劣化したコンクリート構造物の構造性能については世界中で関心がもたれており, 日本と欧州のRILEMには類似の活動がある. 本報告では, 土木学会331委員会とRILEM TC MAIの活動を簡潔に紹介し, 塩害に関する信頼性手法の事例を説明する. 331委員会は, 劣化したコンクリート構造物の構造性能を推定することを試みており, 実験的検討, 数値計算モデル, 非破壊検査, 信頼性手法の四つのワーキンググループからなる.
性能照査型設計にはモデルに基づくコンクリートの耐久性の照査が不可欠であるが, 不確定性を含む多くの要因がある. 決定論的手法では経験に基づく安全係数が必要であり, その代わりに信頼性手法では確率計算により安全係数を提示できる. 本研究では, 鋼材の腐食開始を沿岸環境下でのコンクリート構造物の限界状態とし, 塩化物濃度が限界値を超える確率を計算する. その結果に基づき, 地域差と海岸からの距離とコンクリート品質によらず, 鋼材の腐食開始の確率を同じレベルに保証するかぶりを特定する設計手法を提案する.
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