太平洋セメント(株)では,下水汚泥を大量に処理できる技術として,太平洋下水汚泥乾燥システム(TSDS)を開発した.TSDSは乾燥熱源ガスの抽気および乾燥排ガスの処理にキルン・プレヒータ系を利用した乾燥システムとし,乾燥機は破砕機能を有する破砕気流乾燥機を採用した.
TSDSの運転において重要なポイントは,効率的な汚泥乾燥と乾燥汚泥による爆発の防止である.そこで,乾燥汚泥の爆発特性を評価し,爆発限界酸素濃度の考えを用いてTSDS乾燥排ガスの管理基準であるガス温度と酸素濃度の上限値を設定した.
処理量2t/hの実機TSDSを社内工場に設置し,キルンの運転へ悪影響をほとんど与えることなくTSDSの安定運転,下水汚泥の乾燥が可能であることを確認した.また,ガス・ヒートバランスを把握し,現状の運転状況を評価すると共に効率改善の可能性について言及した.
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