の高さまでは,落下高が高くなるにつれて最大洗掘深が大きくなったが,それ以上の高さにおいては,洗堀深が浅くなった.これは,渦の大きさによる違いが要因の一つであることがわかった.既往研究における提案式と,本実験の画像解析から測定した渦の直径を用いて,洗堀深を評価したところ,本実験の結果は,既往実験よりも小さい係数となった.実験の結果から,この越流洗堀深を推定するためには,砂表面の流速を精度よく予測することが重要であると推測される.
  • 後藤 仁志, 五十里 洋行, 殿最 浩司, 伊藤 忠男, 菅原 康之
    2016 年72 巻2 号 p. I_1093-I_1098
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     流起式防波堤においては,防波堤扉体の運動の制御を担うベルトの引張強度に十分に注意して設計しなければならない.万一,津波来襲時にベルトの限界強度を超えた引張力が作用してベルトが切断されると,扉体はその起立姿勢を維持できず津波防護機能が著しく損なわれ,最悪の場合,扉体が漂流物となって海岸構造物に衝突し得る.したがって,津波来襲時のベルト張力の予測は非常に重要な課題である.本研究では,粒子法を用いた流起式防波堤のシミュレーションモデルのベルト張力推定に関する適用性について,水理実験結果との比較を通じて検討を行った.二種類の高精度粒子法の勾配モデル(CMPS法およびGC法)を適用して計算結果を比較したところ,GC法を適用した場合に明確な優位性が確認された.
  • 東 良慶, 伊藤 忠男, 半田 英明, 植木 利洸, 平石 哲也, 関谷 千尋, 菅野 高弘
    2016 年72 巻2 号 p. I_1099-I_1104
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     津波による広域災害の初期対応および災害復旧活動を考える上で,港湾施設の活用は非常に重要である.そこで,港湾内への津波の流入を減勢し,港湾機能の被害を低減する対策として可動防波堤が提案されている.本研究は電気的動力、人的操作・判断を必要としない流起式可動防波堤の実大規模模型を用いた水理実験を実施し,その津波の低減効果および応答特性を評価した.
     その結果,流起式可動防波堤による津波の低減効果は波高および流速が大きいほど,効果的であることを確認した.一方,応答特性については,防波堤の比重を調整することにより,流起する津波の規模を設定することが可能であることを示した.また,これまでの模型実験結果がすべて整合性を有していることから,実大規模設計をこれらの実験結果に基づいて行うことが可能であることを示した.
  • 小椋 進, 鬼頭 孝明, 富田 健, 森川 高徳, 池尾 進
    2016 年72 巻2 号 p. I_1105-I_1110
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     本研究は,60度内外の急角度で入射する様々な条件の消波ブロック被覆堤について,平面水理模型実験により消波ブロックの安定特性を把握し,当該条件に対する今後の防波堤設計の基礎資料に資することを目的とした.その主要な結論は以下のとおりである.(1)消波工前面の波高比は,沿い波の発生状況に左右され,消波工が途中から始まり,その上手から沿い波が来襲するケースが最も高い波高比となる.(2)急角度で入射した波は消波工天端上を砕波しながら法線下手方向に伝搬して,消波工法肩部のブロックを下手側に転落させており,直角入射時とは異なる被災メカニズムである.(3)前項までにより,60度内外の急角度入射波に対する消波ブロックの割増係数Iは1.7~2.7と推測される.
  • 三井 順, 久保田 真一, 松本 朗, 半沢 稔
    2016 年72 巻2 号 p. I_1111-I_1116
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     パラペットを有するケーソン堤にも適用可能な,津波越流に対するマウンド被覆ブロックの所要質量算定法を提案した.本算定法は,越流水深から港内側マウンドへの打ち込み流速を算定し,その流速に対して所要質量を算定することが特徴であり,これによりパラペットの影響を直接的に取り込むことができ,数値解析を必要とせず容易に算定することが可能である.流速と所要質量の関係式としては,通常用いられるCERCのイスバッシュ式ではなくIsbashによる原論文の式を用いることで斜面勾配の影響を適切に取り込むとともに,津波越流に特有な現象として,越流水脈の打ち込み位置や水脈厚による安定性への影響を算定法に取り込んだ.幅広い条件で実施した水理実験結果との比較により,パラペットの有無によらず精度良く算定できることを確認した.
