高知リハビリテーション学院紀要
Online ISSN : 2433-4553
Print ISSN : 1345-5648
7 巻
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  • 中野 良哉
    原稿種別: 本文
    2006 年7 巻 p. 1-9
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2018/08/31
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では,学生による授業評価に影響を及ぼす要因として,自己評価,成績に加え,授業の満足度,教師の人柄の良さ,達成動機を取り上げ検討を行った.調査対象は発達心理学の授業を受講した専門学校生70名であった.その結果,(1)学生の授業評価は自己評価と相関を示し,(2)教師の人柄の良さ,授業の満足度は授業評価,自己評価による学習内容の理解と相関を示した.(3)達成動機,特に,自己充実的達成動機が高い学生の授業評価,自己評価,授業の満足度,教師の人柄の良さの評価が有意に高いことが示された.このことから,学生側の個人要因として,達成動機が授業評価および自己評価に影響を及ぼすことが示唆された.
  • 固定用ベルトの使用が再現性に与える影響
    加藤 宗規, 山﨑 裕司
    原稿種別: 本文
    2006 年7 巻 p. 11-17
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2018/08/31
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究の目的は,固定用ベルトを用いたハンドヘルドダイナモメーターによる股関節内転,内旋,および外旋筋力測定方法の検者間再現性について検討することである.考案した固定用ベルト使用による影響を検討するために,ハンドヘルドダイナモメーターによって等尺性筋力をベルト使用下および不使用下で測定した.検者間の再現性を検討するために,検者は男女各1名の2名にて行った.いずれの測定においてもベルト使用下では検者間の測定値に差がなく,級内相関係数は股内転で0.98,股内旋で0.99,股外旋0.97と良好であった.一方,ベルト不使用下では男性検者で測定値は有意に高値を示した.級内相関係数は股内転で0.88,股内旋で0.79,股外旋で0.83と,ベルト使用下に比べ低値であった.以上のことから,固定用ベルトを併用することで,より再現性の高い股関節内転,内旋,および外旋筋力測定が可能になるものと考えられた.
  • 手すりの設置及び使用方法での検討
    吉本 好延, 野村 卓生, 中田 裕士, 片山 訓博, 明崎 禎輝, 浜岡 克伺, 佐藤 厚
    原稿種別: 本文
    2006 年7 巻 p. 19-23
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2018/08/31
    研究報告書・技術報告書 フリー
    病院内での転倒は,ベッド・車椅子間の移乗及び排泄動作中に多く発生している.椅子からの立ち上がり動作中はもちろんのこと,立ち上がり動作直後の静止立位を補助する環境を構築することができれば,歩行や下衣更衣動作など次の動作へスムーズに移行可能であり,院内で発生する転倒を減少させることが可能と思われる.今回,臨床上,リスク管理対策に有用な手すり設置の基礎資料を得るため,健常者を対象として,手すり設置及び使用方法の相違が,椅子からの立ち上がり動作直後の重心動揺の収束様式にどのように影響しているのかの検討を行った.結果,縦型手すりを用いた立ち上がり動作は,横型手すり・前型手すりと比較して,静止立位時の重心動揺が少なく,かつ対象者の使用感が良好であったことから,不特定多数が利用する病院・施設における移乗動作や排泄動作中の転倒予防の有効性が示唆された.
  • 高齢女性患者における検討
    大森 圭貢, 山﨑 裕司, 横山 仁志, 寺尾 詩子, 平木 幸治, 笠原 酉介, 笹 益雄
    原稿種別: 本文
    2006 年7 巻 p. 25-29
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2018/08/31
    研究報告書・技術報告書 フリー
    運動器疾患のない65歳以上の高齢女性患者65名を対象に,1.0m/secの歩行速度を有するために必要な等尺性膝伸展筋力値を検討した.歩行速度は10m最大歩行速度を指標とし,1.0m/sec以上の者を1.0以上群,1.0m/sec未満の者を未満群に分類した.等尺性膝伸展筋力は,徒手筋力測定器を用いて測定し,左右各脚の平均値の体重比(kgf/kg)を求めた.ロジスティック解析の結果,1.0以上群に関係する有意な因子は等尺性膝伸展筋力のみであった.Receiver Operating Characteristic曲線による曲線下面積を求めた結果,等尺性膝伸展筋力は1.0以上群を有意に判別可能な評価尺度であった.等尺性膝伸展筋力0.35kgf/kgをカットオフ値とした場合,感度,正診率,陽性適中率のいずれも高い精度で1.0以上群を判別可能であった.これらのことから,運動器疾患を有さない高齢女性患者が1.0m/sec以上の歩行速度を有するための等尺性膝伸展筋力値は,おおよそ0.35kgf/kg以上と考えられた.
