太平洋セメント研究報告
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2007 巻, 152 号
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巻頭言
論文
  • 伊藤 光弘, 堅田 久, 河野 文雄
    2007 年 2007 巻 152 号 p. 3-10
    発行日: 2007/06/25
    公開日: 2025/03/22
    研究報告書・技術報告書 フリー
     低空気流量型O-SEPA(O-SEPA Hシリーズ)の技術が,実機レベルフィールドテストおよび大型機納入実績を通して確立された.この新型O-SEPAは,従来型(O-SEPA Nシリーズ)に比べて,分級効率が同等以上であるとともに,分級に要する空気流量を30%低減できる特徴を持つ.その結果,分級システム全体(分級機,ファン,バグフィルター)としての投資コストやオペレーションコストを大幅に低減できる.
     この新型O-SEPA(O-SEPA Hシリーズ)は,既に太平洋エンジニアリング(株)のみならず,ライセンス契約の下でF L Smidth社からも世界に向けて営業展開がなされている.
  • 上野 直樹, 伊沢 良仁, 高野 博幸
    2007 年 2007 巻 152 号 p. 11-17
    発行日: 2007/06/25
    公開日: 2025/03/22
    研究報告書・技術報告書 フリー
     太平洋セメント(株)では,下水汚泥を大量に処理できる技術として,太平洋下水汚泥乾燥システム(TSDS)を開発した.TSDSは乾燥熱源ガスの抽気および乾燥排ガスの処理にキルン・プレヒータ系を利用した乾燥システムとし,乾燥機は破砕機能を有する破砕気流乾燥機を採用した.
     TSDSの運転において重要なポイントは,効率的な汚泥乾燥と乾燥汚泥による爆発の防止である.そこで,乾燥汚泥の爆発特性を評価し,爆発限界酸素濃度の考えを用いてTSDS乾燥排ガスの管理基準であるガス温度と酸素濃度の上限値を設定した.
     処理量2t/hの実機TSDSを社内工場に設置し,キルンの運転へ悪影響をほとんど与えることなくTSDSの安定運転,下水汚泥の乾燥が可能であることを確認した.また,ガス・ヒートバランスを把握し,現状の運転状況を評価すると共に効率改善の可能性について言及した.
  • 杉山 彰徳, 石川 雄康
    2007 年 2007 巻 152 号 p. 18-30
    発行日: 2007/06/25
    公開日: 2025/03/22
    研究報告書・技術報告書 フリー
     本研究は,わが国で使用されている軽量骨材の岩石・鉱物学的検討と,一連のアルカリシリカ反応(ASR)試験(化学法,モルタルバー法およびコンクリートバー法)を実施したものである.その結果,軽量骨材は,化学法ではアルカリを溶出するものがあり,「無害でない」と判定されたが,モルタルバー法ではすべてのものが「無害」と判定された.また,コンクリートバー法では,促進環境条件との関係で,ある種の軽量骨材にはASRゲルの生成が観察されたが,骨材中の気孔による膨張圧の緩和作用により,すべての軽量コンクリートにおいてひび割れの発生をともなう有害な膨張は発生しなかった.
報告・ノート
  • 長塩 靖祐, 栩木 隆, 吉本 稔, 仙波 裕隆
    2007 年 2007 巻 152 号 p. 31-43
    発行日: 2007/06/25
    公開日: 2025/03/22
    研究報告書・技術報告書 フリー
     都市ゴミ焼却灰を主原料として製造されるエコセメントが開発された.現在,千葉県市原市において,市原エコセメント製造施設が稼動しており,製造開始から6年以上経過し,安定的な製造が行われている.また,2006年からは,東京たまエコセメント化施設が製造・出荷を開始している.この東京たまエコセメント化施設の建設工事において,3700m3ほどのエコセメントを用いたコンクリートの打設が実施された.本報告は,この工事のうちの土木構造物および建築物の一部の物件について,エコセメントを用いたコンクリートの品質確認試験を実施したものである.
     その結果,スランプおよび空気量は所要の規格値を満足し,安定していたことが確認された.圧縮強度は,配合(調合)強度を満足し,ロット間のバラツキも少ない傾向にあった.施工性については問題なく,ポンプ圧送性,締固めについても問題はなかった.
  • 唐沢 明彦, 多田 克彦, 小畠 明, 秋元 文敏, 清水 進, 江角 典広, 高森 哲也
    2007 年 2007 巻 152 号 p. 44-58
    発行日: 2007/06/25
    公開日: 2025/03/22
    研究報告書・技術報告書 フリー
     2005年7月,社団法人インターロッキングブロック舗装技術協会(以下,インター協会)により「保水性コンクリートブロックの品質性能規格およびその試験方法」が制定された.この概要について紹介する.著者らは,この品質性能規格を満足する15種類の保水性コンクリートブロックを使用した舗装を実環境下に施工し,夏季の路面温度上昇抑制効果に関する実証的な実験結果を得た.そして,実験結果の解析から「保水性コンクリートブロックの品質性能」,「コンクリートブロックの表面色」,「クッション砂および目地砂の存在」および「舗装への給水システム」が路面温度に及ぼす影響を検証し確認できたことから,これらを取りまとめて報告する.
     さらに,15種類の保水性コンクリートブロック舗装のうち,最も優れた路面温度上昇抑制効果が認められた保水性セメントグラウトを使用した保水性コンクリートブロック舗装について,その概要を紹介する.
  • 松浦 茂, 窪川 豊之, 常世田 和彦, 市川 貴之, 藤井 博信
    2007 年 2007 巻 152 号 p. 59-68
    発行日: 2007/06/25
    公開日: 2025/03/22
    研究報告書・技術報告書 フリー
     マグネシウムアミド(Mg(NH2)2)と水素化リチウム(LiH)から構成されるLi-Mg-N-H系水素貯蔵材料の特性について検討を行った.3種類の異なる組成(Mg:Liモル比=1:2,3:8,1:4)の試料を評価した結果,Li/Mgモル比が大きいほど200℃における水素放出量は小さくなるが,同時に発生するアンモニア放出量も小さくなることを確認した.また,金属塩化物の添加による放出温度への影響を検討した結果,低温化にはVの塩化物がもっとも効果的であった.一方,Feの塩化物を添加した場合は逆に放出温度は高温化した.これら試料について,大型放射光施設(SPring-8)を利用したX線吸収微細構造解析(XAFS)によって添加元素の化学結合状態を調べた.その結果,低温化効果がみられたVのX線吸収端(XANES)プロファイルは,Li-N-H系材料において触媒効果のみられたTiと同様に,特徴的なプリエッジを持つことが明らかとなった.また,Vの価数としては3価から4価に相当する電子状態にあることが明らかになった.
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