  • Abbas KHAYYER, Hosein FALAHATY, Hitoshi GOTOH, Takazumi KOGA
    2016 年72 巻2 号 p. I_1117-I_1122
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     An enhanced fully-Lagrangian coupled solver is developed for modeling of Fluid-Structure Interaction (FSI) phenoma. The fluid solver provides solutions to the continuity and Navier-Stokes equations on the basis of the projection-based Moving Particle Semi-implicit (MPS) method. The structure solver is founded on the description of a non-linear hyper-elastic structure in the frame of a Hamiltonian system based on Hamilton's principle of least action. The fluid and structure solvers are properly coupled through a consistent coupling algorithm. Performance of the proposed solver is examined, by reproducing a dam break with an elastic gate and a dam break with an elastic plate. The results obtained from Hamiltonian MPS FSI model are also compared with those by a MPS FSI model that incorporates a linear-elastic structural solver.
  • 河村 裕之, 太田 隆夫, 松見 吉晴, 平山 隆幸
    2016 年72 巻2 号 p. I_1123-I_1128
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     本研究は,消波ブロック被覆堤の消波工を対象として,水理模型実験で得られた断面変形データを用いて,消波工の変形(被災)と性能変化の関係の把握,被災の進行過程のモデル化を行い,さらに補修過程を考慮した被災進行予測と総費用の算定方法について検討したものである.モデル断面を用いた数値実験より,断面変形にともなって越波流量が1.5倍程度まで増加することが示された.また,被災進行過程に対してマルコフ連鎖モデルを適用し,補修過程を考慮して補修費用と損害額を合わせた総費用を求める方法を示した.この方法により,総費用を最小化する補修方針を決定することは可能であるが,実際的な補修費用や損害額の設定などについては,今後さらに検討する必要がある.
  • A. Silva, K. Subasinghe, C. Rajapaksha, K. Raveenthiran, S. H Kim ...
    2016 年72 巻2 号 p. I_1129-I_1134
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     Colombo Port Expansion Project was initiated with the recognition of increment in demand for container throughput in future. Construction works of the project are in progress. The toe of the main breakwater contains 8 - 12 T large boulders. Whilst the construction of main breakwater is in progress, contractor faced difficulties to find the 8 - 12T rock boulders from queries for toe. Hence, application of 20 T CORE-LOC instead of 8-12T was proposed by the contractor. Two dimensional (2D) physical model testing was carried out to assess the stability of toe in main breakwater with two or three CORE-LOC (20T) rows instead of 8 - 12T boulders. Model scale was determined considering flume dimensions, sea bed profile, available CORE-LOC miniatures and wave heights to be tested and dimensions of the breakwater section etc. Scaling down of the prototype to model was done according to the Froude's Similarity and model units (armour units, CORE-LOC) were scaled down based on Hudson's Stability Criterion. Several alternative design sections were subjected to the testing and higher emphasis was set to maintain the specified rock gradations. Study determined the adequate number of CORE-LOC rows to replace the existing 8 - 12T large boulders layers while considering overall stability of the breakwater.
  • 前野 詩朗, 吉田 圭介, 荒木 大輔, 田井 祐介, 飯干 富広, 赤穗 良輔
    2016 年72 巻2 号 p. I_1135-I_1140
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     東日本大震災以降,海岸堤防の設計には津波越流時に粘り強く堤防機能を発揮する構造が求められている.その対策として,法尻保護工を設置することが提案されているが,既往の研究では津波越流初期に法尻保護工に作用する衝撃的な力については十分に検討されていない.
     本研究では,津波越流初期における衝撃力が法尻保護工の被災特性に及ぼす影響を実験的に考察した.実験ではブロック形状と,津波高さを系統的に変化させ動画撮影及び流体力計測を行った.その結果として保護工の被災は,津波越流初期に作用する揚力が起因となることを明らかにした.またブロックの初期流出箇所は,津波の越流水深とブロックの形状によって概ね決定されることを示した.
  • 石河 雅典, 上月 康則, 山中 亮一, 大久保 陽介
    2016 年72 巻2 号 p. I_1141-I_1146
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     2011年3月11日の東日本大震災において,海岸堤防は大きく被災し,その原因は堤防の裏法尻の洗掘を始めとする裏法側での破壊であることが多く指摘されている.著者らは,津波に対する堤防の粘り強さを検討する上で,越流した際はできる限りスムーズに陸側へ流すことが有効であると考えた.そこで,数値波動水槽(CADMAS-SURF/3D)を用いた数値解析により,作用する津波高を変化させ,構造諸元の違いによる裏法面への津波作用外力の違いを明らかにし,堤防の「粘り強さ」の発生メカニズムと設計上の留意点について考察した.
