ネットワークポリマー
Online ISSN : 2186-537X
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特集号: ネットワークポリマー
32 巻, 2 号
CO2削減を目指したネットワークポリマーへのアプローチ
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
報文
  • 三亀  啓吾, 舩岡  正光
    2011 年32 巻2 号 p. 70-77
    発行日: 2011/03/10
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    自然界に最も豊富に存在するリグニンは,高分子フェノール化合物ではあるが,そのフェノール活性は極めて低い。そのためリグニンの利用は進展してこなかった。そこで本研究では,リグニン中に存在する種々のエーテル結合を選択的に逐次開放することにより,フェノール化を行い,最終的にはモノフェノール化を行うことにより,天然リグニンの芳香族化学原料化を検討した。まず,第一段階として低フェノール活性ではあるが潜在的フェノール活性を持つ天然リグニンを相分離系変換処理により,ベンジルエーテルの開裂およびフェノールグラフィティングにより高フェノール活性であるリグノフェノールに変換,続いて第二段階として,アルカリ2 次機能変換によりリグニンの主要単位間結合であるβ- エーテル結合を開裂,そして,第三段階としてルイス酸処理によりリグニン芳香核メトキシル基を脱メチル化とモノフェノール化することにより,リグニン潜在的フェノール性水酸基を逐次活性化することが可能であった。これはリグニン生合成過程の逆経路に従っている。また,このようなリグニンエーテル結合の逐次開放は,生態系でのリグニン分解機構にも類似している。
  • Takashi Tsujimoto, Emi Ohta , Hiroshi Uyama, Takashi Endo
    2011 年32 巻2 号 p. 78-82
    発行日: 2011/03/10
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    SynopsisIn this study, biocomposites of an oil-based network polymer and cellulose have been developed. Powdery cellulose was treated in water by a wet disk milling method to produce the dispersion of the cellulose ultrafine fibers, which was subsequently subjected to the direct lyophilization or the lyophilization after the solvent displacement of water with t-butanol. These cellulose fibers were used as a filler for the preparation of the composites by the acid-catalyzed curing of epoxidized soybean oil. The significant reinforcement effects were observed by the incorporation of the cellulose fibers. The composite having relatively high transparency was formed by using the cellulose fiber obtained by the lyophilization with t-butanol
  • 赤松  悠紀, 藤原  太一, 野口  雅幸, 西田  裕文, 松田  聡, 岸  肇
    2011 年32 巻2 号 p. 83-88
    発行日: 2011/03/10
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    木質バイオマスとアルコールを原料とするアルコール液化木材エポキシ樹脂について,硬化樹脂のガラス転移温度(Tg)および引張物性とバイオマス含有率の関係を調べた。木材液化の前処理としての遊星ボールミル処理は木材中のセルロースの非晶化に有効であり,結果としてアルコール液化木材中のバイオマス含有率を63%まで向上せしめた。次いで,種々のバイオマス含有率の液化木材を原料としてエポキシ樹脂を合成したところ,バイオマス含有率の増加に伴い,木材エポキシ樹脂硬化物のTg,引張強度および引張弾性率が向上することがわかった。樹脂の架橋構造中に木材由来の剛直な化学構造が多く導入されたためと考えられる。由来エポキシ樹脂よりも高い耐熱性や引張物性を持ち,既存のビスA 型エポキシ樹脂と同等の接着強度を持つことを示した。また,アルコール液化木材エポキシ樹脂はポリエチレングリコール型エポキシ樹脂に木粉をフィラーとして物理的に混ぜ込んだものよりも高い耐熱性を示した。
  • 小宮  玄, 山崎  顕一, 今井 隆浩, 藤堂  洋子
    2011 年32 巻2 号 p. 89-96
    発行日: 2011/03/10
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    天然リグノセルロース(コーンコブ)を原料とした木質素材を段階的に分解処理し,得られる物質を用いて電力機器用エポキシ成形材料の様々な構成成分として利用し,その特性について検討した。天然リグノセルロースを水熱反応により,可溶化セルロースと水熱反応リグノセルロースに分離した。後者は有機性フィラーとして充填することでエポキシ成形物の破壊靭性が向上した。ついで,水熱反応リグノセルロースを水-エタノール中の高温高圧で酸処理し,リグニンを低分子化した。こうして得られたアシドリシスリグニンは,ビスフェノールA型ジグリシジルエーテルの硬化剤として作用することが明らかとなった。さらに,アシドリシスリグニンをフェノール性化学素材とみなし,末端のフェノール基をエポキシ化処理し,エポキシ化アシドリシスリグニンを得た。ビスフェノールA 型ジグリシジルエーテル/酸無水物硬化剤の混合物にエポキシ化アシドリシスリグニンを添加することで,エポキシ成形物の架橋密度が増加した。これはエポキシ化リグニンが架橋剤として作用するためと考えられる。
ノート
総説
解説
  • 河済 博文
    2011 年32 巻2 号 p. 110-115
    発行日: 2011/03/10
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    1.はじめに 現在,多くの機器分析法が装置の小型化,システム化,コンピュータ活用などにより,日常の研究開発の場で手軽に使えるものとなっている。分光分析法はその大部分を占めているが,それぞれの理論的な背景や特徴を知ることで,より効果的に研究開発に活用できると思われる。今回解説するラマン分光法(Raman Spectroscopy)は,これまでどちらかというと名前は聞いたことがあるが,といった特殊な方法であったが,最近,低価格で使い勝手の良い装置が入手できるようになり,その応用範囲が広がろうとしている。本稿ではラマン分光法の基礎にふれると共に,ネットワークポリマーをはじめとするポリマー研究開発におけるラマン分光分析の応用事例について紹介したい。
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