ネットワークポリマー
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特集号: ネットワークポリマー
32 巻, 3 号
CO2削減を目指したネットワークポリマーへのアプローチ2
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
報文
  • 中川 佳織, 大山  俊幸, 高橋 昭雄, 中村 嘉利, 岡部 義昭, 香川 博之
    2011 年32 巻3 号 p. 122-129
    発行日: 2011/05/10
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,木質系バイオマスに含まれ,かつポリフェノールであるリグニン(L)をフェノール樹脂として利用し,最終的には100%バイオマス由来のエポキシ樹脂硬化物を作製することである。この硬化物作製に向けて,本研究ではL の構造単位の一つであるコニフェリルアルコール(CA)を用いたモデル反応を行った。 1 H-NMR 測定の結果CA は,フェノール性水酸基だけでなくアルコール水酸基もエポキシ化されていることが分かり,またエポキシ化CAはCAと期待通り反応したということが分かった。また,CAとフェニルグリシジルエーテル(PGE)の反応により,CA の水酸基がグリシジル基と円滑に反応することが分かった。この結果を基に実際にL によるエポキシ樹脂の硬化を試みた。結果,石油由来の硬化剤であるフェノールノボラック(PN)によってDGEBA を硬化させたものよりも,L 硬化系の方がガラス転移温度(Tg)が約20℃,500℃まで加熱したときの残渣が約10%向上する結果が得られた。
  • 岡部 義昭, 香川 博之, 中村 嘉利, 佐々木 千鶴
    2011 年32 巻3 号 p. 130-134
    発行日: 2011/05/10
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
    概   要環境負荷低減技術開発の一環として,電気・電子部品に多く使用されているエポキシ樹脂組成物のバイオマス化に取り組んでいる。木質バイオマスとして,耐熱性に優れる芳香環と反応性に富む水酸基を有するリグニン及びリグノフェノールを選択し,これをエポキシ樹脂の硬化剤に用いたバイオマス由来エポキシ樹脂組成物のトランスファーモールド用成形材料への適用性を検討した。水蒸気爆砕法で得たリグニン,相分離変換システムで得たリグノフェノール,およびそれらを溶媒で抽出したより低分子量のリグニン,リグノフェノールを硬化剤として用い,これらと市販のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂,シリカフィラを配合し,成形材料とした。リグニン誘導体を硬化剤に用いた成形材料は,市販成形材料と比較して溶融粘度は高いものの,その硬化物のガラス転移温度(Tg)は高く,他の電気・機械的特性は市販成形材料と同等であった。作製した樹脂組成物を用いて,トランスファーモールドによる小型モータの固定子の作製及び,それを用いた小型モータの試作に成功した。
総説
  • 本田 史郎
    2011 年32 巻3 号 p. 135-141
    発行日: 2011/05/10
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
    概   要CO2 の排出削減には排出量の約20%を占める運輸部門での削減が重要である。特に航空機,自動車では機体,車体の軽量化が燃費改善に効果的であり,炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を適用して,機体を20%,車体を30%軽量化でき,それぞれCO2 を7%,16%削減できると見積もられている。CFRP を金属代替の軽量高剛性材料として使用するためには,炭素繊維の比強度,比弾性率を有効に活用するためのマトリックス樹脂の設計が重要である。また,CFRP を航空機,自動車に幅広く適用するためには製造コストの削減や生産性向上が必要であり,マトリックス樹脂による成形方法の革新や生産性の大幅な向上が図られている。さらにCFRP はエネルギー部門でも風車,水素タンクなど重要な役割を果たしている。CO2 の排出削減には,運輸部門やエネルギー部門でのCFRP の適用拡大が重要であり,そのためにもマトリックス樹脂への役割期待が今後ますます大きくなっていくと考える。
報文
  • 山﨑 博人, 蔵本 晃匡, 竹内 勇磨, 古本 貴久, 黒岩 貞昭, 石口 康治, 河目 敏充
    2011 年32 巻3 号 p. 142-153
    発行日: 2011/05/10
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
    ポジ型フォトレジスト材を用いたドライフィルムを作製できるようになれば,新たなニーズの展開が期待できる。本研究では,柔軟性を持つレジスト用クレゾールノボラック樹脂の開発を試み,アルデヒド成分にはジアルデヒド型のグルタルアルデヒド(Glu)を用い,クレゾール(Cre)類と付加縮合させてノボラック樹脂(Cre/Glu)を調製した。得られた樹脂の中から,アルカリ水溶液溶解速度<1000Å/s,Mw>2,000 の条件を満たすものを選出した。これらをポリイミドフィルム上に膜厚5μm に塗布した試料を折り曲げ,折り曲げ面の樹脂の飛散状態から柔軟性を評価した。アルデヒド成分にホルムアルデヒドを用いた樹脂の折り曲げ面は砕け散っていたが,Cre/Glu 系樹脂のそれは,砕けることなくひび割れが入る程度であった。なお,Cre/Glu 系樹脂の柔軟性は,動的粘弾性測定結果からも確認できた。描画性能は,シリコンウェハ上に樹脂を膜厚1.5μm となるように塗布し,レジストパターン作製して評価した。柔軟性をもつCre/Glu 系樹脂の中には,98%以上の残膜率と2.5μm までの描画能を有するものもあった。
  • 松本 明博, 大塚 恵子, 木村 肇, 吉武 正義, 伊藤 信行
    2011 年32 巻3 号 p. 154-159
    発行日: 2011/05/10
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
    レゾールを任意の割合で溶かしたメタノール溶液中で溶液還元法により水酸化銅(Ⅱ)から銅ナノ粒子を作製した。本法の特徴は銅ナノ粒子の作製とフェノール樹脂による被覆が同一行程で進行することであり,作製した銅ナノ粒子は酸化や凝集が起こりにくく,フェノール樹脂中へ高充填およびナノ分散が容易であった。得られた銅ナノ粒子分散インキ(フェノール樹脂/ 銅ナノ粒子分散コンポジット)は,銅含有率が増加するに従って体積抵抗率が低くなり,銅含有率が91wt%の場合,その抵抗率はプリント配線用の銅箔には及ばないものの,それに迫る低い値になった。
解説
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