     その結果,海岸堤防裏法尻部の洗掘抑制には,裏法面の緩勾配化の他,裏法肩及び法尻部に曲線形を用い法尻陸側に落堀を採用することが有効であることを確認した.
  • 吉澤 章太, 山本 吉道, Wirayut KUISORN
    2016 年72 巻2 号 p. I_1147-I_1152
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     人間による産業活動や開発行為が海岸侵食を深刻化させており,地球温暖化が海岸の安全性を悪化させつつある.それゆえ,海岸堤防や護岸の安全性に関する研究が大変重要に成りつつある.そして,極浅海域に在るそれらが砕波後の弱まった波によって壊れる素因が裏込め材の吸出しにあることから,五百蔵らは堤体からの裏込め材吸出し量を予測するための二種類の方法を提案した.
     本論文で,著者達は,裏込め材の中央粒径以外に,均等係数と乾燥密度の影響を考慮できる吸出し量算定式を提案する.また,CADMAS-SURF(多孔体内の流体運動を再現できる数値モデル)と吸出し量算定式による吸出し量計算法の精度向上のための改良結果を報告する.
  • 櫻澤 崇史, 田島 芳満
    2016 年72 巻2 号 p. I_1153-I_1158
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     漂流物を伴う氾濫流の挙動を把握することは,沿岸地域の防災の観点から重要である.本研究では平面水槽における水理実験によって多量の漂流物を伴う氾濫流の挙動を定量的に捉え,さらに数値モデルによる再現を通じてその特性を分析・把握することを目的とした.実験はゲート式造波装置を設置した平面水槽において実施し,漂流物群の存在が氾濫域の水位変動や流速に影響を与え,局所的に水位がさらに上昇する領域が生じることを確認した.さらに,漂流物群と氾濫流との相互作用を考慮することのできるモデルを実験条件に適用し,相互作用が氾濫場の水理特性に有意な影響を与え,予測精度を向上させることを確認するとともに,漂流物群による氾濫流のハザード増大への影響を分析した.
  • 甲斐田 秀樹, 木原 直人
    2016 年72 巻2 号 p. I_1159-I_1164
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     津波漂流物の衝突に対する構造物の損傷確率評価手法の合理化・高度化に資するべく,陸上に初期配置された漂流物を遡上津波によって漂流させる水理実験を行い,陸上遡上津波中における漂流物の挙動を調べた.また,陸上に直方体模型を設置して,遡上津波と直方体模型前面から生じる反射波の双方の影響を考慮すべき状況を再現し,こうした状況における漂流物の直方体模型への衝突確率・衝突速度の影響について検討した.実験における陸上遡上津波中の漂流物のばらつきの様子は,概ね正規分布により近似された.また,そのばらつきの程度をはじめとする漂流物の挙動において,漂流物の比重の影響が顕著に現れた.そして,直方体模型前面における反射波の発生に伴う漂流物の衝突確率および衝突速度の低下を定量的に示すとともに,反射波厚さと漂流物の衝突速度の間に負の相関があることを示した.
  • 中矢 哲郎, 桐 博英, 安瀬地 一作
    2016 年72 巻2 号 p. I_1165-I_1170
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     排水機場建屋前面に配置した吐水槽による津波減災対策の策定のために,吐水槽と機場建屋の間隔や波高が津波減勢効果に及ぼす影響を,圧力計による波圧の直接計測を主とした水理模型実験により検討した.吐水槽を越流しない波高の場合は,建屋に生じる波圧を6割程度減少することができ,吐水槽を越流する波高であっても波圧を4割以上削減できた.吐水槽と機場間隔が大きくなるほど津波減勢効果が小さくなり,基準位置から約6倍の距離になると効果はほとんど得られない.津波の最大波圧は衝突時にピークがあり,越流時には吐水槽と建屋間で渦を伴う鉛直下向きの流速が生じることで波圧が低減した.