  • 山下 淳一, 定松 修一, 坪内 健一, 中田 裕子
    原稿種別: 本文
    2006 年7 巻 p. 31-37
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2018/08/31
    研究報告書・技術報告書 フリー
    当院回復期リハビリテーション病棟では,2003年5月から365日体制を開始した.これにともなって,我々が必要とするチーム医療の推進・治療の質の向上及び均一化・多職種間の情報共有等を実現できるクリニカルパスを作製することになった.4ヶ月間に及ぶ定期的なクリニカルパス検討委員会の開催と頻回の手直しが実施され,その結果,「下肢用」・「上肢用」・「その他」の3種類で書き込み式の医療者用・患者用パスが作成された.このクリニカルパスの使用効果について,2002年8月の開設当初から使用していたこれまでのクリニカルパスと比較検討した.在院日数,在棟日数,自宅退院率は二つのクリニカルパス間で有意差を認めなかった.しかし,新たなクリニカルパス導入後,在院日数・在棟日数は短縮傾向で,より高い自宅退院率を示した.以上のことから,我々が作成したクリニカルパスは,有効に機能しているものと考えられた.
  • 重島 晃史, 坂上 昇
    原稿種別: 本文
    2006 年7 巻 p. 39-46
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2018/08/31
    研究報告書・技術報告書 フリー
    傾斜計は土木建築分野で用いられる角度計であるが,測定面に傾斜計を乗せるだけで容易にその傾斜角度を測定できるので,ROM測定としての応用が考えられる.本研究の目的は,2種の傾斜計の同時的妥当性および再現性を検討することである.対象者は本学院の男子学生12名(平均19.75±0.75歳)で,本研究の主旨の理解と同意を得た.測定器具には,SAKAI社製東大型角度計(以下,角度計),(株)新潟精機製傾斜計(以下,傾斜計),および傾斜計に鉄製の棒を取り付けた傾斜計(以下,軸付き傾斜計)の3種を用いた.傾斜計は移動肢の体表に密着させ測定し,軸付き傾斜計は鉄製の棒を移動軸に合わせることで可動域を測定した.手順は,まず本学院理学療法学科2年生(以下,PTS)に角度計を使用させ,左右の股屈曲,SLR,膝窩角,足背屈を測定し,同様の手順で軸付き傾斜計,傾斜計の順で行った後,経験年数6年目の理学療法士(以下,RPT)においても同様の測定方法および測定部位で行った.再現性の検討には数日の間隔(平均4.5±4.58日)を置き,再度同様の被検者,手順で測定を行った.統計解析では両傾斜計の同時的妥当性をPearsonの相関係数,再現性をPearsonの相関係数および級内相関係数,各測定方法間の差を分散分析・多重比較にて検討した.傾斜計および軸付き傾斜計の同時的妥当性はPTS,RPTともに強い相関を示し,再現性はPTSで股屈曲を除き良好,RPTではすべての測定部位で強い再現性を示した.また,測定方法間ではRPTの軸付き傾斜計で差を示した(p<0.05).本研究において傾斜計はROM測定の器具としての可能性を示した.また,軸付き傾斜計では測定姿勢や器具の当て方を考慮する必要があると考えられた.傾斜計はホームセンターで購入できる安価な物であり,軽量で片手でも扱いやすいので臨床や地域でも有効であることが示唆された.
  • 性差が与える影響
    山﨑 裕司, 大森 圭貢, 長谷川 輝美, 横山 仁志, 寺尾 詩子, 近藤 美千代, 平木 幸治
    原稿種別: 本文
    2006 年7 巻 p. 47-53
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2018/08/31
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では,高齢患者の等尺性膝伸展筋力と移動動作自立の関係に対して性差が及ぼす影響を検討した.対象は60歳以上の高齢患者177名(男性104名,女性73名)で,年齢は76±7歳であった.これらの対象に対して等尺性膝伸展筋力と4種類の移動動作の可否を調査測定した.筋力については体重で除した値(体重比)と同世代健常者平均筋力値で除した値(健常者比)を求めた.移動動作としては,院内独歩,椅子からの立ち上り,階段昇り,昇段を取り上げた.そして,筋力水準を区分し,それぞれの筋力区分内に位置する症例中,動作可能例の占める割合を男女別に算出し,比較検討した.体重比については,いずれの移動動作においても一定の筋力区分を下回る場合,筋力低下に従って可能例の割合は低下した.逆に,一定の筋力区分を上回る場合,全例で動作が可能であった.同一筋力区分内において男女間で動作可能例の割合には有意差を認めなかった.健常者比では60〜79%の区分において,いずれの動作においても女性で有意に可能例が少なかった.また,階段昇り,昇段では80〜99%の区分においても女性で有意に可能例が少なかった.以上のことから,平均的な筋力水準の高齢者に筋力低下が生じた場合,男性に比べ女性において動作障害が出現しやすいものと考えられた.
  • 身体的ガイドとフェイディング法を用いたアプローチ
    岡庭 千恵, 山﨑 裕司, 加藤 宗規, 明間 ひとみ, 北原 淳力
    原稿種別: 本文
    2006 年7 巻 p. 55-60
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2018/08/31
    研究報告書・技術報告書 フリー
    Pusher症状を呈した片麻痺患者2例に対して,課題の難易度調整と身体的ガイドを考案することによって成功体験が得られる動作練習プログラムを立案した.立位歩行訓練の有効な身体的ガイドとしては,非麻痺側による押す動作の抑制と体幹保持の代償として,非麻痺側前腕支持と非麻痺側下肢外転防止および非麻痺側方向の物体への体幹の寄りかかりが挙げられた.
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