生物工学会誌
Online ISSN : 2435-8630
Print ISSN : 0919-3758
100 巻, 7 号
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巻頭言“随縁随意”
報文
  • 水野 裕一, 宮島 清一, 加藤 富民雄, 柘植 圭介
    2022 年100 巻7 号 p. 346-353
    発行日: 2022/07/25
    公開日: 2022/07/25
    ジャーナル フリー

    低アミロース紫黒米「佐賀40号」には,シアニジン 3-グルコシド(Cy 3-glc)を主成分とするアントシアニン色素が豊富に含まれており,そのアントシアニンは抗酸化作用を有することが知られている.以前,清酒麹を用いてアントシアニンの機能性と色素を活かした紫黒米酢を製造し(以下,旧製法),市販化した.しかし,呈味性や機能性に問題があったため,アルコール発酵工程を改変し,色素抽出工程を追加した新たな製造法(以下,新製法)を構築し,問題点の改善を検討した.旧製法では清酒麹を用いて酢酸発酵に必要な酒モロミを製造していたが,新製法では焼酎麹に変更した.精米歩合95 %および85 %の焼酎麹を製麹した結果,精米歩合85 %の麹の方が麹菌体量が多く,酸性カルボキシペプチダーゼ活性が顕著に高かった.精米後の糠は酢酸発酵後の酢モロミに添加して色素抽出を行った.その結果,酢中のCy 3-glc含量が旧製法に比べて約23倍に増強され,抗酸化活性も約8倍に増加した.4 °C,暗所での保存試験を行った結果,Cy 3-glcは9か月後にほぼ消失していたが,抗酸化活性,総ポリフェノール量は高い値で維持されていた.18種類の遊離アミノ酸含量を測定した結果,新製法の遊離アミノ酸総量が旧製法と比較して約1.9倍に増加していた.有機酸測定の結果では,新製法には多量のクエン酸が含まれており,揮発酸である酢酸の濃度が相対的に低下した.また,味覚センサーを用いて新旧製法および市販食酢との味の比較を行った結果,新製法は旨味やコクが高く,酸味が少ないという特長をもった食酢であることが明らかとなった.

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