  • 太田 隆夫, 松見 吉晴, 竹鼻 直人, 村上 啓介
    2016 年72 巻2 号 p. I_1171-I_1176
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     本研究は,フレアブロックを従来の人工リーフと組み合わせた構造物を対象とし,天端幅の短縮化の可能性を見出すことを目的に,数値実験により波浪低減効果を検討したものである.大きさの異なる2種類のフレアブロックを用いて数値計算を行い,台形断面の従来型人工リーフでの結果と比較した.ブロック付の場合は,ブロック先端付近の砕波によって従来型よりも急激な波高の減少が生じており,この結果を受けて天端幅を短縮したケースについても検討を行った.短縮型の計算結果より,波浪低減効果とリーフ背後の平均水位が従来型と同程度で,長周期水位変動を低減するケースが確認され,フレアブロックを組み合わせることにより天端幅を短縮可能であることが示された.
  • 斎藤 武久, 松原 卓也
    2016 年72 巻2 号 p. I_1177-I_1182
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     本研究では,繰り返しの暴浪の来襲で海岸構造物が経年的に設計強度を失う可能性に着目し,来襲波浪の履歴を考慮して海岸構造物の被災発生の予測を試みた著者らの前報に続き,波浪履歴を考慮する期間をさらに長期間とした場合の被災発生指標の導出を試みた.この際,前報では考慮していなかった潮位変動データを取り込み,NOWPHASの波浪データから暴浪をモデル化した場合,さらに,2時間毎の波浪データを直接用いた場合を対象に被災発生指標の推定を試みている.
     解析の結果,波浪データとして2時間毎のNOWPHASの波浪データを直接使用し,潮位変動を考慮した越波流量を用いた場合,3年間の波浪履歴を考慮することで直立堤の被災発生指標を推定できる事が明らかになった.
  • 小竹 康夫, 磯貝 初奈, 松村 章子, 佐々木 淳
    2016 年72 巻2 号 p. I_1183-I_1188
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     海上作業を伴う防波堤築造工事等は海象条件の影響を受けやすく,施工現場からは高波浪出現頻度の増大による工期への影響が指摘されている.気候変動による海象の変化傾向によっては施工可能な日数が減少し,社会基盤整備の遅れやコストアップにつながることが懸念される.気候変動影響による波浪場の変化についてはいくつか研究例があるものの,施工条件との関連から明らかにしたものはなく,荒波浪化を想定した対策についてもほとんど検討されていない.本研究では,まず日本沿岸における約30年間の波浪場データの解析から,太平洋側では作業中止と判断される波浪条件の頻度が増大している傾向を明らかにしている.そしてケーソン据付時における荒波浪化を想定した対策案を提案し,動揺抑制に有効な手段となり得ることを水理模型実験により示している.
  • 本間 大輔, 宮武 誠, 佐々 真志, 木村 克俊, 白水 元, 蛯子 翼
    2016 年72 巻2 号 p. I_1189-I_1194
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     オホーツク沿岸域における海岸道路の後浜斜面の被災状況を把握し,現地踏査により得られた後浜斜面の調査結果を踏まえ,相対密度やサクション動態,ベーンせん断強度を様々に変化させた高波による盛土の破壊実験を行った.その結果,緩い不飽和斜面では高波によるサクション低下に伴うコラップス現象,中~密な不飽和斜面では高波による洗掘が確認され,相対密度及び飽和度の変化に伴う海岸道路幅員の欠損パターンを明らかにし,高波による地盤性状変化に応じた海岸道路の破壊メカニズムを解明した.また,後浜斜面の崩壊量は,相対密度と飽和度によって異なることを明らかにした.
  • 松田 達也, 山口 敦志, 前田 健一, 高木 健太郎, 鶴ヶ崎 和博, 宮本 順司
    2016 年72 巻2 号 p. I_1195-I_1200
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/15
    ジャーナル フリー
     二層地盤に作用するジェット流による洗掘現象について検討した.地盤材料は上層に砕石(D50=25.0mm)または砂礫(D50=1.2mm)を,下層に豊浦砂を用いた.総地盤高D=0.7mに統一し,層厚比(=上層厚Dg/総地盤高D)を変化させて堆積させた.豊浦砂はすべてのケースで緩詰めとした.砂質地盤上に透水性の高い地盤材料を敷いた二層地盤では,洗掘・吸出しによる下層地盤の流動を抑制したが,上層部の地盤特性と層厚に起因して洗掘規模や砂質地盤内に発生する過剰間隙水圧の増分値・増分勾配に違いがあることがわかった.今後は,二層地盤における洗掘抑制効果とゆるみ領域を定量的に評価するために,地盤材料特性と経時変化する層厚比による外力の抑制効果について明確にする必要性を示唆した.
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