保育学研究
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特集号: 保育学研究
54 巻, 3 号
―特集 子どもの最善の利益を考慮する保育―
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
第1部 特集論文
総説
原著<論文>
  • 山田 陽子
    2016 年54 巻3 号 p. 9-19
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/22
    ジャーナル フリー

    本論の目的は,日常の保育における子どもの最善の利益を護る保育者の援助を明らかにすることである。そこで本論では,実践研究により,障碍のある子ども一人ひとりが集団の中にあって,保育者と周りの子どもと環境と関わる中に現れている,その時点での発達の姿とそこから引き出される保育者の援助のあり方について,次のような6つの視点「1.子どもと保育者の受容関係を作る中で園を子どもの居場所にする,2.保育者との信頼関係を作り,周りへの視野を広げる意欲を育む,3.その子どものペースを大事にしながら自分で考えて行動することを励ます,4.自分の好きなことと周りの子どもの好きなことがつながる喜びを支える,5.周りの人と一緒の生活と自分の生活作りとをつなげて生きることを支える,6.保育者間の同僚性を発揮して保育者全員で共同して保育する」で考察する。

  • ―交換日記にみる母親の障害受容の過程―
    虫明 淑子, 髙橋 敏之
    2016 年54 巻3 号 p. 20-31
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/22
    ジャーナル フリー

    本論では就園と同時期に子どもの発達障害の診断告知を受けた母親と教師との間で行った交換日記の記述から,1 年間の母親の障害受容の過程を明らかにした。量的分析の結果から,母親が肯定感情を高めた時期は,1 学期と 2 学期後半であると特定した。さらに質的検討を加えると,母親の障害受容が促進した要因は,①ペアレントメンターの効果,②子どもの目に見える成長,③子ども理解と問題行動への対応力,④非言語のやりとりにおける成長の確認,等が確認できた。母親が主体的に障害受容を進められるようになるためには,障害受容初期に接見した支援者の役割は最重要である。

  • ―認定こども園における保護者会の事例から―
    島津 礼子
    2016 年54 巻3 号 p. 32-42
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/22
    ジャーナル フリー

    本研究では,子どもの最善の利益につながる保護者と保育者の協同的な学びを明らかにするために,ある認定こども園の保護者会に着目した。保護者と保育者による協同的な学びを分析するための理論的枠組みとして,ロゴフの「導かれた参加」,「徒弟制」,「参加による専有」という 3 つの概念を用いた。これらの概念は,社会文化的活動を個人間,個人とコミュニティ間,個人内の異なる視角から捉え,協同的な学びの全体像を明らかにするものである。

    保護者会が再編されてから現在までの資料,園長,保護者へのインタビューデータを元に分析した。結果として,保護者と保育者は異なる子育て観を持ち,保護者会の再編の過程において互いに理解や学びを得ていることが明らかになった。最終的に,KJ 法により両者の協同的な学びを表す概念図を作成し,協同的な学びが支援の枠組みを変える可能性を示唆した。

第2部 委員会報告
第 16 回国際交流委員会企画シンポジウム報告
第3部 保育の歩み(その 2)
英文目次
編集後記
奥付
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