ネットワークポリマー
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特集号: ネットワークポリマー
35 巻, 2 号
熱マネージメントとネットワークポリマー
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
報文
  • 小宮  玄, 松崎  栄仁, 関谷  洋紀
    2014 年35 巻2 号 p. 58-64
    発行日: 2014/03/10
    公開日: 2014/05/10
    ジャーナル フリー
    半導体パワーデバイスは年々高密度化しており,動作温度も高温化する傾向にある。特にSiC デバイスは動作温度を高くできる一方で,これらを実装する高い耐熱性をもった材料が必須となる。熱硬化性樹脂からなる封止材料においても優れた耐熱性・放熱性が求められている。本報ではエポキシ樹脂系封止材料の高耐熱化と高放熱化の両立を目指して開発を行った。前者の高耐熱化においては,シアネート硬化により環状結合を形成したエポキシ樹脂を検討してガラス転移温度と向上した。後者の高放熱化に関しては,無機フィラーの充填様式をデザインして実現した。高充填した球状Al2O3 に鱗片状BN を加えフィラー間の熱経路を確保し熱伝導率を向上させた。 このような手法で,Al2O3/BN 複合充填シアネート硬化エポキシ樹脂のガラス転移温度を200℃以上,熱伝導率を7 W/(m・K)以上にまで向上するに至った。
  • 田中  篤志, 北浦  秀敏, 西川  和宏, 西木  直巳
    2014 年35 巻2 号 p. 65-69
    発行日: 2014/03/10
    公開日: 2014/05/10
    ジャーナル フリー
    電子機器の発熱量増加に伴い,熱対策部材の一つであるTIM(Thermal Interface Material)の高熱伝導化が求められている。著者らは,TIM として使用する複合材料のフィラーとして,熱伝導率の高いグラファイト材料に着目し,フィラー特性が複合材料の熱伝導性に及ぼす効果を検証した。結果として,高分子材料を2600℃以上で熱処理を行った高結晶性グラファイトより作製した鱗片状パウダーをフィラーとして用いた場合に高い熱伝導性を示すことが明らかとなった。
  • 吉田  優香, 八木  康洋, 田中  慎吾, 竹澤  由高
    2014 年35 巻2 号 p. 70-75
    発行日: 2014/03/10
    公開日: 2014/05/10
    ジャーナル フリー
    コンポジットの熱伝導率向上にはマトリックス樹脂の熱伝導率向上が効果的である。メソゲン含有エポキシ樹脂は硬化時に自己配列型のドメインを形成し,高い熱伝導率を示す。しかし,フィラーを含むコンポジット状態でのメソゲン含有エポキシ樹脂の高次構造の詳細は,高充填されたフィラーが障害となり,偏光顕微鏡や透過型電子顕微鏡等の電子線回折では観察することができず,これまで明らかにされていなかった。そこで,フィラー高充填コンポジットのX 線回折を試みたところ,コンポジット状態でも樹脂とフィラーの回折ピークを明確に分離でき,樹脂のスメクチック構造に起因するピークを確認できた。これにより,メソゲン含有エポキシ樹脂はコンポジット状態でも高次構造を形成しており,この高次構造が良好な熱伝導率に寄与していることを確認できた。また,メソゲン含有エポキシ樹脂が,フィラーによってその配向が高められ,フィラーを中心としたより秩序性の高い高次構造を形成していることを見出した。
総説
  • 三村 研史
    2014 年35 巻2 号 p. 76-83
    発行日: 2014/03/10
    公開日: 2014/05/10
    ジャーナル フリー
    パワーモジュール製品においては,高性能化,コンパクト化が進展し,それに用いられている絶縁シートなどの絶縁材料には高放熱化が求められている。本稿では,熱硬化性樹脂をベースにした高放熱有機/ 無機フィラー複合材料についての研究内容を紹介する。エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂に熱伝導性を付与するために窒化ホウ素(BN)などの高熱伝導性フィラーとの複合化が用いられている。しかし,りん片形状のBN 粒子を高充填してもBN 粒子の面方向への配向が進むだけで厚み方向の熱伝導率は10 W/(m・K)と大きな向上は得られない。 そこでりん片状のBN 粒子を凝集させたBN 凝集体を配合してBN 粒子の配向を制御すると低充填量で厚み方向の熱伝導率が16 W/(m・K)と大きく向上することができる。さらに充填量を増加すると熱伝導率は18 W/(m・ K)とセラミックス材料並みの高い熱伝導率を実現できることを確認した。有機成分であるエポキシ樹脂の高熱伝導化技術も進み,今後はより高熱伝導を有する有機/ 無機フィラー複合材料の開発が期待される。
  • 藤 正督, 高井 千加
    2014 年35 巻2 号 p. 84-89
    発行日: 2014/03/10
    公開日: 2014/05/10
    ジャーナル フリー
    ナノ中空粒子をポリマーに分散させた透明断熱フィルムを開発した。透明性,断熱性を同時に発現させるためには,ナノサイズの独立した空気層を形成させること,空気層をポリマー中に良分散させること,が必要である。 作製したフィルムは0.03 W/m・K の超断熱性を発現し,窓ガラスに施工しても視野が十分確保できる透明性もあわせ持つ。本稿ではこのような高機能フィルムを作製するうえで必要な粒子合成技術および分散技術について紹介する。
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