太平洋セメント研究報告
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2008 巻, 154 号
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巻頭言
総説
  • 一坪 幸輝, 田野崎 隆雄, 友竹 博一, 三浦 啓一
    2008 年2008 巻154 号 p. 3-20
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2025/03/23
    研究報告書・技術報告書 フリー
     白色セメントは, 普通ポルトランドセメントに比べ生産量が極めて少なく, その歴史や技術 (品質・物性・特性) に関する情報も乏しい. 本報告では, このような現状を踏まえ, 既刊の専門書と学術論文をもとに, 白色セメントについての情報を最新の知見と合わせて総括した. また, 世界各国で市販されている白色セメントを入手し, これらの解析を行うことで, 流通国別に白色セメントに求められている品質を把握した. これにより, 白色セメントの国内外の技術変遷について考察が可能となった. また, 今後の開発の方向性や新たな用途についても指摘した.
論文
  • 山田 一夫, 秋山 充良, 下村 匠, 宮里 心一
    2008 年2008 巻154 号 p. 21-30
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2025/03/23
    研究報告書・技術報告書 フリー
     劣化したコンクリート構造物の構造性能については世界中で関心がもたれており, 日本と欧州のRILEMには類似の活動がある. 本報告では, 土木学会331委員会とRILEM TC MAIの活動を簡潔に紹介し, 塩害に関する信頼性手法の事例を説明する. 331委員会は, 劣化したコンクリート構造物の構造性能を推定することを試みており, 実験的検討, 数値計算モデル, 非破壊検査, 信頼性手法の四つのワーキンググループからなる.
     性能照査型設計にはモデルに基づくコンクリートの耐久性の照査が不可欠であるが, 不確定性を含む多くの要因がある. 決定論的手法では経験に基づく安全係数が必要であり, その代わりに信頼性手法では確率計算により安全係数を提示できる. 本研究では, 鋼材の腐食開始を沿岸環境下でのコンクリート構造物の限界状態とし, 塩化物濃度が限界値を超える確率を計算する. その結果に基づき, 地域差と海岸からの距離とコンクリート品質によらず, 鋼材の腐食開始の確率を同じレベルに保証するかぶりを特定する設計手法を提案する.
報告・ノート
  • 二戸 信和, 兵頭 彦次, 平尾 宙, 山田 一夫, 宮澤 伸吾
    2008 年2008 巻154 号 p. 31-41
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2025/03/23
    研究報告書・技術報告書 フリー
     近年, 環境問題への取組みは, 経済活動の継続的な発展を維持するため必要不可欠な事項となってきている. セメント・コンクリート分野においても, 環境負荷を低減する材料の提案や循環型のシステムの構築は必須とならざるを得ない. 著者らは主に環境負荷低減を目的として, フライアッシュ, 高炉スラグを単体あるいは併用し, さらにその機能性向上を目的として, 反応機構を考慮した適切な量の石こう, 石灰石微粉末を添加した混和材を試製した. 本研究では, 普通ポルトランドセメントに混和材を内割で25%置換した場合のコンクリートの諸物性を確認した. その結果, 普通ポルトランドセメントを単体で用いた場合と比べ, 良好なフレッシュ性状を示すこと, 常温に比べ高温度履歴下での強度発現性が相対的に優れること, 低発熱化が可能であること, 収縮抑制効果が認められることなどが明らかとなり, 当混和材の活用の可能性が示された.
  • 肥後 康秀, 吉本 稔, 濱田 武
    2008 年2008 巻154 号 p. 42-48
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2025/03/23
    研究報告書・技術報告書 フリー
     近年の鉄鉱石資源の高騰により, 鉄鉱石以外の重量骨材として優良なソースの確保が急務となっている. そこで, 主に電炉メーカーから出される鉄鋼副産物など, 非鉄鉱石系材料に着目し, 重量骨材としての試験, 評価を行った. その結果, 粒形や粒度, 表面性状などが様々となる副産物を効果的に組合わせて混合した「酸化鉄粉」を開発し, 重量骨材として使用する技術を確立した. この「酸化鉄粉」は, 良好な密度, 粒度を有しているため, コンクリートのフレッシュ性状や強度, 耐久性も普通コンクリートと同程度以上となる. また, 微量成分溶出などによる環境への影響もないことが確認された.
  • 市村 高央, 金谷 宗輝, 高野 博幸, 墨谷 裕司, 畠山 重篤
    2008 年2008 巻154 号 p. 49-55
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2025/03/23
    研究報告書・技術報告書 フリー
     日本国内における貝類の養殖方法としては, 貝をロープなどの基材に固定した垂下連を筏や延縄に吊り下げる垂下式養殖が広く用いられている. 垂下連に貝を固定する方法には, ロープの撚りに貝を挟み込む方法や貝に穴を開けて基材に引っ掛ける方法が一般的であるが, 海外ではセメント系材料を接着材として貝を固定する方法が実用化されている. そこで当社では, 国内で接着式の貝類養殖方法を実施するためのセメント系資材「カイデライト」を開発し, その使用状況の観察と養殖した牡蠣への影響について調査を実施した. カイデライトは, 垂下連の作製において良好な接着性と硬化性状を示し, 作製した垂下連で養殖した牡蠣は大きさや形状が均一であった. また, 牡蠣中の重金属含有量はカイデライトの使用による有意差は見られず, 食品としての安全性に影響しないことを確認した. 今後, カイデライトの使用により, 殻付き牡蠣の高付加価値化や新しい養殖技術の確立が期待される.
  • 坂下 雅司, 片桐 誠, 江泉 昌俊
    2008 年2008 巻154 号 p. 56-64
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2025/03/23
    研究報告書・技術報告書 フリー
     超高強度繊維補強コンクリート「ダクタル」を用いた埋設型枠「ダクタルフォーム」において, 新規製品種類として, 補強繊維の種類を変更した「ダクタルFM typeS」および後打ちコンクリートと付着する付着層形状を変更した「Cタイプ」を開発した. 開発における主な検討項目は, ダクタルF M typeSは強度特性, Cタイプは後打ちコンクリートとの一体性である. 一方, ダクタルフォームは2002年3月に建設技術審査証明を取得し, その高耐久性を始めとした埋設型枠としての各性能が確認されている. そこで, 今回の新規製品種類の開発における試験データの追加を主とした建設技術審査証明の内容変更を実施した. 内容変更における審査の結果, ダクタルFM typeSおよびCタイプともに, 本審査証明の新規取得時に確認されたダクタルフォームの各性能を満足していると判断された.
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